Let’s shake hands!

Let’s shake hands!

中学2年~4月下旬~


2~3日、部屋から出てこない。ベッドから出てこない。食事もとらない。いつ、トイレへ行っているのだろうかと思うくらい足音すら聞こえない。生きているのだろうかと時々布団の中の息子を見ると、目はとろんとうつろで視点があっていない。現実を避けているかのようにとろんとした目で遠くを見つめているだけ…。何を聞いても声は出てこない。どうしたらいいんだろう…。本当に狂ってしまったのだろうか?
3~4日目から、息子が少し動き始める。しゃべりはしない。朝ご飯は食べない。昼ご飯は食べない。トイレと無言の夕食のみ…。目は、全てを拒絶している。
少し落ち着き、毎日尋ねてくる一人の友人S君のみ受け付ける。S君が来た時は、一生懸命普通を演じる。S君が来る前、帰った後は、またうつろな目をして全てを拒絶する日々が続く。家族とは少し会話が出来るようになる。
29日、S君が家族とドライブがてら遠出するのに一緒に行こうとさそってくれた。息子は行くという。引きこもって始めて外へ出る。うれしさと不安な複雑な気持ちだったが、とにかく外の空気に触れるいいチャンス。このまま家の中に引きこもったままにはなって欲しくなかった。
ドライブを終えた息子は、疲労と頭痛で寝込んでしまった。

受け入れる側(家族)もめまぐるしい1ヶ月間であった。
最初は、学校へ行くことが普通と思っていた。行かないという息子に対して行きなさいとしか言えなかった。息子にこれ以上頑張れとは言えないと思い始めた1週間が経過した頃には、行きたくなければ行かなくてもいいと思い始めた。
ただ、毎日息子を心配して来てくれる友人に答えられない息子にイライラを感じ、喧嘩したこともあった。息子を刺激しすぎて窓ガラスを割られたり、暴れる息子を何時間も泣きながら抱きしめて押さえたり…。
自殺するかもしれないと目が離せなかった。弟達の身に何か起きてはいけないと、スーパーへ買い物へも出れなかった。どうしても出なければならない時は、弟達を連れて出かける。そんな毎日であった。

もう一人、今までそんなに親しくなかったH君が毎朝やって来る。なぜこの子が毎朝息子を誘いにくるのだろうかと不思議に思いながら…。息子は、会うことも拒否しつづけた。(後日分かったこと、H君も息子のいじめにかかわっていたという。息子に謝罪したという。したことをとても悔いて、息子になんとか通学して欲しいと思い、毎朝誘いに来ていたらしい…)

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