味玉好き  BASEBALL  MAGAZINE

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打撃の型 もう一人の自分が見ている

イチロー すべてを語る


(3)打撃の型 もう一人の自分が見ている

内野安打、盛り上がるから




 ――本塁打は、狙って打つ?

 「僕みたいなバッターでもホームランが一番気持ちいいですから。(試合の)状況より、そういう球を投げる可能性が高いピッチャーが出てきた時です。アバウト(大ざっぱ)なピッチャーですね」

 ――1996年の日本シリーズ第1戦で河野投手(巨人)から決勝アーチを放った

 「外角の直球ならレフト前に持っていこうと思ったら、なぜか真ん中高めに来て。(球が投手の手を)離れた瞬間に切り替えた。あ、これ、ホームラン打てると。最初から狙ったホームランではありません」

 ――投げた瞬間に真ん中だと分かるのか

 「日本の投手はゆっくり投げてくれますから。振りかぶって足を上げてから、イメージできるんです。アメリカは足を上げてから球を離すまでが短いピッチャーが多い。上原(巨人)なんかは速い。日本のバッターは、真ん中に上原の失投が来ても、意外とタイミングが合わずに見逃すケースが多いかもしれません」

 ――大リーグで本塁打を狙う機会は。昨年8本塁打のうち、狙ったものは

 「狙えると思えるピッチャーはあまりいないです。球場も広いし。(狙ったのは)6本くらいはそうかな。失敗すると、フライがやっぱり多い。失敗のほうがもちろん多い。30回も40回もあります」

 ――本塁打とは対照的な俊足を生かした内野安打。これが多いのは、最後まで粘って打つから?

 「可能性を探すということですね。(スイングの途中で)このまま普通に打てば、ヒットにはならない。だけど、ここで少し(バットの)ヘッドを遅らせて詰まらせれば、内野安打の可能性が出るというのは、体が判断します。ヘッドを最後の最後にポンと出すことによって、高いバウンドになって、三塁前に転がる」

 ――日本にいたころからやっていたことか

 「やっていたけど一生懸命走らなかったことも。(米国では)内野安打で盛り上がってくれるんですよね。だから、やっぱり一生懸命走ろうとする。日本にいたときは『なんだ内野安打か』みたいな空気があるから、必死になれない。バントもそう。いろんなプレーに対する反応が大きいんです」

 ――バント安打もよく決める

 「バントをしてそのままアウトになったという記憶はあまりない。三塁側が多いですね。一塁側はなかなか見づらいから不安。去年は(ピネラ)監督に、一塁側にもやってくれよと言われて。その試合で成功しました」

 ――バントの練習は

 「全然してないですよ。シーズン中なんて、打撃練習が始まるときに2球やるだけ。こういう足の角度で、バットはこういう角度で当てれば、この辺に転がるというコツをしっかりつかめば、(練習は)あまり、いらないかもしれません」

 ――自分の打撃やバントの形を見ている、もう一人のイチロー選手がいる?

 「そういう感覚は持っていますね。1999年に形をつかんでからは、ビデオはあまり見ていません」







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