ディサイション・パワード 3部第10話



ネアンたちは次の作戦までの間を休憩室で過ごしていた。
「いいねぇ、お前らは。次も戦闘だろう?」
イェルがリスに云った。
「あんたたちは施設の見回りだっけ?」
小バカにしたようにリスが云った。
「しゃーねーだろ、命令なんだからよぉ」
2人がバカ話をしている横で、ネアンは何か考え事をしていた。
そして、急に立ち上がった。
「どしたぁ?」
イェルが訊いた。
「用事だ」
そう云って休憩室を出て行った。
イェルとリスは顔を見合わせて不思議そうな顔をした。
「あいつ、最近変じゃねぇか?」
「ネアンは特別任務を受けてるって聞いたけど・・・」
詳しい事は分からないままだった。

ネアンは廊下を歩いて行き、再び隊長の部屋の前へ来ていた。
そして中へ入った。
ネアンは無言で歩いて行き、男の前に立った。
男はまたガラスの壁の方を向いて座っていた。
「何だ?任務はさっき伝えただろう」
ネアンが云った。
「いえ、報告をしに」
男は椅子を回転させ、ネアンの方を向いた。
ネアンは話を続けた。
「先ほどの戦闘で、データの機体らしき物と接触しました」
男が云った。
「知っている。パイロットの事は何か分かったか?」
「いえ。何なのですか?あの機体は」
男は答えた。
「何というかねぇ。睦月 ヨウの遺産、といったとこかな」
ネアンがまた訊いた。
「睦月 ヨウとは?」
「戦争の英雄だよ。実際に俺は見た事ないがね」
そこに、通信が入ってきた。
机の上にあるスイッチを押し、通信に出た。
それは格納庫にいる整備士からだった。
『『バン・アレン』特佐。新型の調整をしたいので格納庫まで』
「分かった、すぐ行く」
そして通信を切った。
隊長の男の名だった。
指揮能力、戦闘能力は優れているが、何を考えているのか分からず、話し方も気が抜けている。
「そう云う事だ。引き続きあれの探索を頼む」
「了解しました」
そう云うと、バンは部屋を出て行った。

リオンたちは搭乗を済ませ、艦内を歩き回っていた。
「広いなぁ。早く慣れねぇと毎回迷子になるぜ」
リオンが冗談で云った。
だが、本当に艦内は広かった。
そこに春が彼らの前に現れた。
「やっと見つけた。探したぞ」
艦内放送で呼び出せばいいのに、彼は自分で探し回っていた。
4人は敬礼をした。
「ミリ、私について来い。お前はまだ我々と出るわけにはいかん」
ミリ以外の3人が不思議そうな顔をした。
「何故ミリは一緒に行けないのでありますか?」
リオンが慣れない敬語で訊いた。
春は少し悩んで、こう云った。
「ミリはな、国防委員会議長殿のお孫様だ」
3人は唖然とした。
「えっ・・・マジ?」
リオンがミリに訊く。
「ごめん、黙ってて」
事実の話だった。
「議長殿に話をせん事にはな」
春が云った。
「お嬢様だったんだね、ミリ」
「やめてよ」
マヤの言葉にミリが云った。
「まぁそう云う事だ。この事は公開するなよ」
3人は了解した。
そして、ミリは春と共に一旦艦を降りた。

日本の軍本部ドックで何か作業が行われていた。
2隻の艦が出撃の準備をしていた。
その艦の中で、2人の男と1人の女がいた。
「2隻も出していいのかよ」
それは、前大戦で生き残ったアドバンスのクルー、桐島 渉流だった。
「許可は・・・まぁいいだろ」
いい加減な事を云っているのは飛立 天だった。
そんな中無言で渉流の横で立っている女がいた。
「シイ。お前にもかかってんだぜ、この戦争の行く末が」
「止めれるかな、この戦争は」
それを聞いて渉流が答えた。
「あぁ、今度は止めてみせるさ。これ以上戦火は広げさせない」
そこにもう1隻から通信が入ってきた。
『艦長。こちらはいつでも出撃できますよ』
それはケントの声だった。
「了解した」
天が応答した。
「お前、すげぇよなぁ。艦長だぜ?」
渉流が茶化しているのか祝福しているのか云った。
『まぁ、戦闘の時は俺は出るからな。結果的には副長が艦長みたいになるけど』
ケントが冗談交じりに云った。
「よーし、雑談はそこまでだ。出港するぞ。注水始め!」
天の号令と共に注水が始まった。
その時、基地から緊急で通信が入った。
『おい、何だ!出撃命令は出ていないぞ』
天は頭をかいた。
「全然良くねぇじゃねぇか」
渉流がつっこみをいれた。
『どうします?』
ケントも天に訊いた。
「仕方がない。注水完了と共に一気に潜水。どうせ開門してくれんだろ。主砲で強行突破だ」
ケントは了解した。
そして注水が終了し、やはり開かない門に向けて主砲を撃った。
基地内は混乱し始めている。
「もう後戻りはできないな」
天はどこまで本気なのか、渉流は苦笑いをした。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: