ハジマリノ歌 Nova5「ワグナー隊結成」


ブリーフィングルームに集まっているはずだ。
そこに着くまでの時間、廊下を歩きながら自分が指揮する隊のデータ資料を見ていた。
「これは・・・」
資料に挙がっていた前隊長の名前に見覚えがあったのだ。
「こいつの隊は未来で俺が全滅させた敵軍との戦闘でほぼ全滅したはず。これも計算のうちか、時の支配者」
さらにパラパラと資料を捲り、それでこの隊には四人のエースが判った。
「忍者二人に剣士、狙撃手が一人か。なるほど」
ブリーフィングルームの前に着いた。
ドアノブを下ろし、ドアを押して中に入る。
部屋の中には三十人ほどの兵士がいた。
ノヴァよりも年上に見える者の方が多い様に見えた。
彼らより一段上の位置に上がり、そこの中央で立った。
「今日より我々の隊の指揮を取られるノヴァ・ワグナー隊長だ」
ノヴァが召集を頼んだ兵士、仮隊長が言った。
ノヴァは特に何か言う訳でなく、最前列に並んで座っている四人の青年を見ていた。
この隊のエースたちだ。
紺色の髪の毛で真面目そうな青年、『リカード・マルサス』。
忍者だ。
その隣に座っている大人しく少し幼げに見える青年が『トロイメ・シックザール』。
クセ毛で薄い緑色の短髪。
彼もリカードと同じで忍者だ。
トロイメの横で腕組みをして足を組んで座っている銀髪で長髪の青年。
彼が『バルドル・ヘルモード』、剣士だ。
そして最後にトロイメにニヤニヤしながら話しかけている金髪の青年が『パレ=ロワイヤル』。
狙撃手だ。
いつまでも黙っているノヴァを見て焦った仮隊長がどうにかしようとノヴァに言った。
「た、隊長。作戦の説明を」
ノヴァは彼を見て部屋の端に避け、部屋を暗くし、正面にあるスクリーンに地図を映した。
「現在、リキール隊とヨエル隊がこの地点で戦闘を行っている。我々の仕事はそれの支援だ」
レーザーポインターで地図の一箇所を指す。
「この隊は優秀だと俺は見た。作戦など無意味だろう。個人の判断に任せる」
「ちょ、隊長!?」
部屋は明るくなり、ノヴァは出て行った。
「もー、つかめないお方だ」
仮隊長だった兵士が愚痴を漏らした。
「どんな戦績の持ち主なんです?新隊長は」
そこにリカードたち四人がやって来た。
「どー見たって俺たちと大して変わんないぜ、年齢」
「フンッ、今に俺が引きずり落としてやる」
「良くないですよ、そういうのは」
他の三人も色んな思いがあるようだ。
というより、八割方悪口だった。
「知りたいか?」
「はい」
仮隊長がリカードに言い、彼は返事をした。
「隊長は、キバ隊の生き残りだ」
それを聞き四人の表情が一変し、その場の空気も凍りついたようになった。
「ほぅ・・・、あれが噂の有名人か」
「『仲間殺し』、でだろ?」
やはりあの戦闘の事は曲がった状態でかなり有名になっているらしい。
「実際に戦闘を見た事はないが、腕はかなりらしいぞ」
仮隊長が豆知識を教えた。
「ここで俺たちが彼の事を言っても仕方がない。次の戦闘で様子を見よう」
「ヒュー、流石いつも冷静なリカード君だ」
「貴様に言われなくともそんな事は判っている」
「やめて下さい、こんなところで」
バルドルはリカードの事を意識しているようだ。
そんな二人に茶々を入れるパレと仲介をするトロイメ。
それぞれが役割を果たす事でどうにか成り立っている関係のようだ。
「まあまあ。兎に角、作戦も近いんだ。訓練早めに切り上げて休むようにしろよ」
仮隊長はそう言い、部屋を出て行った。
「精々死なない事だな」
「ヒャー、きつい言葉で」
バルドルとパレはそう言って部屋を出て行く。
トロイメがリカードの顔を見た。
「俺たちも行こう」
「そうですね」
ワグナー隊、最優秀兵士たちは複雑な関係だった。

ノヴァは用意された自室の中で何かをしていた。
暗い部屋の中でキーボードをカタカタと打っている。
画面には囚人情報なるものがリストで映っていた。
どこかの国のデータベースにでも侵入したのだろう。
ノヴァの指の動きが止まり、彼は微笑した。
「ある程度の未来は変わっていないという事か」
接続を切り、電源を切る。
そしてシャツの中から小さな写真が入れられるくらいのペンダントを出した。
「奴がいればこれの出番か」
元に戻し椅子の方へ歩いていき、座った。
「お手並み拝見といこう、ワグナー隊諸君」
部屋の中にノヴァの笑い声だけが響いた。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: