ハジマリノ歌2 Story4「通過点」


「あの集団は一体どういう・・・」
「ボルドーの軍服ではなかったが、ボルドー側は反逆を起こされたと言っていたな」
あの時の反乱者たちはボルドーの軍服を着ていなかった事にリカードは気付いていた。
「という事は、奴らはボルドー軍の人間ではなかったという事だ。恐らく民間、あるいは外部からの派遣」
トールは貧乏揺すりをし始めた。
「連中はカディスのためと言いながら戦っていた。だが!俺は断じてそんな事を仕組んでいない!!」
「判ってるよ。だが、お前以外の誰か、という可能性もある」
リカードの発言にトールが立ち上がって反論した。
「そんなはず!」
「あくまで可能性だ。他に考えられる可能性は・・・、近隣の大国の陰謀」
「ボルドーが邪魔だという思想の国家か」
「だが表向きそんな話は聞かない。だがあれほどの騒動を起こす事が可能な国・・・」
トールがすぐに答えた。
「カディス、バレンシア」
「またはボルドーの自作自演」
「しかし何の根拠もない・・・」
トールはドスッと椅子に腰掛けた。
「調べてみる必要があるな」
その時、部屋の内線が鳴った。
トールが受話器を取る。
「どうした?」
『バ、バレンシアが攻撃を受けました!』
その情報を聞き、二人は驚き顔を見合わせた。
「何処の部隊だ!」
『解りません!バレンシアからの報告によると、所属不明の部隊の襲撃を受け、中継基地の施設を破壊されたと。現在所属不明はカディス方面に向けて逃走中、バレンシア軍の隊が追跡中。管制部の報告によると、あと数時間でカディス領域内に侵入するとのことです!』
「所属不明だと?」
二人の頭の中にはボルドーでの出来事しか思い浮かばなかった。
「侵入されると思われる予想地点から一番近い基地に伝えろ。バレンシア軍と連携してそいつらを捕らえる。ボルドーでの事件と関係があるかもしれない」
『了解しました!』
そう伝えると、トールは受話器を置いた。
「この短時間にこれらの事件。絶対に繋がりがあるはずだ」
するとそこでリカードが言った。
「俺も行かせてくれ。共同戦線」
それを聞いてトールは驚いた。
「お前が一人行ったところでどうなる」
「何もしないわけにはいかない。それに、ボルドーでの事件に繋がる何かを手に出来るかもしれないんだ。このままではカディスが一方的に逆賊となってしまうぞ!時間がない」
リカードは本気だった。
トールは立ち上がって窓の方へ歩いていった。
そして外を眺めながら言った。
「好きにしろ。増援は要請しておいてやる」
リカードはそれを聞き、何も言わず部屋を出ようとした。
そこに、トールが言った。
「死ぬなよ」
リカードはドアの前で立ち止まった。
「あぁ」
そう返事をして部屋を出て行った。

リカードは軍仕様の一人乗り用高速バイクに跨った。
彼の服装は室内にいた時とは違い、カディスの軍服を着ていた。
普通の兵士たちとは違い、黒をベースとした軍服だ。
彼の腰元を見ると剣が下げられていた。
ヘルメットを被り、エンジンをかける。
そして走り始めた。

クラウドたちは追跡を続けていた。
「マジであいつらカディスの領域ん中入るつもりなんですかね?」
ノルンがセレーナに訊いた。
「案外カディスの奴だったりな、あいつら」
クラウドが横から口を出した。
「無闇にそういう事は言うな」
ミハルドが注意をする。
「どちらにしても奴らが領域内に入ればあとはカディスの仕事だ。我々は撤収する事になるだろう」
セレーナがそう言った。
その時、無線機から通信が入った。
『ワルキュリア隊長、聴こえるか?』
「はい、なんでしょう」
『カディスから申し出があった。君たちはそのままカディスの領域内に入り、追跡中の部隊を追い続けてくれ』
さっきセレーナが言った言葉と逆の状況になりそうだった。
『まぁ結果を言えばカディスとの共同戦線だ。あちらもあの集団をどうしても止めたいらしい』
「了解しました。ではこのまま追跡を続行します」
セレーナはそう言い、無線を切った。
「カディスと共闘かぁ。まぁ俺らだけでやるよりはずっとマシだぁね」
ノーテンキにノルンが言った。
「絶対あいつら許さないんだから」
アイナはあそこで仕留め切れなかった事を悔やみ、次こそはと意気込んだ。
ミハエルは黙って、寝ているのか下を向いて座っている。
クラウドは何か不満そうな表情をして前を見据えていた。

二時間後、ワルキュリア隊のトラックはカディス領域内に入った。
するとカディスの基地から通信が入り、目的地を指示された。
そこは軍用基地でもなく、普通の街だった。
セレーナがどういうことか、と訊くと、追跡中だったトラックをレーダーからロストしたと言う事だった。
恐らく燃料が切れたか、何かトラブルが起きたので乗り捨てたか何かだろう。
最後に感知した位置からすると、その街が最も近い事からそこにいる可能性が高いという理由だった。
彼らは指示通り進路を取り、そこを目指した。

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