Tapestry

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CARLITO'S WAY



5年の刑期を終えた伝説の人物、カリートをアル・パチーノが好演。

麻薬の帝王として、かつて街を牛耳っていたカリートだけれど、
出所後は心を入れ替え、かつての恋人ゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)とやり直そうとする。

5年の間に街の様子もすっかり変わり、暗黒街といえどもかつては存在していた
義理や人情のルールは、もはやなかったのだ。
けれども、いまだに義理を重んじるカリートは、
彼を助けてくれた友人のクレインフェルド(ショーン・ペン)に、
どうしても借りを返さなければならなかった。
なんとか足を洗おうともがくカリートに、否応無く群がってくる昔の仲間たち。
これはもう裏の世界に一歩足を踏み入れた者の宿命なのだろうか・・・。

全体に流れる空気が、何ともいえず悲しい。
ワルなんだけれども純粋な心を持つカリートの、どうしうようもできない心の葛藤が悲しい。
ラストシーン(冒頭のシーンと重なる)で、徐々に命が消えていく時の回想もせつない。
この数分間に回想したのが映画全体の内容、と言う事なのだろうか。
パラダイスを夢見て、愛するゲイルと共に街を出ようとしていたカリートの夢も儚く、
結局は悪事を重ねて命を落としてしまう。
けれども、ギャング映画と言うのは、こういう悲しさがなければだめだと私は思う。
相手を陥れ、勝つか負けるかの勝負のカッコ良さだけでは、やっぱり現実味がないと思うから。
そういう意味ではリアルな描き方をしていたのではないか、と色々考えてしまった。

クレインフェルドを演じていたショーン・ペン、その変貌ぶりはすごい。
全くの別人になりきっているし、外見がああも変わると、
中身のイメージも変わるもんだと再認識。嫌な奴になりきってたしなぁ。
ああいうのを観ると、役者って大変な職業だな、とつくづく思う。
全身全霊で演じなければ人の心に響かないだろうし、
本来の自分とは違う人間になりきるのって、どんな気持ちだろう?
実生活に影響がないのだろうか・・・?
最近観た映画では「モンスター」のシャーリーズ・セロン、
「ラスベガスをやっつけろ」のジョニー・デップとベニチオ・デル・トロなどがそうだ。
役者ってすごい。ホンットにエネルギー消耗するだろうな・・・などと、
色んな事に思いを馳せてしまったよ・・・。

そんな役者が出ている映画はそれだけで素晴らしい。
感動を与えられるからこそ、やってられる職業なんだろうな。パチーノにもペンにも拍手。

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