ディサイション・パワード 3部第23話



ランド軍の新型強奪部隊が作戦を実行した。
その部隊の中に、『スバル・ギザ』と『ナセル・シリア』という2人の少年の姿があった。
彼らが機体を回収する役目になっていた。
「時間だ、行くぞ!」
スバルが云い、強奪部隊は一気に基地内へと侵攻した。
突然の敵の出現に戸惑う政府軍兵。
あっという間に相殺された。
「スバル、こっちが格納庫だ!」
ナセルが呼んだ。
スバルは彼の方へ向かい、格納庫へ入った。
そこには見た事のない機体が2機、横にして置いてあった。
彼らは適当に乗り込んだ。
すると、すぐにシステムを立ち上げ、機体を立ち上がらせようとした。
「OSは完成しているようだな。さっさと行くぞ!」
声を張り上げてナセルが云う。
「分かっている」
スバルも少し遅れて機体を起こした。
そして、ナセルが主力武器のツイントライデントで壁を破壊した。
2機は外に出ると、すぐに飛び立った。

新型を奪取された政府軍は、どうにか捕獲しようと試みた。
しかし、外から合流してきた敵艦隊によって迎撃され、奪取された2機に追いつく事が出来ない。
「クッ、奴らめ・・・」
この基地の指揮官が舌打ちをした。
すると、後ろから男が云った。
「やはり、派遣されてきた彼を使った方が・・・」
指揮官は何か云おうとした様だったが、それを押さえて男の意見を取り入れた。
「仕方がない。彼を使うぞ。民間の企業など信用できはせんがな」
そう云うと、格納庫に通信をつなぎ、1機の機体に回してもらった。
「君の出番だ。期待している」
さっきとは相反する事を云い、パイロットに出撃命令を下した。
「分かっているな?撃破ではない。あくまで捕獲だ」
「分かっています」
パイロットが答えた。
彼の乗る真っ赤な機体がカタパルトに乗せられる。
そして、パイロットが云った。
「『ライ=トロイ=アーリマン』、『デススタイル』出ます」
名前と機体名を云い、出撃した。

ノゥは頃合を見計り、アレン機を出した。
自動操縦なので、アレンが操縦するよりかなりぎこちない。
出撃して数分位経った時だ。
彼の機体が討たれ、堕ちた。
「なっ?!アレン隊長!!」
戦艦の中から彼に信頼を寄せていた艦長が叫んだ。
ノゥは微笑を浮かべ、確認した後に出撃した。
リスはアレン機の撃墜の知らせを聞き、驚愕していた。
「隊長が?!」
彼女は怒りを募らせ、そのまま出撃した。

スバルとナセルが増援部隊と合流をするために、艦隊の方へと急いでいた。
すると、警報アラームが2機のコックピット内に鳴り響き、2人は振り向いた。
そこには、味方軍を軽々と蹴散らしながら近づいてくる赤い機体があった。
長い鎖の両端にトゲ付の鉄球が付いた武器を振り回している。
「新型!?」
スバルが驚いたように云う。
「チッ、どこまでいい加減だ!この軍の情報は!!」
ナセルは軍の情報に対して怒りをぶつけていた。
「ここまま逃げ切れないだろう」
「なら俺がやる!貴様は下がっていろ!」
スバルをおいて、ナセルが1人でその機体に突っ込んで行った。
そんな中、スバルは任務達成を最重要課題とし、艦隊へとさらに近づいた。

ライは自分から向かってくるターゲットに薄笑いを浮かべた。
そして、躊躇う事無く鉄球の付いた鎖を振り回し、ターゲットに向けて投げた。
「なっ!?」
ナセルは、意外な攻撃に対応が遅れたが、ギリギリで回避した。
「無傷では、無理ですね」
すると、鎖が1本の棒の様に真っ直ぐになり、別の武器になった。
そしてそれで敵機に殴りかかった。
「こいつっ!!」
ナセルがトライデントでそれを受けた。
辺りに火花が散る。
ナセルの機体が力負けし、後方へ弾かれた。
コックピット内に衝撃が襲う。
「まず、1機」
ライが動きを止めようと攻撃した。
しかし、それは大きな剣により遮られた。
「君は艦隊と合流したまえ」
ノゥだった。
ナセルは敵機に対し舌打ちをし、撤退して行った。
「まさかまだ新型を造っていたとはねぇ」
ノゥが感情のない言葉を発した。
「指揮官機・・・まずいか」
ライは敵機を睨んだ。

