ハジマリノ歌 26話「決まっていた関係」


だが、思い残すことやこれでいいのかという疑問は山ほど残っていた。
「きみ」
不意に声をかけられ、一瞬ビクッとした。
声のほうへ顔を向けると、そこには三人の男が立っていた。
前髪をわけている青年と毛先がキッチリと揃った髪型の青年、癖毛らしい髪型の青年だった。
そして前髪をわけている青年が続けて言った。
「カディスの兵士?」
「は、はい・・・。あの、あなたたちは?バレンシアの軍服・・・」
マリアは警戒した。
「あぁ、俺たちはバレンシアの兵士だ。レオン・クラインの居場所を知らないか?」
さっきの青年が言った。
「レオンを知ってるの!?」
「知ってるさ。知ってるよ、よくね」
「レオンは・・・」
マリアは一瞬躊躇ったが、自分も行動を起こそうとし、決断した。
「レオンは王宮に行きました」
それを聞いて青年が言う。
「そうか。最後だな。じゃあ、もう一人。トール王子の居場所を知らないか?」
「判らないけど・・・、多分正門の所が一番激しいから、そこかも」
「正門か。ありがとう」
三人の青年はマリアに礼を言い、正門に向かおうと歩き始めた。
すると、マリアが叫んだ。
「待ってっ!」
それに反応して三人が振り返る。
「私も連れて行って」
突然の申し出と、彼女がここにいる現状が矛盾していることに戸惑いつつも、青年たちは無言で「ついて来い」と合図した。
その時、何処からか女の声が聞こえた。
「リカード!」
そう呼ばれたのは、前髪をわけている青年だった。
「マリ」
四人はマリという女の元へ走っていく。
「どうしてこんな所に?!」
「レオンに言われたの。あいつは来てくれるはずだから、って。こっちよ!」
彼らは彼女の先導で戦闘区域に突入した。

正門の外では戦闘が激化する一方だった。
トールとアロウはレイジと合流し、カディスとボルドーの両軍を相手に戦っていた。
「そろそろ、キツイんじゃねぇ・・・?」
「弱音を吐くな!」
その時、彼らの所にマリが到着した。
「トール!」
「マリ!?王宮に向かったんじゃ」
「いいから!援軍よ」
彼らの後方からロケット弾が飛んできて、前方の敵を焼き払った。
そこにいたのはバレンシアのリカード、バルドル、パレ、そして何故かマリアの姿があった。
「リカード!来てくれたのか!」
「処分は必至だけどな」
アロウがマリアの姿に気付いた。
「マリア?!」
「アロウ!!」
マリアはアロウの所に寄る。
そして近寄ってくる敵を迎え撃った。
「どうして彼らといるの?!」
「色々あってな・・・。マリアこそ」
「さっき会ったの、あの人たちと。協力してくれるって言うから」
トールたちも彼らと同様に前に出てきた。
「無駄口叩いている暇はないぞ!」
「あーいよ。援軍来たし、俄然やる気出てきたってねぇ!」
「行くぞ、二人とも!」
「指図するなっ!」
「やれやれ。まぁ、いっちょやりますか」
未来を担う少年少女たちが、僅かな光を守るために命をかけた戦いに集結した。

レオンは慎重に王室を目指していた。
銃を構え、警戒しながら進んでいく。
だが、全く人の気配がしない。
「気味が悪すぎる」
そして彼は王室の前に差し掛かった時、信じられない光景を見た。
「白龍隊長!」
そこには白龍が腹部を剣で貫かれ倒れていた。
「レ、オン・・・か・・・」
「時の支配者ですか!」
「急げ・・・、はや・・・く・・・中へ・・・」
レオンは今にも絶命しそうな白龍を廊下の端へ寄せた。
そして、王室の扉を開く。
その中には銃口を突きつけられ、今にも殺されそうになっているロンド王と、クロ・トロンベ。
そして、国王を殺そうとしている本人、ミハルド・オドアケルがいた。
「オドアケル総帥・・・」
「来たか。久しぶりだな、レオン・クライン」
その横でクロが銃に手を伸ばそうとしていた。
が、それはオドアケルが一度止めさせた。
「この光景は想像しなかったが」
「ハハハッ!どのような状況でも関係あるまい。君は私、時の支配者に辿り着いた」
「とりあえず国王を放せ」
レオンはそう言い、剣に手を伸ばし、抜いた。
「聞けぬ相談だな。こいつは殺す。後々邪魔にならんようにな」
「させないっ!」
レオンは走り出した。
オドアケルはロンドを突き飛ばし、クロが受け止めた。
「うおおおおぉぉぉっ!!」
レオンはオドアケルに向かって剣を振り下ろした。
オドアケルはそれを剣で受け止める。
「そう焦る事もあるまい。最終的にここで結果が出るのだ」
その時、室内に銃声が鳴り響いた。
クロがロンドの頭部を撃ち抜いていた。
レオンはしまった、という表情をした。
「これでいい。君もこれでよかった」
「なにをっ!」
レオンが剣を振り上げると、オドアケルは切り払い、剣は弾かれて彼の後方に飛んでいった。
「全てを聞いてからでも遅くはあるまい?」
レオンは彼を睨んでいる。
そこに、別の男の声が入ってきた。
「それには俺も賛成だ。全て聞かせてもらうぞ」
それはノヴァの声だった。
「ノヴァ・・・」
「ノヴァ・ワグナー。フフッ、役者が揃ったな」
「話し終わった時がお前の最期だ」
以前の時の流れから転移した全員がここに揃った。

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