ハジマリノ歌 21話「同じ道」


「ふぅー、やっと終わった」
「こうしてみると案外広いな、ここ」
「私なんてなんの思い入れもないのに、疲れたー」
レオンとトールは顔を見合わせて笑った。
「てかさ、君。そんなんだったんだな」
「え?何が」
「性格。前俺が面倒看てもらった時、もっと清楚な感じに思えたんだけど」
マリはブスッと顔を膨らませた。
「悪かったわね、清楚じゃなくて。あの時はまだ緊張してたのよ、ノヴァに連れて来られて間がなかったから」
レオンは嬉しそうに笑った。
マリはそれが気になった。
「何でそんな嬉しそうなのよ」
「いやね、俺の彼女に似てんだよ、君。名前も、雰囲気も」
「あの子か。たしかにそういう雰囲気だな」
トールも彼女とマリアを照らし合わせ、納得した。
「彼女かぁ」
「国において来たけどな・・・。まっ、あの時は仕方なかった。俺もトールもピンチだったし」
レオンが苦笑しながら言った。
トールはそれを聞いて悪い事をしたと思ったのか、こう言った。
「すまなかった。必ずお前を元の生活に戻してやるから」
レオンはハッとして彼の顔を見た。
「いや、お前のせいじゃないよ。俺も追われて当然の事してたしさ。まっ、気長にリカード待とうぜ」
三人は大人しくリカードが来る時を待つ事にした。

ノヴァは一度基地に戻って来ていた。
腕に大量の刀を抱え、部屋の中に入る。
レイジはその光景に唖然とする。
「お、おい・・・。なんだよその刀の数」
「十人仕留めた。いや、もしかしたら一人は他の奴が・・・」
ノヴァはパソコンを立ち上げ、すぐに何かを調べ始めた。
そして、彼が考えていた事は現実と一致した。
「どしたー?」
「・・・俺がさっき殺したオダという男。奴は数日前にすでに死んでいた」
レイジもその事の重大さに気付いた。
「もしかして、そんな工作するって事は・・・」
「俺たちの動きが読まれている。やはりどこかで監視している奴がいるんだ。この軍の中に」
そこに白龍も部屋の中に入って来た。
「戻っていたのか。どうした?」
二人は過敏に彼の事を見る。
「な、なんだ・・・」
白龍は困惑した。
「こいつではない。最初はカディスにいたんだ。お前も違うと思う」
「そっか」
こんな会話をしていたが、ノヴァの頭の中ではもうすでに一人の人物の名前が上がっていた。
その人物もあのリストに載っていて、彼がまだ会っていない。
だがノヴァはその結論に達したくない気持ちもあった。
「俺はあまいのか?」
「なんだよ突然」
前に過ごした未来の様に事は進められないと思った。
前にはなかった感情というものが芽生えてきたのかもしれない。
「あいつも邪魔をされなければここに到達したのかもしれんな。そして俺と同じ選択を強いられた。結局の行く末は同じだが」
レイジと白龍は彼が言っている事の意味が解らなかった。
「そして俺はあいつと同じ道を進まされる。知ってしまったが為に、止まれないからか」
そう言うとノヴァは剣を手に取り、部屋を出て行った。

ノヴァはある部屋の前に来た。
ゆっくりと扉を開ける。
そこはソフィア=セロ総統の部屋だった。
中には当然彼女がいた。
一人デスクに座っている。
「ノヴァ、何か用?」
ソフィアが彼に言った。
ノヴァは聞かず、剣に手を伸ばし彼女に斬りかかった。
躊躇せず剣は振り下ろされる。
その攻撃をソフィアは俊敏な動きで回避した。
「答えろ。お前たちの上にいる奴は誰だ」
ノヴァは以前のような鋭く冷たい目付きで彼女を見据えた。
ソフィアは一瞬間を置いて、笑い始めた。
「アハハハッ、流石ね。気付いたの?そう、あなたを監視していたのは私」
そう言うと彼女は刀を手にした。
名刀『ノブナガ』。
ソフィアの愛刀だ。
「少し勝手にやり過ぎたかしら。まぁ、あなたはここで死になさい。どの道死に行く運命。最期に行き着く場所は、死」
ノブナガを鞘から抜く。
そしてノヴァの方へ向けた。
「越えられるかしら、運命という名の壁を」
「受け入れるさ。やる事を済ませて、最期は」
両者は同時に踏み込んだ。
そしてつばせり合いになる。
「フフフッ、無駄よ。そう、思い出した。あの人からあなたに伝えてほしい事があるって」
ノヴァは一度切り払う。
「二週間後にあの戦争は起こる、と。私には意味が解らないけどね」
ソフィアは再びノヴァに迫る。
ノヴァは彼女の攻撃を剣で受けた。
その時、部屋の扉が荒々しく開けられ、続々と人が入って来た。
「総帥!大丈夫でありますか!?」
それは騒ぎに気付いた兵士たちだった。
「残念ね、もう終わり」
ソフィアは攻撃を止め、兵士たちの後方へ消えていった。
「貴様、逃げられると思うなよ」
兵士たちが一斉に銃を構える。
ノヴァは彼らを睨んだ。
次の瞬間、一発の銃声が聞こえた。
「なっ、まだ号令を出していないぞ!」
隊長らしき中年の男が言う。
その時、一人の兵士が背中から煙を出しながら倒れた。
彼らは一斉に後ろに振り向く。
そこにはレイジと白龍が立っていた。
「お前、こりゃやり過ぎだろ」
「ソフィア=セロも名前が挙がっていたんだ。仕方がないといえば仕方がない。いくぞ」
白龍はいきなり兵士たちを次々と斬り始め、レイジも撃ち殺していった。
「き、貴様らーっ・・・」
最後に隊長らしい男もレイジに撃たれて死んだ。
「お前ら」
「これで俺らはボルドーにいられなくなったな。さっさと逃げようぜ」
「バレンシアに元部下がいるのだろう?そこに行こう」
ノヴァは彼らの行動に驚いていた。
まさか自分の為に?
「あぁ。飛ぶぞ、バレンシアへ」
三人は瞬時にその場から姿を消した。

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