その頃、ディフェンスはサンティアゴ基地に到着していた。
「戦闘?!」
リオンが驚いた。
「どちらにしろ、新型が危ないと云う事だ」
ヴュルムが云った。
そこに、艦内放送でリオンとヴュルムにハルから命令が下った。
「今すぐ基地内の格納庫へ向かってくれ!2機はお前たち2人に渡される物だ」
2人は状況が状況だけに判断が鈍っていた。
しかし、時間がない事を察し、格納庫へ急ごうとした。
が、彼らは怪我で上手く動くことが出来なかった。
「急げつったって、これで?」
リオンが云った。
そこにミリが云った。
「リオン!ヴュルムの車椅子に乗って!私が運ぶ」
「運ぶって・・・」
リオンが何かを云おうとしたが、ミリに無理矢理乗せられ、そして、凄い勢いで車椅子が走り始めた。
「ちょ、ミリさーん。スピード・・・」
リオンがミリにスピードを落とせと小声で云った。
「黙ってて!急ぐんでしょ!!」
「はい・・・」
彼は、機体の出撃時よりもGを受けていると感じた。

ミリの働きで、すぐに格納庫に着いた。
「君たちか!これのパイロットになる人は」
そこには1人の成人したくらいの兵士がいた。
「はい!機体は?」
「無事だよ。まだここまで侵攻して来ていない」
そこでヴュルムが兵士に訊いた。
「機体のタイプは?」
「ディス系だよ」
リオンとヴュルムはホッとした。
彼らは元々ディスのパイロットだったからだ。
「なら身体の影響をほとんど受けない。いけるぞ!」
リオンを降ろし、ヴュルムはミリに押されて機体へ急いだ。
リオンも急いで機体へ向かおうとした。
その姿を見た兵士が、肩を貸してくれた。
リオンが兵士を見る。
「1人じゃ大変だろ?」
「ありがとう」
兵士の肩を借り、どうにか機体の前まで来た。
リオンはリフトに乗り、コックピットへ向かう。
「頼んだぞ!」
兵士に云われ、彼は笑みを浮かべて頷いた。
ヴュルムはコックピットの前までミリに連れて来てもらっていた。
「手間をかけさせたな」
「いいのよ」
ヴュルムを車椅子から降ろし、コックピットに入れる。
その時、格納庫内に大きな振動が起きた。
「もうここまで!?」
リオンはコックピットを閉め、機体を起こさせた。
ミリは振動の衝撃で、ヴュルムのいるコックピットの中に落ちるようにして入った。
「大丈夫か?」
「うん」
すると、突然格納庫の屋根が砕け、雨のように降ってきた。
「うわーっ!!」
外にいた青年兵が瓦礫の下敷きになった。
リオンが驚き、兵士の方を見た。
しかし、もう声も聞こえなかった。
ヴュルムはコックピットを閉め、機体を起こそうとした。
しかし、ディスは云う事を聞かなかった。
「クッ、やはり2人乗っていては無理か・・・」
ヴュルムが悔しそうに云った。
そこにリオンが云った。
「ミリはそこにいるんだな?」
「あぁ」
「じゃあそこにいろ!俺が行ってくる」
それを聞いて、ヴュルムが声を張り上げた。
「止めろ!無茶をするな!!」
しかし、それは彼の耳には届いていなかった。
グレーの装甲色で大きなカマを装備しているリオンの機体が、壊れた屋根から飛び出して云った。
すると、すぐに敵機を見つけ、片っ端から攻撃していった。
「お前らぁ・・・お前らお前らお前らぁぁぁ!!!」
驚異的な強さを見せ、次々と敵機を叩きのめしていく。
ヴュルムとミリは、その光景を唖然として見ていた。
それは空中を駆る死神の姿の様だった。

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