sakura san 5


華麗に花を咲かせる木々にはさまれてポツンと一本だけ花を咲かせずに立っている。

その向こうには大きな道路がある、やや田舎だから車はあまり通らない。
黒板に目を向けてもう一度外を見ると校門から黒髪の女性が入ってくるのが見えた、彼女は真っ直ぐ枯れた桜の木の方へ向ってその下で腰を下した。
見覚えのある髪型だったからすぐにわかった、あの女性は間違いなくあの子だ、今すぐ廊下に出て駆け寄りたい、だけどそれはできない、もう少し待っていてくれれば、休み時間になってくれれば、でもきっと今の僕に彼女に駆け寄る勇気も話す勇気もタイミングもない。
しばらくすると彼女は立ちあがりその桜を数分見上げた後にどこかへ去ってしまった。

なぜかその時には「もう一度会える」というとても確信のない自信が持てていた、いや、直感というべきか。

「もう一度会える」
「もう一度会いたい」

心の中で授業中その言葉をずっと繰り返していた。

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