買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2017年02月14日
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では、奈良時代や平安時代に『日本書紀』を基軸とした世界とは一線を画した書物はなかったのだろうか。別の枠組(パラダイム)に足を踏み出した書物と言ってもよいかもしれない。そうした書物はなかったのか。
私は、ここで『日本霊異記』に注目したい。(中略)弘仁十三年(八二二)以降まもなくの成立である。これは日本最初の仏教説話集で、漢文体で記された書物である。
(中略)
歴史資料としてもとても価値のあるもので、律令格式といった法の条文からは知ることができない社会の実態や人々のありさまがなまなましく具体的に描かれている。六国史のような国家編纂の歴史書(「国史」)からは知ることができない地域社会の姿をうかがい知ることができるのもありがたい。
(中略)
『日本霊異記』が説く仏教信仰では、価値の源泉は「古」とか「旧」に求められるものではなく、中国、朝鮮、そしてインドの仏教にあり、仏菩薩や経典、あるいは特別の力を持つ僧尼に求められた。だから、そもそもの価値観や世界観が大きく異なるし、著作目的がまったく違うのである。
もう一つの特色は、著者の景戒がこの書物で自身の内面を吐露していることである。
(吉田一彦さん「『日本書紀』の呪縛」P206)



近頃の『古事記』過大評価に消極的なのは良くわかったのやけど、その物語るパワーにまで否定的なのはどうかと思うし、そしたら、『日本霊異記』評価から、『日本書紀』の呪縛を越えたパラダイムシフトがどう起るのか、行き先を示す続編を期待したいと思ったんでした。






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Last updated  2017年02月14日 07時07分19秒
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