ディサイション・パワード 3部第36話



ヴィーナスの姿を見て、15年来の友人たちが弥生に呼びかけた。
「オーシャン!あなた、何をしようと!!」
リリスが大声で訊いた。
「この戦争は地球に住む者と、宇宙に住む者間の問題です。ならば、私たちのすべき事は唯一つ。敵である者を全て」
「やめろ!!」
春が叫んだ。
弥生は話すのを止め、黙った。
「お前の考えは解った。なら、尚更そんな事は!!」
彼の叫びも、彼女の言葉によって打ち消された。
「ならば、どうやって終わらせる?考え、理想の違う者がいるから、争いが起こるのです」
「それが、結論なんだな?」
「無論です」
彼女は変わっていた。
それが世界政府の上層部の決定でも、彼女の意思だとしても、前までの彼女なら、この様な事だけにはならなかった。
彼らはそう思って仕方がなかった。

ジミュートも、ヴィーナスとその会話を聞いていた。
彼も、弥生を止めようと、ヴィーナスへ向かおうとした。
しかし、そこにノゥが現れ、攻撃をしてきた。
「面白い事になっているな、ジミュート」
大剣を振り、ジミュートがセイバーで受ける。
「そこをどけ!お前に構っている暇はない!!」
ノゥが一歩引き、ジミュートのセイバーの射撃を避けながら云う。
「フン。すでに手遅れさ。ムツキ ヤヨイが宇宙に住む者に制裁を下す」
「彼女にそんな事はさせない!!」
背部の腰の辺りからバズーカを取り、ノゥに向けて撃った。
「この戦場の狂気が奴をもそうさせたのだ!!」
フィールドを張り、弾を消滅させる。
「どの道、私を倒さねばあそこへは向かえん!!」
「そうだな。ならば早々に決着をつけさせてもらう」
それを聞き、ノゥがせせら笑う。
「ハァ!無駄な足掻きを!!不可能な事を」
「生憎俺の辞書は不良品でねぇ。不可能って言葉は乗っていない!!」
ジミュートはセイバーを連射し、ノゥがフィールドを張りつつ、回避する。
「それは買い換えた方がいいな。ジミュート!」
2人の刃が再び交わった。

美衣はヴィーナスに向かっていた。
それを発見したネアンが、彼女の機体の方に向かっていく。
彼女はそれに気付いた。
「ミイ!今度は何を!!」
「全ての決着は、私の手で下さねば意味がない。あの女神、落とさせてもらう」
ネアンはトリガーから指を離した。
ヴィーナスを止めようとする意思。
それが一緒だったからだ。
「貴様との決着も、そのあとだ」
美衣は加速し、ヴィーナスへ向かった。
ネアンもその背中について行くようにして、ヴィーナスへ向かった。

春は、弥生を止めようと試みていた。
「ヴィーナスを止める」
クルーたちは、誰一人として反論しなかった。
政府軍艦隊は、ターゲットを変更し、ヴィーナスの方へ向いた。
そして、ランド軍全軍に、国際救難チャンネルで通信を試みた。
当然、この状況での敵からの通信など、と反応しなかった。
だが、この事がリスに伝わった時、彼女がこう命令した。
「回線を開け」
指揮官の命令で、回線をつないだ。
「こちら、世界政府軍ハル・キサラギ中将だ。我々は、あの巨大BMをランド及び、地球の脅威とし、行動を停止させる事を決定した」
ランド艦隊は騒然とする。
リスもそれを聞き、唖然とした。
「どういう事?奴らの味方ではないというの?」
春はさらに続けた。
「よって、これより貴軍の支援に回る」
ランド艦隊は騒然としたが、あれを止めるにはそれしかない。
そう考えた。
「一時停戦、という事か。何か策があるのか?」
現在、艦隊を仕切る指揮官が訊いた。
「我が軍の戦艦、及びディス・BMには、ハロに対応できるバリアが装備してある。貴軍の艦隊は後退。他の戦力は、全て本軍の戦艦に着艦してくれ」
ランド側はそれを了承し、全ての戦力が。政府軍の戦艦に集まった。
そして、ヴィーナスへ向かっていく。
リスも、その中の1隻に着艦していた。
そこで、春が全軍に命令した。
「ディス・BM部隊。前方巨大BMに向け、一斉射撃。てーっ!!」
号令と共に、ディスやBMが一斉に射撃をした。
だが、それはヴィーナスのフィールドによって阻まれた。
「効かぬ。その程度の攻撃で」
弥生が、ハロを撃った。
だが、それは政府軍のバリアによって中和された。
「これだけの戦力を持ってしても・・・」
春が愕然とする。
その時、前方に、白と黒の2機の機体が現れた。
美衣とネアンだった。
「貴様などに私の邪魔をさせるわけにはいかん、オーシャン」
美衣が云った。
「ランド1基たりとも落とさせん」
ネアンも云った。
2機は物凄い勢いで突っ込んで行った。
「呪縛から解き放たれろ、オーシャン!!」
美衣は右手にエネルギーを集中させ、ヴィーナス中心部に殴りかかった。
「沈めぇぇぇ!!」
ネアンはランチャーを放ち、左手に装備してある霞で中心部を突いた。
2つの攻撃は同時にヒットし、美衣の攻撃はフィールドを中和し、機体を捉え、ネアンの攻撃も、ランチャーの攻撃によって弱まったフィールド部分を突き、機体を捉えた。
「ヨウの元へ先に逝け!!」「うおおおおおおっ!!!」
攻撃のヒットにより、各部に異常が発生し始める。
「撃て!ハル!!」
美衣が云い、春が号令した。
「全艦全砲門開け!照準、ヴィーナス・・・。てーっ!!!」
全ての艦から、強力な攻撃がヴィーナスに向けて放たれた。
美衣とネアンは空間移動で回避しようとした。
しかし、美衣の機体は、先の無理な攻撃によって、空間移動システムに異常が生じていた。
「!?・・・ここまでか」
背後に迫る無数の攻撃に死を覚悟した。
その時、美衣の機体を掴む物があった。
ネアンだった。
彼はそのまま空間移動をし、その直後に、ヴィーナスに攻撃が直撃した。
ヴィーナスは、フィールドを展開できず、次々と火災が起きる。
弥生は、無心で外を眺めていた。
終わった・・・、これでよかったのだ、と。
そう思っていた。
そして、ヴィーナスは大爆発を起こし、弥生は、壮絶な最期を遂げた。

その光景を戦いながらも遠目に見ていた、ジミュートとノゥ。
2人は唖然としていた。
「・・・終わったんだな、ヤヨイ」
ジミュートの目付きが変わり、ノゥの方へセイバーを向けた。
ノゥも大剣を向け、戦闘体勢に入った。
「終わりにしよう。ジミュート!!」
「俺の台詞だ、ノゥ!!」
2人の最後の戦いが始まった。

ヴィーナスを落とし、空間移動で戦場から少しはなれた場所に来ていた、美衣とネアン。
「何故助けた」
「私がお前を倒すからだ」
2機は、すでに装甲が剥がれ落ち、ディスの素体そのものになっている状態だった。
「決着をつけるぞっ!」
「臨むところだ」
2人は己の拳のみで、最後の、運命への決着をつけようとしていた。

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