ハジマリノ歌 Nova2「一カラノヤリ直シ」


「奇怪な物を造ったな。DSバリアの応用か」
理解しがたい状況下でも彼は冷静だった。
ノヴァの解釈だと、この空間はカディス軍のDSバリアと同じ原理で、それの大型版という事だった。
『貴様の思い通りになどさせん』
「・・・誰だ」
何もない空間から声が聞こえ、ノヴァは反応した。
『時の支配者とでも言っておこうか』
声は淡々と話を進める。
『貴様の手によって世界は破滅の道へと進んだ。その未来はやり直さねばならん』
「だから何だ?」
『貴様と選ばれし者を過去に飛ばし、選ばれし者に戦争が起こる前に貴様を殺してもらう』
ノヴァはここでも冷静で、飛躍し過ぎている話なのに何故か理解できているような気がした。
『精々頑張るがいい、時を越える受刑者よ』
時の支配者と名乗る声が聞こえなくなり、次の瞬間トンネルの出口を見つけたかのように光が差し込み思わず目を瞑った。

―空は雲に覆われている。真っ暗だ。あちこちで煙が上がっている。ここは戦場だ。味方の死体があちこちに倒れている。あっ・・・―
ノヴァは急に目を開き、起き上がった。
全身汗だくで、妙に呼吸が乱れている。
「はぁ、はぁ・・・っ。またあの夢か。くっ・・・」
ゆっくりと立ち上がり、着替えを取りに行く。
着替え終わり、建物のドアを開けて外に出る。
目の前には荒野が広がっていた。
戦闘の跡だ。
「この光景は・・・」
「よっ、ノヴァ。目ぇ覚めたか」
「!?」
ノヴァは話し掛けて来た相手を見て驚いた。
「ジョン・・・」
「何ビックリしてんだよ。変だぜ?」
ノヴァは突然その場を走り出し、そこら中にいる兵士を跳ね除けながら誰かを探した。
「ジョンがいるんだ。なら、あいつも!」
目当ての人物を見つけた。
家畜小屋の牛をボーっと眺めている。
「ハリー・・・」
「ん?おぉ、ノヴァ。おそよう」
その人物は振り返り、ノヴァにそう言った。
すると後ろから誰かが走ってきて、ノヴァの横で止まった。
「ハァ、ハァ。何急に走り出してんだよ。ハァー、疲れた」
それはさっき会った『ジョン・マルサス』だった。
そして牛を見ていたのが『ハリー・エメロン』だ。
二人ともかつてのノヴァの戦友で、親友だった。
ノヴァは腰から崩れ落ち、立てなくなった。
「お、おい、大丈夫かよ」
ハリーが近寄って来て、ジョンはノヴァの背中を擦った。
ノヴァは唐突にこう切り出した。
「今日はいつだ」
「え?」「は?」
「今日は何年の何月何日だ」
二人は不思議そうな顔をして見合わせた。
「さぁな、戦場にいりゃ今日がいつかなんてワカンネェよ」
「そうそう。昼と夜がわかりゃいいもんな、とりあえずは」
ノヴァは必死に状況の整理をした。
彼がこんなに取り乱すとは珍しい。
そして、あの言葉を思い出した。
―貴様と選ばれし者を過去に飛ばし、選ばれし者に戦争が起こる前に貴様を殺してもらう―
「過去に来たというのか、本当に・・・」
「何言ってんだ?」
「さぁ」
ジョンとハリーは彼のおかしな様子に多少戸惑っていた。
そこに誰かが来た。
「なーにたむろしてんだよ、お前ら」
「なんだ、キバタイチョーか」
「なんだとはなんだ。失礼な。大体なぁ、俺はこの隊の指揮官なんだぞ?礼儀ってモンをなぁ」
『ルイス・キバ』、ノヴァたちの所属している隊の隊長だ。
指揮官にも関わらず、ジョンやハリーにはタメ口を聞かれている。
「ノヴァ、立てるか?あっち行こうぜ」
「お前ら・・・」
三人はキバを無視し、場所を移動しようとした。
「俺、いいわ。ちょい一人にさせてくれ・・・」
「えっ、あぁ、いいけど」
「具合悪いなら早めに何とかしろよー」
ノヴァはフラフラと何処かへ行った。

大きな木を見つけ、そこに倒れるように座った。
「あいつらが生きてるのなら、最低二年半前まで戻ってきている事になるか・・・」
彼の脳裏にさっきも見た夢がフラッシュバックされる。
「次の戦闘だ・・・」
その時、ノヴァはハッとした。
「あの声は俺を殺して未来を変えようとしている。という事は、未来は変えられる」
彼は右腕を体の前に真っ直ぐ伸ばし、少しコツのいる力の入れ方をした。
すると空間が歪み、バリアの様なモノが現れた。
「能力は生きているのか。ハッ、ハハッ。やってやるよ時の支配者。やり直しだ。未来よりもっと残酷なやり方で。クックックック・・・」
ノヴァは立ち上がり、皆のいる所へ戻った。

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