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ハジマリノ歌 14話「疑いの矛先」
「で、お前あいつらに何かされたのか」
「あぁ、国の事や軍の事を色々と訊かれた。けど知らないと答えたらすぐに解放してくれたよ」
「用無しって事か。でも良かったよ、無事で」
「ホントだよぉ・・・」
「ゴメンな」
レオンはマリアの頭を撫でた。
「そういや、アロウ。お前戻ってきてたんだな」
「おう。まぁ国が大事に至らなくてよかった。そうそう、俺お前に礼を言わないと」
「何?」
するとアロウは立ち上がり、レオンの前に立った。
「レオンが最初に弓技勧めてくれたから、それで自分の隊を持つ事が出来るところまで来れた。ありがとう」
「お前隊長かぁ。すげぇな、おめでとう」
二人はガッチリと握手をした。
そこに、マリアが思い出したように切り出した。
「あっ、レオンどこかに行こうとしてたんじゃないの?」
「あっ!」
それを聞いてレオンも思い出した。
「基地に帰還報告しに行こうとしてたんだよ。じゃっ、行ってくるわ」
そう言い、彼は席を立ってその場を去った。
その後姿をアロウはジッと見ていた。
「どうしたの?」
マリアが気にして声をかけた。
「おかしいよな」
「えっ?」
「あいつが帰ってきたのに、白龍隊長は?それに、妙に冷静すぎはしないか?」
「たしかに冷静なのはレオンらしくないけど、考えすぎじゃない?」
そう言われたが、アロウはまだ何か腑に落ちない感じだった。
コマンディングタワーにレオンは到着した。
正面玄関から入り、ふと立ち止まって考えた。
白龍がいない今、誰に報告をすればいいのだろうか。
その時、後ろから声をかけられた。
「君は、レオンだったかな」
レオンは振り返り、その人物を見た。
「オドアケル総帥」
「確か報告書では『死亡』ときていたが、無事だったか」
すでに上にまでさきの戦闘の報告がいっていた。
「はい。ご迷惑をかけ、すみませんでした」
「いや、無事で何よりだ。こんな所で立ち話もなんだ。部屋に来ないか?」
オドアケルの計らいに乗らせてもらい、最上階の部屋まで行く事になった。
オドアケルと彼の護衛数人とレオンが乗ると、エレベーターは少しの隙間しか残っていなかった。
「少々狭いか・・・。やはり話は部屋でだな」
「はい・・・」
ようやく最上階に着き、護衛を避けて二人だけが部屋に入った。
「まぁ座りたまえ」
オドアケルが先にソファに座り、続けてレオンも座る。
「少し気になる話を聞いたのだが、君の事は深くは訊くまい。・・・白龍はどうした」
レオンは表情を変えまいと努力した。
「報告書には負傷した君は敵軍の兵に連れ去られ、その連中と白龍が共に逃亡した、と。君が連れて行かれた場所に白龍はいたか?」
「いえ、いませんでした。私は彼らの仲間に治療されていて、目が覚めるとすぐに尋問されました。私が何も知らないと言うとすぐに解放されましたが」
彼はそう言った。
オドアケルは一瞬表情を曇らせたが、すぐにいつもの表情に戻った。
「そうか。いや、悪かったね。君を疑うような事を訊き。そういえば王子が君が帰って来たら俺の下へ来いと伝えてくれと言われたよ。王子は君の生存を信じていたらしいな」
最後に意味深な事を言い、オドアケルは立ち上がった。
それと同時にレオンも立ち上がる。
「では、失礼します」
オドアケルは自分の机のある方へ歩いていき、レオンは退出していった。
ノヴァは基地内のブリーフィングルームにレイジたちを集めていた。
レイジは数席を陣取り、でっかい態度で寝ている。
マリはノヴァの立っている台の目の前の席に座り、白龍は二人と同じくらい離れた場所に座っている。
なんともまとまりのない。
「おい、お前の部下はこれだけなのか?」
相変わらず寝転がったままのレイジが言った。
「関係ない。カディスの事は奴に任せておけばいい。俺たちはある人物を見つけ出す」
「人物?」
マリが訊き返した。
「バレンシア国王を殺害した人物だ」
それを聞き、白龍が言った。
「部屋にいた国王を含む十数人の人間が殺されていたと聞いた。それを言うならグループを探す、だろ」
「いや、単独だ」
ノヴァはあくまで自分の意見を変えない。
「なんでそんな意地張るんだよ」
レイジが呆れたように言った。
「・・・理由など知らなくていい。手掛かりは、鋭く優れて切れ味のある刃物の使い手だ」
ノヴァは現場に一度行った。
だから大体の状況が判っている。
全ての人間の殺され方が同じだった。
そういう武器を使い、且つかなりの腕の持ち主でないと無理だとふんでいた。
「刀か」
「恐らくな。俺の知る限りその種類が最も切れ味がある。そしてそれはクセのある武器だ。熟練していないと使えない」
ノヴァと白龍の意見が一致していた。
「でもよ、刀なんて使っている奴なんかごまんといるんじゃねぇか?」
「探すのは名刀だ。一般の刀とも切り口が違い、キレイに斬れていた。そうなると最初よりは絞れてくる」
何故この男がそのような詳しい現場の状況を知っているのか。
その言葉に三人が一瞬反応する。
それに気付いたマリが言った。
「じゃあ手分けしてやりましょ。丁寧且つ迅速に、それが任務遂行の為の原則でしょ?」
「そうだな。各自、作業開始だ」
四人はバレンシア国王殺害の犯人である名刀使いを探し始めた。
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