ディサイション・パワード 3部第33話



美衣たちの突然の出現に、ランド軍基地『グラウンド』内はパニックになっていた。
レーダーにも映らず、基地のすぐ傍に近づき、現れた瞬間から攻撃をしてきた。
5機の驚異的強さに、ほんの数十分で、グラウンドは陥落した。
5人は基地の中に入り、生存者たちを捕まえる、または殺していった。
「あの艦はもういらんな。破壊しろ」
美衣は、新型艦にも関わらず、躊躇うこともなく基地に設置されていて残っていた兵器で、宙域を彷徨うビトレイアルを撃った。
突然の砲撃に対応できないまま、ビトレイアルは沈んだ。
その様子を見た後、美衣は思いもかけない行動に出た。
ランド軍の本部へ通信を試みたのだ。
本部側は、味方基地からの通信なので、普通に回線を開いた。
「聞こえるか」
『誰だ!!』
オペレーターが叫んだ。
「オウン・センターと話がしたい。今すぐつなげ」
『正体も分からん者と総指揮が通信で会話など』
その時、オウンが騒ぎを聞きつけ、本部に来た。
「グラウンドからの通信が何だというのだ」
オペレーターが慌て、咄嗟にマイクを渡してしまった。
美衣は向こうの状況が読め、こう云った。
「オウン・センターだな。会話できて嬉しいよ」
『誰だ、貴様は』
美衣は躊躇う事無く、自分の名前を述べた。
「ミイ、といえば分かるだろう。イクナートンのデータはすでに私の手元にある」
その言葉に、オウンは勿論、4人も驚いた。
地上の政府軍とランド軍は、それをめぐって戦っている。
なのに、その争いの根元をすでに手元にあると云った。
『オリジナルは破壊した、という事か』
「跡形もなくな」
オウンは興味あり気に食いついてきた。
それを見計らって、美衣が云った。
「今、捕虜として預かっている兵士を、そちらに返還する。その兵士からデータを受け取れ」
オウンはさらに興奮した様に云ってきた。
『我々に渡すと云うのか!!』
「迷惑か?」
彼は、拒絶などするわけもなく、喜んでそれを受け入れた。
「総指揮、敵の罠かも知れないんですよ?信用するのですか」
「ここで動かねば、何も変わらんからな」
オウンは不気味な笑いをした。
「通信は切る。貴軍の武運を祈る」
そう云って、通信を切った。
通信の様子を見ていたジミュートが云った。
「終わらせるのか」
「不服か?」
「いいや」
美衣は、まだ何かを隠しているかのような、そんな感じを出していた。

政府軍は、宇宙に戦力を集め、とうとうランドへ進軍する事となった。
「最終決戦だ。気を引き締めていけ」
春がクルーたちに云った。
それぞれの思いをめぐらせ、個人個人は覚悟を決めた。
解散し、イェルが廊下を渡っている時、後ろからミリが来た。
「イェルさん!」
イェルは振り返った。
「どうした?」
「いえ・・・。何故か、話したくて」
どういう事か分からなかったが、彼はミリに云った。
「じゃあ、行こう」
手を引き、彼はある場所へ向かった。
そこは、外が見渡せる、休憩所だった。
2人はそこにあるソファに腰掛けた。
「あっ」「あの・・・」
2人が同時に言葉を発した。
ハミカミ、お互いに譲り合った。
「イェルさんから、どうぞ」
結局イェルから話すことになった。
「ミリちゃん、リオンの機体に乗るんだろう?」
ミリは小さく頷いた。
リオンの事があった後、イェルの言葉を聞いて、ミリが春に直々にパイロットに申し出ていたのだった。
「あのさ・・・、気をつけろよ」
ぎこちない言葉だった。
ミリがイェルを見る。
「死んじゃ、終わりだろ?」
2人の間に沈黙が流れる。
「でも安心しな。俺が、護るから」
今後の戦況では、2度と逢えないかもしれない。
イェルは、今まで思っていた事を、この言葉に乗せ、伝えた。
「うん。ありがとう」
ミリが礼を云った瞬間、イェルが抱きついた。
突然の出来事に、唖然とするミリ。
彼女は、何故か彼の腕の中で落ち着けた。
そんな中、レボリューションは戦場へ向けて走っていた。

ネアンたちの元へ、こんな情報が入ってきていた。
「ランド軍の、グラウンド基地が?」
「あぁ。謎の集団に陥落させられたらしい」
ネアンはその会話を聞き、何か嫌な予感がした。
「そこへ行ってみないか。両軍のどちらでもない集団。放っておけば邪魔になるやもしれん」
天は考えた。
そこに渉流が云った。
「もうすぐ戦闘が始まるんだ。それは無理だろ」
流石に今回は渉流が正論だった。
「そうだな。戦闘は食い止めねば」
アドバンスは、両軍の戦闘が行われると思われる地点へ向かうことになった。

ランド軍側は、前方に政府軍の艦隊を確認した。
「来たぞ。迎撃準備!!」
リスや、ノゥも出撃の準備をしていた。
今までいた仲間。
それが全て周りからいなくなり、1人になったリス。
今、それを深々と感じていた。
「ネアン、イェル、ジロンド・・・」
リスとノゥは戦場へ出た。
宇宙という舞台で、最後の戦いが再び始まった。

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