ディサイション・パワード 3部第25話



ディフェンスは、敵の作戦に成す術なく戦闘海域であった場所から数十キロ離れた地点の島影に身を潜めていた。
そこにライが着艦してきた。
変な奴が艦内に入って来たと聞いて、リオンとミリが格納庫に走ってきた。
銃を構える兵士を見て、リオンがそれを取り上げて構えた。
すると、赤い機体のコックピットから1人の男が降りてきた。
その格好は軍服などではなく、だらけた白いツナギを着て、腹部付近で黒い帯を締めている。
黒い髪の毛はボサボサで、やる気の無い眠たそうな目をしている。
口からは舌をダランと出していて、不気味な雰囲気を漂わせていた。
「誰だ!お前は。軍の者でないのは明らかだな」
リオンがライに銃を向けて云った。
「聞いていませんか。この機体のテストパイロットです。自隊が全滅したので、止むを得ず」
ライは舌をしまい、次は親指の爪を噛み始めた。
リオンやミリ、他の兵士は唖然としている。
そんな空気も気にしていないのか、ライが訊いた。
「この艦の指揮官に会いたいです。報告もしなくてはいけません」
リオンは彼の乗っていた機体を見て、こう云った。
「する物は?もしお前が云っている事が事実ならば、あの機体はまだ公表していないだろう」
すると、ライがポケットの中を探り始め、1枚のIDカードを取り出した。
「これでいいですか?」
リオンが銃を構えたまま近づき、それを見た。
「議長府公認特別民間兵?!」
「信じてもらえましたか」
リオンはライを連れて春の部屋へと案内し始めた。

スバルとナセルはノゥに招集をかけられていた。
「2機のデータは取れた。あとは君たちに管理を任せる」
「お役に立てるよう努力します」
スバルが云った。
「もう1つ、私は宇宙へ上がる。君たちはサンダーボルト隊長の隊に移ってくれ」
「了解しました」「了解」
全ての事を告げると、ノゥはその場を去った。
彼が去った後、ナセルが云った。
「また貴様と一緒か」
「それはお互い様だろ」
スバルが少し楽しそうに云った。
これが通常の2人のやり取りだ。
「フン」
ナセルが踵を返した。
スバルは、ヤレヤレといった風に彼を見た。

リスが受け渡された戦艦『メンフィス』に2人は移動した。
リスと会い、挨拶をした。
そして、彼女からこれからの行動について説明された。
「突然だが、本艦は他の新型3機の奪取、あるいは破壊を命じられた。よって、3機を収容していると思われる政府軍艦を追跡する」
2人はリスの作戦指示を聞いている。
「君たちは最初、私と共に後方で待機だ」
それを聞いて、ナセルが反応した。
「我々が後方で待機ですか?」
「そうだ。今回の作戦はこうだ」
彼女は作戦の内容を話し始めた。
それは、特殊武器を装備した強火力部隊を配置し、その部隊の一斉射撃で一気に畳み掛けるというものだった。
「とどめは我々が、ということですか」
スバルが訊き、リスは頷いた。
ナセルも渋々納得し、作戦会議は終了した。
そして1時間後、すぐに追跡を行う為にメンフィスが発進した。

その頃、ランド・世界政府の両者に、何者からか意味深な情報が与えられていた。
「『深海石書』?最近発見された古代文書じゃないの?」
報告を受けた弥生が兵士に訊いた。
「えぇ。それがですね、最近何者かに盗まれたらしいんですよ」
「あんな物盗んで何に使うのかしら。ヒエログリフで書かれていたの…」
彼女は、自分で云い掛けた言葉である事に気付いた。
「犯人が解読したって事?!」
「おそらく・・・」
弥生は報告と共に紙が渡された。
それは、犯人と思われる物から、ランド・政府に送られてきた文書だった。
そこには、古代兵器『イクナートン』という文字が記されていた。
そして、それはもうすぐ地上に姿を現す、とも記されていた。
それを読んだ弥生はある決断をした。
「これが現れるとされている場所を突き止めて。ランド軍に渡すわけにはいかないわ。それだけは食い止めなければ・・・」
兵士はすぐに対応に移った。
ランド側もそう行動を取ろうとしていた。
「奴らに先を越される事だけは防がねば。イクナートンを使って奴らの全てを消してやる」
オウンはすぐに地球へ降下部隊を送った。

両軍がすぐに動き出した事知り、1人微笑を浮かべる者がいた。
それは美衣だった。
暗い部屋の中で、全てが自分の思惑通りに動いている事が可笑しくて仕方がなかった。
復讐を自分の生きる意味として考えている彼女には、最高の出来だった。
「フフフッ、精々殺しあうがいい。最後に笑うのは、私だ」
狭い部屋の中に、彼女の笑い声がこだました。

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