ディサイション・パワード 3部第11話



ネアンとイェルは別行動に、ミリとジロンドはアレンと次の任務の為に準備を始めていた。
出撃前で機体に乗っているネアンとイェルは雑談をしていた。
「早く戻って戦闘に復帰しようぜ」
「できたらな」
そこにリスが通信で話しかけてきた。
『あんたたち、早く戻ってきなよ。2人も抜けるときついんだから』
それに反応したのはイェルだった。
「戻ってくる前に落とされてんじゃねぇぞ」
冗談まじりで云った。
『うっさいわね』
イェルとリスはクスッと笑った。
そんな中、ネアンはいつも通り冷静だった。
「イェル、行くぞ」
「りょーかい」
2人は施設の見回りへと出かけた。
リスは2機が飛び立っていくのを見送り、作業に戻った。

春が早々とブリッジに戻ってきた。
ブリッジにいたジミュートが、入ってきた彼に云った。
「早かったな」
「特別扱いするな、と云われたよ。国防委員会議長殿に」
春が参ったように云った。
「さて、これからどうなるのかねぇ。衝突は避けられそうにないが」
ジミュートが真剣に云った。
「まぁ、オーシャンが何らかの答えを出してくるんじゃないか?」
そんな話をしていると、そこに突然弥生がブリッジに入ってきた。
ブリッジにいた兵士たちが席を立ち、彼女に敬礼した。
2人も敬礼をし、彼女に春が訊いた。
「どうしたんだ?急に」
「今夜会議があるの。そこで今後の事が決まるわ」
ジミュートと春が顔を見合わせて、そして訊いた。
「わざわざそれを伝えに?」
弥生は軽く頷いた。
そして、また話し始めた。
「私はね、戦争だけはしたくない。食い止めたいの」
「俺だってそうさ」
春が相槌を打つように云った。
そこにジミュートが厳しく云った。
「だが、それは無理な話さ」
2人はそんな事を口にした彼の方を向いた。
ジミュートは話し続ける。
「あれだけの事をされて、他の議長方が黙っているとでも思うか?」
「しかし・・・」
弥生は反論しようとしたが、途中で止めた。
「あんな無駄な事、やらないに越した事はない。でも君の権限をもってしても止められないだろう?」
「やめろ、ジミュート」
春が彼を止めた。
そして、弥生に云った。
「オーシャン。結論が出たらすぐ伝えてくれないか?俺はここにいるから」
弥生は頷いて、ブリッジを出た。
それを見送った後、春がジミュートに云った。
「あんなに強く云わなくてもいいだろう」
「だが事実だ」
ジミュートは一瞬間を置いて、また話し始めた。
「ああでも云わないと。あいつは優しすぎる。俺だって今まで戦争なんて起こらない様に願い続けてきた」
春はジミュートの真意を聞き、浅く俯いた。

リスとジロンドは、戦闘部隊の招集で集められていた。
集まった部屋の中へ、アレンが入ってきた。
そして、次の作戦の説明をし始めた。
「次の作戦は聞いていると思うが、エネミ侵攻ではない」
兵士たちは真剣に話を聞いている。
すると、部屋が暗くなり、兵士たちの前にスクリーンが現れた。
そこには地図が描かれており、アレンはそれを使って説明をし始めた。
「次の標的は、ここだ」
レーザーポインターで指された場所は、オーストラリア基地だった。
「ここを奪還する。宇宙との距離が縮まればそれだけ有利に事が進められる」
それから十数分の作戦会議の後、会議は終了した。
リスはすぐにアレンの元へ駆け寄り、訊いた。
「隊長、ネアンとイェルも作戦に合流するのですか」
アレンが答えた。
「あぁ。彼らの見回りが早く終わって戻ってくればな」
リスはその後少し会話し、敬礼をしてその場を去った。

弥生から春へ通信が入った。
「どうなった?」
『あなたたちには出撃命令が出るわ・・・』
平和的解決への道は途絶えた。
「そうか・・・」
春が残念そうに云う。
『ディフェンスはオーストラリア基地へ派遣される事が決定したわ』
春はそれを聞き、返事をした。
打ち上げ施設があるオーストラリア基地の護りを固めるという事だった。
「出港予定時間は?」
『明朝、06:00よ』
彼は了解した。
そして、こう云った。
「ジミュートもリオンも、死なせはしない。約束する」
『心配なんてしてないわ。それに、特別扱いはしないで』
これを云われたのは、今日2度目だった。
「あぁ、そうだな」
そして通信を切り、春は深くため息をついた。

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