F〈エフ〉 

作 者 六田登
連 載 小学館ビッグコミックスピリッツ
単行本 小学館ビッグコミックス[全28巻](絶版)
1986年

「なんぴとたりともオラの前は走らせねぇ!!」

F1へレーサーへの道を上り詰める主人公軍馬。しかし、これは単なるカーレースの劇画ではない。これは、ほんの少しでも人より前に行きたい、そして誰にも負けたくない、というプライドを賭けた人生、生き方そのものを描いている。

軍馬に迫る現実と、命をかけて愛してくれた人たちへの鎮魂歌。そして、人生の意義。男の泥臭い友情と生き様。命という火を燃やし尽くすために生きている、という実感。そして結婚と子供。あらゆる人の心が交錯する。そして、人々の悲しみをすべて一身にまとい、ひたすら走りつづける軍馬が一体手を伸ばそうとする先にはなにがあるのか?

マスターピースとして、読み継がれる価値のある作品である。

全28巻と長いが密度の濃さは一定で、一気に読んでしまう。

途中オヤジの昔話を続けたり、主人公が出て来なくなったりするのが今の漫画には珍しい。

しかもそれはこのストーリーにとってとても大事な伏線となっている。

長いスタンスがあるだけにだんだんとこの漫画のテーマが見えてくる。

喜びと寂しさが同時に来るそれはいつの時代も繰り返される。

ストーリーはかなりドロドロとした感じなのだが、軍馬とタモツの泥臭い友情が少年マンガとしての爽快さも匂わせる。

後半、特に終盤は六田登全体的に共通する過酷さが全面にでていて、グッとハードに引き締まる。故に最も熱い部分も終盤であると思う。オヤジの昔話や「生き方」というキーワードなどの伏線が一気に集約されるラスト、その熱さは読んで知るべし。


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