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機動戦士ガンダムSEEDMEMORY
STARG9 災害と悲しみ
「お前・・・地球の奴だな?」
「え・・・あ・・はい。」
「予想的中!地球の匂いがしたからな!オーブの匂いもちょっちすっけど」
「・・・匂い・・・か。鼻が敏感なんですか?」
「まぁ・・・な」
そういうと、イーゼルは一瞬だけ悲しい顔をした。リンはそれを見てイーゼルに尋ねた。
「どうしたんですか?イーゼルさん」
「別に・・・昔を思い出しただけだ。気にすんな・・・とにかく・・・これからどうするんだ?」
「妹が・・・地球にいる・・・だから・・・会いに行く」
「ほぉ・・んじゃ、俺んとこの作業員に乗せてってもらえ。なあに、修理は一人かけたくらいでたいしたことねぇしな」
「あ・・・・ありがと・・・う」
「自分流で喋れや。話しにくいんだろ?」
リンは驚いた。そして、イーゼルに不思議そうな顔で喋る。
「なんで・・・分かったんだよ?」
「喋りにくそう・・・いや・・・辛そうだからな・・・」
「・・・・・」
二人は黙った。そのとき、自動車がリン達の前で止まった。イーゼルが自動車に指を指す。リンは「乗れ」という合図に気づき自動車に乗り込んだ。そして、自動車は煙を出すと走り出した。
『光と闇』
今こそ 歩き出す 道を 探し続け
闇という暗闇の中 彷徨い 正しき道探し 歩き続ける
果てしなき闇を突き抜けて 希望を僕らは探し続け
振り向かず前を向き ただ歩いて 自分たちの居場所を探し出す
たとえ 辛いことがあっても ただ 前を向き歩き続けて
この胸に秘めた勇気を 振りかざして 闇を消し去り、光に照らそう
悲しみも孤独も消し去って 未来への鍵は 自分たちの手の中
静かに 光の鍵を 振るい翳して
そして、大分進んだところで運転手の一人が言った。
「あなたは・・・あのククスカ殿のご子息ですね?」
「え?」
リンは運転手を見た。運転手の作業員は笑いながらリンを見ていた。リンはゆっくりと頷いた。すると、ゆっくりと作業員が言った。
「やはり・・・顔・・・姿・・・性格・・口調があの人とそっくりですからね・・」
「父さん・・・と?」
「はい、ククスカとは別の意味で親友に近いんだよ・・・彼は幼い頃から・・・勇気があり・・・負けず嫌いで・・・優しくて・・・すこしおっちょこちょいだった・・・。14歳くらいのときに・・・彼にはお世話になった。虐めっ子だった私には・・・必ずというほど助けてくれた・・。そして・・ある日彼が言ったんだ」
『なぁ・・・なんでお前・・・やりかえさないんだよ?』
『やられると怖いし・・・相談するにも人がいないし・・』
『バーカ。俺がいるじゃねぇか、友達だろ?』
『でも・・・ククスカ君は・・・・』
『他人を信じないで誰が自分を信じるんだよ?だから、俺がお前を信じるから、お前も俺を信じろ!ずっと友達だから!』
『う・・・うん・・・』
リンは黙って作業員を見ていた。作業員はそういうと、リンに尋ねた。
「ククスカ殿は・・・元気かな?」
「あ、いえ・・・その・・・帰らぬ人に・・・母さんも・・・」
それを聞くと作業員は涙を流した。そして、リンに言った。
「そうか・・・彼には恩返しのひとつもできなかったか・・・せっかく・・・作業員になったのに・・・君も・・・さぞや辛い思いをしたのだろう?」
リンはそういわれると黙って頷いた。そして、作業員はリンを見ると運転しながら言った。
「両親が死んだ場所は?」
「え・・・・?」
「地球にはなかなか来れないのだろう?連れて行ってあげるよ・・」
「GA-72です・・・」
そういうと、自動車を走らせた。そして、10数分過ぎ、両親が亡くなった街に来た。残骸があり・・あの頃よりもっとひどくなっている。なにより、ビルがところどころで倒れていた。リンはそれを通りながら両親が死んだ場所に歩く。頭の中に両親とナナミで共に暮らしたあの暖かい生活・・・学校で会った友達・・・幸せだった頃の記憶が頭に浮かぶ。リンは思い出すと唇をかみ締めた。唇から血が出てくる・・・眼からは涙・・・手は白くなり胸のペンダントを強く握り締めた。そして、眼を見開いた。そして、叫ぼうと思った・・・だが・・・叫ぶことはできなかった。ただ・・・歯をかみ締めるだけだった。こんなことをしてはれるのか?それが自分の胸に問いかけた。
そして、涙を拭くと待ってくれている作業員の元へ向かった。
「もう・・・いいのですか?」
「うん・・・・」
そういうと、自動車に乗った。そして、ナナミがいるというアッガイの家へと向かう。途中街を見たがユニウスセブンの残骸で派手に壊れていた。ナナミは無事なのだろうか?それがリンの中で強くなっていた。そして、アッガイがいる街に着いた。すると、ダガーが2機ほど立っていた。リンは一瞬で分かった。アッガイの家だと・・・。
リンはアッガイの家の前に自動車が止まるとすぐに降りアッガイの家を見た。少し壊れているが最初来た頃よりあまり変わっていない。ダガーを見たパイロットは乗っていないのか反応もしない。なにより、ダガーの後ろにユニウスセブン破壊の残骸から守るためにかダガー2体が壊れていた。動くことはないだろう。リンは唇をかみ締める。そして、家へ足を運ぼうとしたそのとき、リンの目線の先にアッガイがナナミを抱き歩いてくるのが分かった。すぐさまアッガイに駆け寄る。ナナミはぐっすりと寝ており眼の辺りが少し赤くはれている。頬も赤く泣いた、と思われる。
