ハジマリノ歌 12話「繋がる剣」


久しぶりに意識と自分が結びついた。
ゆっくりと瞼を開ける。
すると、太陽の光が眼に差し込んできた。
それで視力を奪われる。
「目、覚めたね」
ボーっとまだ真っ白な目の前の空間から声が聞こえてきた。
しばしジッとする。
そしてようやくくっきりと辺りが見えるようになってきた。
自分はベッドに寝ているようだ。
その横に女性がいる。
赤い長髪で、綺麗の部類に入るだろう容貌の持ち主だった。
「誰・・・?ここは・・・?」
「マリよ。ここはこの村の人の家。部屋を一つ貸してもらったの。あなたは?」
何故知らない女性に介抱してもらっているのだろう。
頭の中に色んな疑問が浮かび上がってくる。
「レオン。レオン・クライン。・・・俺はカディスで戦闘を―」
その時彼は思い出した。
かつての友、リカードと戦っていた事を。
「あなた重傷だったのよ。だから私が治療した。丸四日寝てたんだから」
「そう・・・ですか。すみません、手間掛けさせたみたいで」
「ううん、全然。でもよかったぁ、目が覚めて」
マリはニコッと微笑んだ。
レオンは思った。
自分の守るべき人と似た名前の女性。
容姿、性格、全てが雲泥の差だ、と。
「あの・・・、一人ですか?」
「ううん、あと三人いるわ。今はいないけど、多分夜までには戻ってくると思う」
「あっ・・・、そうですか」
レオンの「一人ですか?」という質問はそういう意味ではなかった。
今、付き合っている人がいるか、いないかを訊いたつもりだったのだが。

ノヴァは白龍とレイジを連れてある場所へ来ていた。
険しい山の中腹にある洞窟。
そこは現地で『白龍の巣窟』と呼ばれている場所だった。
「こんなとこにロンドがやった悪行の証拠とかあんのか?」
レイジが訊いた。
「証拠?どう捉えてもいいが、白龍。お前にとっては知るべき真実だ」
三人は洞窟の中へと足を踏み入れる。
中はひんやりと冷たい感じがする。
少し奥まで進んだ時だった。
突然何かが三人に襲い掛かってきた。
「なんだ!?」
レイジがキャノンを構え、撃った。
それは命中し、その何かは動かなくなった。
が、まだそれで終わりではなかった。
同じ様なモノが次々と飛び出して来て、三人に攻撃をしてくる。
白龍も剣を抜き、向かってくるそれを斬り殺していく。
ノヴァも剣で次々と殺していった。
三人の強さは異常と思われるほどだ。
その何かをほんの数分で数十匹も殺した。
それの死骸に近寄り、近くで見てみる。
それは進化した昆虫のようだった。
「なんだよこれ・・・」
「この洞窟の中で育った虫だろう。ここには何か強力な力があるのかもしれない」
レイジの発言に白龍が答えた。
「その通りだ。お前の体の中にいる白龍も何かがここで進化したものだろう」
ノヴァはそう言い、何事もなかったかのように先に進み始めた。

それから数度色々なモンスターに襲われた。
が、どれも彼らの敵ではなかった。
そして、ついに白龍がいたと思われる洞窟の最深部に辿り着いた。
村人が封印の意味も込めて造ったのであろう御札の貼られた扉が建てられていた。
「どけ」
レイジがキャノンを撃ち放った。
扉は吹き飛び、中が丸見えの状態になった。
「崩れたらどうする。ハシャギ過ぎだ」
ノヴァはそう言いながらも無関心そうに中へ入っていく。
レイジも愚痴をブツブツ言いながら中に入ろうとする。
その時、彼の隣で白龍が倒れた。
「ガッ・・・、グフッ・・・」
苦しそうな声を上げながら地面に倒れ、体を痙攣させている。
「お、おい。マジかよ」
ノヴァもそれに気付いて戻ってくる。
「やはり中のバケモノが暴走しそうになるか。ならばここで見ろ」
そう言って扉のあった場所から向こうに向けて光を放った。
携帯用人口太陽。
半永久的に使える電力源兼熱源になるカディス製の製品。
それによって洞窟の中が昼間の外のように明るくなる。
もがき苦しむ中、白龍は力を振り絞り先を見た。
そして驚愕した。
「これって・・・」
レイジも絶句する。
そこには現カディス王国の国旗のエンブレムと全く同じものが印されていた。
「あのエンブレムはロンドが王位についた時に国旗として採用されたものだ。自らに施されたもので判らなかったかも知れないが、白龍。あのバケモノを封印する時にお前に施した印は、これだ」
ノヴァがそう言った。
白龍は目の前にある物を信じたくないといった風だ。
「奴は封印の印と解放の印を同じものを使っている。呪文を変えるだけで使い分けが出来る、頭のいい奴だ」
「おい、もうヤバくないか?こいつ死にそうだぜ」
白龍は息も絶え絶えに、もう限界を超えていそうだった。
「飛ぶぞ」
レイジが白龍を抱え、ノヴァは二人と共に空間転移をした。

レオンがマリと話をしている時だった。
瀕死の男を連れた二人組みの男が部屋に入って来た。
レオンは彼らの顔を見て驚いた。
「お前、ノヴァ!それに、レイジと白龍隊長・・・」
傷が完治していなかった為、腹部の痛みに声が出せなくなった。
「目が覚めたか。俺の部下に殺されかけるとは、不甲斐無さ過ぎる」
ノヴァが話す横で、レイジが白龍をゆっくりベッドに寝かせる。
「明日俺はボルドーに戻る。お前を連れてきたのは最終確認をする為だ」
「最終、確認・・・?」
レオンは訊き返した。
「時の支配者についての情報を話してもらおう。無論俺もお前に知る限りの事を教える」
「・・・いいだろう」
レオンはノヴァに話し始めた。
「残念だが、俺は白龍隊長を疑っていた。俺に接触してくる地位の持った人物があの人しかいなかった」
「・・・奴は違う。逆に被害者だ。カディス王国国王ロンド一世。奴が一番怪しいと俺は思う」
「国王が?」
レオンは少し驚いたように言った。
「こいつに白龍を封印したのはあいつだ」
「だがあれは隊長の任意で、国王も仕方なくと聞いている」
「・・・封印を解き、カディスにバケモノをよこしたのはロンドだ」
ノヴァの言葉にレオンは絶句した。
「そして思惑通り王位を手にし、国を牛耳った。今や兵器使用の最終判断も奴にかかっている」
レオンは上半身を起こし、ある物を探した。
そして小さな収納の上にそれを見つけた。
ノヴァから預かった受信機のペンダントだ。
それをパカッと開き、中から小さな何かを取り出した。
「グングニルのデータが入ったメモリースティックだ。何か役立つかもしれない」
レオンはそれをノヴァに渡す。
「確かに預かった。だがロンドが時の支配者だと確定した訳ではない。カディスの中をもう少し探ってもらいたい」
「俺も真実が知りたい。どちらにしろ国王は何かをしようとしている。共同戦線だ」
当初では予想も出来なかった。
二つの剣が一つになった瞬間だった。

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