リアルオプション



NPV理論は、キャッシュフローを投資家自ら、マネージできないもの(債券投資とか、株式投資とか)を分析するには都合がよいが、キャッシュフローを投資家自ら、マネージできるものの分析には向いていません。オプション価値を考慮しないために、本来の価値を過小評価してしまう可能性があるのです。

会社経営では、経営者は、状況に応じて、投資を控えたり、追加したり、変更したりすることができます。NPV分析では、キャッシュフローーは、全シナリオの平均値をとって、それを現在価値に割り引きます。全シナリオを考慮するので、最悪の結果も、平均値に入ってきてしまいます。実際の経営者は、最悪の結果を回避することができるにもかかわらず、です。

NPV分析をする場合には、前提条件を変化させてみる、つまり、感応度分析を併用しなければならない、ということです。


リアルオプションの4つの形。

リアルオプションを理解するのに、4つの代表的な例を挙げてみましょう。

(1)タイミング・オプション(投資機会オプション)
通常のNPV法によれば、「今、投資するか、しないか」しか考慮しません。タイミング・オプションは、投資時期を後にずらすことによる価値を考慮します。

例えば、会計ソフトを作っているベンチャーがあったとして、丁度、その時、マイクロソフトが、新しいOSを市場に出すところだとします。

会計ソフトベンチャーは、新しいOSが、市場に浸透したのを待って、新製品を市場に出した方が、良いでしょう。つまり、待つことによって、マイクロソフトのOSがあまり人気が無かった場合の開発コストを削減することができるのです。
これは、特にそのベンチャーが、独自の技術、特許、ライセンス、その他の参入障壁となるものを持っている場合に有効です。

さもなければ、競争相手に、市場を持っていかれてしまうことになるかも知れないからです。

さて、この間書いた、恋のリアルオプションの「友達から」、というのもタイミング・オプションの一例だと思います。つまり、とりあえず相手の男性に、市場価値があるかを見極めてから、本格的に付き合いはじめる、というあの戦略です。ところが、上記のベンチャーの例でも注意したように、この戦略をとるためには、当の女性は、競争優位に立っている必要があるのです。例えば、お金を持ってるとか(?)気立てが良いとか(?)料理が上手いとか(?)。さもなくば、友達、っていってる間に、競争相手の女性に、奪われてしまうことになります。

(注)再度、男尊女卑と言わないでね!男と女を入れ替えてチョーダイ、気になる方は。

(2)グロース・オプション
基本的には、もし市場環境が良くなれば、製造を増やす、というオプションです。例えば、コインランドリー経営で、今はそんなに、利用者はいないが、多めにコインランドリーを備えておこう、というのがこれにあたります。今は利用者が少ないので、NPVは、マイナス。ところが。。。もしかしたら、近くに、ランドリーの無い独身寮が現れるかもしれません。そうすれば、急にお客さんが増えても大丈夫なわけです。

(ちょっとこの例はあり得ないか。。。まぁ、エッセンスはこういうことです)

また、その他のグロース・オプションの例として、ある会社が、そんなに得意ではない、新しい市場に参入するオプションです。例えば、オリンピック選手が、芸能界に入ったりする例です(→いきなり、飛躍しすぎ)。

このルーキー芸能人は、最初のギャグは、うけないかもしれませんが、次第に、芸能界にも慣れ、数年後には、すっかり芸能界で成功している、といった例です。グロース・オプション。

(3)廃棄・オプション
(4)フレックス・オプション


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