「アッガイさん・・・無事でしたか?それにナナミまで・・・」
「ああ・・・そこのダガーのパイロットが守ってくれたのだ・・・助かったのだよ。君も無事で何よりだ」
「いえ・・・それより・・・そこのパイロットのものたちは?」
「・・・2体のダガーがやられた・・・今はその葬式に行っている・・我々を守るためにこんなに犠牲を伴うとは・・・すまないと思っている」
「・・・・・」
二人は黙り込んだ。そして、アッガイはリンにナナミを抱かせた。ナナミの暖かいぬくもりが感じる。リンはアッガイを見た。その瞳は悲しいものを見てきた眼だった。
「君の父親・・・・ククスカと同じ眼をしている・・・顔は・・・母親似だ・・・君にあの機体を渡したのは無駄ではなかったな・・・」
そういうと、アッガイは背を向けた。そして、リンに最後の別れのように言った。その声は優しいものだった。
「強くいきなさい・・・躊躇うことなく切り裂きなさい・・・君の運命は君自身が切り開くのだから・・・」
そういうと、アッガイは歩いていった。リンはそのどこかさびしげな背を見ると自分も背を向け歩いていった。そして、自動車に乗るとナナミを寄りかからせ作業員と共にイーゼルのもとへと戻った。
イーゼルはMSの修理の為に作業員に命令を出していた。すべてのものが汗をかき集中し、ナイツオブディスティニーガンダムの修理をしている。イーゼルはナイツオブディスティニーガンダムを見ると舌打ちした。
「ったく・・・こんな難しい奴操縦してたのかよ?」
そのとき、自動車がこちらに向かってくるのを見て手を振った。そして、イーゼルの前で自動車は止まり扉からリンが現れた。イーゼルは笑顔でリンを見る。そして、ナナミに気づくと顔を覗き込みリンに訊いた。
「お前の妹かい?こりゃ・・・両親はどうした?」
「・・・先の戦争でなくした・・・どっちもな」
それを訊くと頭を下げた。そして、そのままの状況でリンに言った。
「わりぃ・・・嫌なこと思い出させたな・・・」
「いいよ。修理はどう?」
「ああ・・すぐにでもできるさ・・・のまえにひとつ聴きてぇことがある」
そういうとイーゼルはリンに向かって銃を向けた。モデルガンなどではない本物の銃だ。リンはナナミを抱いたままイーゼルを見た。イーゼルは構えたままリンに言った。
「返答しだいじゃ撃つ・・・いいな?お前は地球軍の奴か?」
「・・・・・」
リンは黙っていた。イーゼルは真剣な眼でリンを睨みつける。リンは目を瞑るとイーゼルに言った。
「確かに・・・地球軍・・・だな・・・でも・・・オーブでもあり、ザフトでもある・・・」
「どっちなんだ?」
「どれでもない・・・っていうのはおかしいけど・・・ガンダムをくれた人は・・・俺はどこでもない・・・すべてに属さない・・・と言った」
「・・・・・」
二人の間に沈黙が流れる。そして、イーゼルは笑いを零すと銃を下げた。そして、手をリンに出す。
「おもしれぇやつだな!お前は!」
リンは驚いたような顔で見る。そして、イーゼルはリンに笑顔で言った。さきほどまでの殺気は消えていた。
「こんなとこいてもなんだ・・・オーブに連れてってやるよ。オーブなら完璧な修理もできる。実はいうと終わってねぇんだよな。いいだろ?オーブまでのENならあっからよ」
そういうと、リンは笑顔でイーゼルを見た。そして、イーゼルに言った。
「どうも、オーブにも用があったからね。丁度いいさ」
「んじゃ、決まり!乗れよ!」
「?妹を抱いて?」
「ああ。お前しかその女抱けねぇんだからしょうがないだろうが」
リンは苦笑した。そして、ナナミを一度イーゼルに持たせるとナイツオブディスティニーガンダムの中からスーツを取り出し着替えた。そして、ナナミを預かり自分のガンダムへ搭乗させる。ナナミの顔をみるとリンは微笑み、そして、起動をしはじめた。全画面にクリアが現れ発進準備可能となった。
「遅れるなよ!」
そういうと、イーゼルはレバーを思いっきり押した。
「イーゼル・クラウ・・・出るぜ!」
そういうと、イーゼルの専用機体イージスに似た『ヴォエルスガンダム』は飛び立った。さきほどのガンダムと違い青と緑色のフェイズシフトだ。後ろには大きなビームソードが2本がある。そして、リンもレバーを思いっきり押す。
「リン・アーカー、ナイツオブディスティニー出る!」
蒼い空にナイツオブディスティニーガンダムが飛んでいった。その大きな翼は中に舞った・・・・。
『アメノナカ』
雨の振る あの公園で 静かに震えていた子猫が
なぜか、子供のときの自分に見えた
それは自分が可哀想だからと 思ったからかもしれない
ひとつの写真 それが最後の君の面影だから
君がいてくれた あのときを 思い出したいけど 忘れてしまう
でも、ずっと 胸にしまっているから 私を思い出して
なぜか 今日の雨は 冷たく切なかった・・・
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