Shionの部屋

2008/03/01
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カテゴリ: ■ 読書・哲学


新潮社 yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号

十二国記ファンにとっては待望の、6年半ぶりの新作がとうとう発表されました。

物語が途中で投げ出されたままの「戴国」のことは大いに気になりますが、
今回の物語が戴に関わらなかったことに大きな失望を語るファンは
私の見える範囲ではほとんどいないと感じます。
・・みんな、「次回は戴話でよろしくお願いします」と必ず書き添えていますけれども
それだけ、今回の新作短編『 丕緒の鳥 』が素晴らしい作品だった、ということだと思います。

この、「小野不由美が6年半ぶりに十二国記の新作を発表」というニュースが流れたとき、
私は「どんなストーリー?丕緒って何?」と漢字を検索したり文字の意味を検索したりと
やっきになったのですが・・
結局それらしい検索結果は何も出ず、
じりじりとした気持ちで売り出される日を待っておりました。

結局、『 丕緒 』って人物の名前だったんですね。何も出ないわけだ(笑)。

待望の短編に書かれていたストーリーは、
これまでの十二国記の主軸のストーリーからも、各国の王や麒麟やその周辺の人々
(=主人公たち)からも離れ、まったくのオリジナルな視点から
十二国記・慶国のことを語る、というものでした。

これまで話題にのぼることもなかったいち下官の視点から、
これほどまでの重厚なサイド・ストーリーを織り上げるとは・・
やっぱり小野先生はただものではない、と思いました。

私が特に注目し、そして酔いしれたのは、物語の中心にえがかれる、
陶鵲(とうしゃく)という陶器で出来た鳥の美しさ。
それは見たことも触れたこともないはずのものなのに・・
小野先生の完璧な文章が、鮮やかな色彩や手触り・美しい音をありありと
心の中に届けてくれ、強いイメージを心に焼き付けることがました。

陶鵲を作り出す人々のハートもいいですね~。
上からの命令で動く職人さんたちの生きざまがカッコイイです。
ふと、社会に出て初めて覚えた、「チームで仕事をする」ということの意味を、
新鮮に思い出しました。

ところで、丕緒が心境を吐露する場面について。
小野先生が新作が出せなかったときの気持ちを代弁をしているような気がする、という
ご意見があちこちで出ているようですが・・。

私も本文のその部分を最初に読んだときは、すぐにそう思いました。
なんだか、待たせたファンに事情を説明しつつ、詫びているようだ、と。

でもその部分は物語の中で絶対に必要な要素、ストーリーの芯に関わっていたので、
読み終わったときにはそう思えなくなっていました。
限りなく完璧に近い芸術品を作っていたら、たまたまそんな表現が紛れ込んだのだろう、と
今は思います。

小野先生の創作意欲の問題ですが(笑)わたしはやはり、ある程度成功してしまったことが、
次作品へのプレッシャーとなり、それまで物語を生み出していた「通り道」の邪魔になってしまったのだろうと思っています。
たぶん、小野先生は、すごく特殊な物語の生み出し方をする人で、その個性に対して、
雑音が多い環境になってしまったんじゃないか、って思うんです。
そういう意味では、小野先生が物語を「取りにいく」道を6年半ぶりに思い出し、
私たちに届けてくださったことは、本当にほっとする、うれしいことでした。

『 歌を忘れたカナリヤは 象牙の船に銀の櫂 月夜の海に浮かべれば 忘れた歌を思い出す・・』

こんな歌がふと、心に浮かびました。
小野先生がふたたび月夜の海で、十二国記の物語を語り出してくれる日を、
期待しつつ待ちたいと思います。



※十二国記本編は、こちら。(↓)とりあえず物語の最初の2冊だけをご紹介。

月の影影の海(上) 月の影影の海(下)


↑この物語はこの2冊でひとまず完結しています。




【 おまけ画像 】

我が家のスナネズミ、「楽俊」です。
残念なことに昨年4歳で亡くなりましたが、尻尾の先までみっしりと毛が生えていて、
まさに楽俊そのものの容姿でした。

楽俊とミルク

フカフカしてましたー・・カッコイイお兄ちゃんに変身はしませんでしたが(笑)。






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Last updated  2008/09/05 10:51:10 PM
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

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陶鵲  
左一  さん
あのシーンをアニメで見たいと思いました。
もうね、絶対泣きますよ(笑)

「歌を忘れたカナリア」というと私が思い出すのは、市原悦子さんのドラマで聞いた歌です。
「歌を忘れたカナリアは 赤いお糸でぐるぐると 戒められて砂の上」だったかな。まるで印象が違いますね。どちらかというと予王のイメージでしょうか。 (2008/03/03 10:28:20 PM)

左一さんへ>  
しおんw  さん
>あのシーンをアニメで見たいと思いました。
>もうね、絶対泣きますよ(笑)

>「歌を忘れたカナリア」というと私が思い出すのは、市原悦子さんのドラマで聞いた歌です。
>「歌を忘れたカナリアは 赤いお糸でぐるぐると 戒められて砂の上」だったかな。まるで印象が違いますね。どちらかというと予王のイメージでしょうか。
-----

そうそう!アニメ化もあり、ですよねー!だってキャラクター設定はもう出来ているんだし。スタッフは前のメンバーをかき集めてもらえば、すぐにできそうだし。そして「図南の翼」もアニメ化希望・・できれば夏休みの子供映画として。などと、この物語がどこまでも広がることを期待してしまいます。
今回の短編は、最後の2行にノックアウトさせられた私です。
小野主上~~!(号泣)

「歌を忘れたカナリア」、その歌詞は初めて聞きました。
「歌わないから罰を与えよう」「いえいえそれは可哀想~」という掛け合いのお歌なので、私の知らない残酷バージョンもあるのかもです。
「柳のムチで打つ」という罰はあったような??
幼稚園くらいのときに繰り返し聞いたレコードの童謡集にあったのを覚えているだけなのですが、当時「なんて残酷なんだー!」と思ったのが忘れられません。^^;
(2008/03/04 09:10:29 AM)

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