温泉の種類



温泉の種類


温泉のうち、温度、含有成分の質、量などから「医療効果が期待できる
もの」を療養泉といい、次の9種類に分けられており、泉質についての
効能がはっきりしている。


●単純温泉


含有成分がいずれも基準量に満たず、1キログラムの温泉水を蒸発させ
て残った固形成分、遊離炭酸の量も1グラム未満の濃度が薄い温泉だが
源泉が25度以上あり温度面から温泉法の基準を満たしているもの。
たとえば薄い食塩泉、硫黄泉、重曹泉も「単純温泉」に入る。
ひとくちに単純温泉といっても、体への効果は溶けている成分によって
異なる。
総じて刺激は弱く作用も穏やか、くせもない。高齢者を含めて万人向き
で利用範囲も広い。
日本では最も数が多く、名湯とされる温泉も目につく。


●二酸化炭素泉(炭酸泉)


成分の炭酸ガスが無数の泡となって肌につく「泡(ビール)の湯」。
温度が高いと炭酸ガスは空中に抜けてしまうため低温だが、保温効果が
高い。
末しょう血管、微小動脈を拡張させて、心臓に負担をかけず血圧を下げ
血行も促進させることから「心臓の湯」と言われる。
高血圧症、動脈硬化症、頚肩腕(けいけんわん)症候群、リウマチに有
効。飲用すると胃粘膜の血行をよくして、食欲を高め消化活動を助ける。


●炭酸水素塩泉


ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)は、アルカリ性で皮膚表面の角質を
軟化、皮脂や分泌物を乳化して洗い流すため肌がすべすべする「美人の
湯」。
皮膚が浄化されて放熱が高まり入浴後に清涼感をもたらす「冷の湯」。
飲むと胃酸を中和、胃の運動を促進して胆汁の分泌を促すため、肝臓、
すい臓、胆のうに効く。
陽イオンがカルシウムのカルシウム炭酸水素塩泉、同マグネシウムの
マグネシウム炭酸水素塩泉は、鎮静、鎮痛、抗炎症、抗アレルギー効
果がある。
アレルギー性疾患、リウマチ、慢性皮膚病に有効。飲むと利尿効果が
あり痛風にいい。


●ナトリウム塩化物泉(食塩泉)


皮膚に付いた塩分が体温の放散を妨げるので保温効果が強い「熱の湯」
関節痛、筋肉痛、リウマチなどに有効。飲むと胃酸の分泌を整え、腸
の運動を活発にさせるため、「胃腸の湯」ともいわれる。
殺菌作用があり、傷の治療、うがい、吸入にも。
海水浴、海水風呂は、食塩泉への入浴と同様な効果がある。


●硫酸塩泉


硫酸イオンを含んでおり、腸イオンにより四種類に分類される。
ナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉=ぼうしょうせん)は、末しょう血管拡
張(降圧)作用が強く、高血圧症、動脈硬化症に有効。外傷にもいい
カルシウム硫酸塩泉(石膏泉=せっこうせん)は、カルシウムの鎮静
消炎作用を利用、切り傷、やけどなどに用いる。
飲用では、じん麻疹、慢性湿疹、胆道疾患、便秘に有効。
マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉=せいくみせん)は日本では少ない
芒硝泉、石膏泉に似た作用がある。
アルミニウム硫酸塩泉(明ばん泉)は、刺激が強く皮膚や粘膜を引き
締める収れん作用があり、皮膚病に用いる。


●鉄・緑ばん泉


炭酸鉄泉(主な陰イオンが炭酸水素イオン)と、緑ばん泉(主な陰イ
オンが硫酸イオン)に分類される。緑ばん泉は酸性泉と併存すること
が多く、体への刺激が強い。


●単純硫黄泉・硫化水素型(硫黄泉)


炭酸泉同様に、末しょう血管拡張作用が強く。動脈硬化症、高血圧、
心臓病に適した「心臓の湯」。
脱脂、漂白のほか、解毒作用があり、飲用では金属中毒に有効で、
便秘にもいい。硫化水素ガスには痰(たん)を取り除く作用があり、
慢性気管支炎、気管支拡張症などに有効な「痰の湯」。
有害なので換気に気配りを。湯あたりにも注意。


●酸性泉


硫酸、塩酸により飲むと酸っぱく、肌にしみる。強い刺激作用、抗菌
作用を利用して皮膚病などの治療に使う。
明ばん、緑ばん、硫化水素などを含んでいることも多く、酸性明ばん
泉、酸性緑ばん泉、酸性硫化水素泉などといわれる。
皮膚のただれ、湯あたりを起こしやすい。歯を溶かすため、飲用する
場合には注意が必要。


●放射能泉


ラジウム泉といわれ、ラドン、トロンが主成分。
飲用すると利尿作用があり、痛風や慢性の尿路疾患に効果がある。
鎮静作用があり、リウマチ、神経痛などのほか、卵巣や睾丸の機能も
高める。有害物質でも少量なら薬となる「ホルミシス」効果もあると
される。湯あたりに注意。



   参考文献:   温泉で健康になる
            飯島裕一著
            岩波アクティブ新書 22


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