機動戦士ガンダムSEEDMEMORY

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FINALSTARG 永遠の未来~後編~


リンはナナミが生きていることはまだ知らされていない、だが・・ナナミを殺された怒りより、今となっては冷静に考えていた。
彼を・・戻す方法を。
みんなを守る方法を・・・。
リンは今となっては心配がいっぱいだった、まず、グラディウス、フォーブルの状況・・民間人、イーゼルだ。
フォーンも心配だがイーゼルも病み上がりなのにあんなに動いて大丈夫なのか?いや、心配はいらないかもしれない、彼はきついときでも笑っている。
それが彼の強さ・・・今思えば多くのものは何かを強さとしている。
ディルノはまっすぐな正義溢れる気持ちが強さ。
リアナはその前向きで迷いのない気持ちが強さ。
フォーンはいつも傍にいてくれる愛情、その人を惹きつけることが強さ。
イーゼルは揺るがぬ力と信頼できる器が強さ。
ジュンはいつも心配し、誰よりも優しいのが強さ。
ユミはそのまっすぐな想いと信じることが強さ。
カズマは力と精神力がその強さ・・・。

ひとそれぞれが持つ強さ・・人それぞれ違うけどその力は変わらない。
だが、想いは・・・?
想いは人それぞれで変わる、負けると思えば負けるし勝ちたいという執着心があれば万が一でも勝てる・・何億・・いや、数え切れないくらい
数値での勝てる見込み・・それを人は奇跡と呼ぶ。
どんな絶望的な状況でも・・・諦めず直向に自分を信じればそれはきっと少ない可能性でも生んでくれる・・そのことをリンは信じていた。
リンの好きな言葉は『平和』や『優しさ』・・とかじゃなく『希望』や『未来』と言った言葉だ。
まさしく、リンは夢にも思わず今ここにいる、その言葉どおりに。
正直、勝てる見込みなど万が一もなかった、この機体に乗っていても。
差は歴然とし、今までの一般兵より天と地の差があり、もしかしたら、キラより上かもしれない。
キラ同等・・それ以上とリンはほかのものから呼ばれている・・だが信じてはいない。それ以下だと思っていた、だからここまで成長したのだと。
どこから来る・・・?差を縮めるには少しの集中力も乱せない・・その揺ぎ無い心。

「・・・・・・・」

リンの神経が全宙域に響き渡る・・・どこにいる・・どこに隠れている・・・それはリンを守るかのように探し当てる。一基の小型機がエターナルメモリーから400mは離れた場所に現われる、その小さな口からそこからは想像できない火力を放出する、リンの脳裏で鋭い感覚が襲う・・後ろ・・!

「そこかッ!」

シールドで防ぐとすぐさまビームライフルで牽制する、だが、その攻撃はいとも簡単に外れリンは戸惑う・・・さきほどまでの動きと違うことを。

「くっ・・・!」

次々に小型機が現われ一瞬のうちにエターナルメモリーを鳥かごから逃がさないように包囲する・・油断した。これほどまでとは想定外だ。

「・・・・・なぜ・・・討たない・・・!?」

その言葉にゆっくりと舞い降りたエターナルルインの目が光る・・討たないのは誰もが不思議に思うだろう・・普通のものならすでに討つ。だが、フォルテは何か考えがあるようだ。

『・・・少し話をしようと思ってな、終わり次第始末させてもらうが・・』

「ッ・・・・話・・・!?』

エターナルルインから気配が消える・・その感じは・・ナナミと一緒の感じ。リンは改めて察知する・・彼は家族と話すようにリンに語るつもりだ。

『・・・・なぜ、コーディネーターが生まれたか・・?それは知っているだろう?』

「・・・うん・・・人々の夢、遥かなる可能性・・その願いの欠片が僕たちコーディネーターだ」

『そうだ、だが、人も望むだろう?【遥かなる希望】を。その結果が・・君とキラ・ヤマトさ』

「・・・・・・」

二人は沈黙する・・だが、それを断ち切るようにフォルテの声が再び聞こえ始める・・だが、その言葉はどこか優しい。

『人々の夢、キラ・ヤマト!・・・しかし、それゆえ悲劇は生まれた、それが・・ヘリオポリス崩壊だ。彼を戦いに巻き込んだのも・・。きっと、それが我々への・・嘆きだ』

「・・・・嘆き・・・?」

操縦桿を握る手から汗が少しずつ流れ出るのが分かる・・彼の意味することはリンの存在を否定するのではなく、ただ、自分を作った人に罰を与えた、というのが一番意味が近い。

『そう、多くの命を・・実験を使いながら生まれたのはお前だ、だが、弟と思わなかった日などは・・・ない』

その言葉にリンは大きく目を見開く・・あれだけあれだけリンの敵として現われず非情な言葉を述べた男は・・実は兄と知り、それは自分を討ちたい・・唯一の成功例だからだと自分を恨んだときもあった・・だが、そうではなかった・・これほど嬉しいものはない・・それと疑問が浮かぶ。

「じゃ・・なぜ・・・僕を・・・倒しに・・・!?」

『・・・知ってほしかったからだ、今のお前になるまで・・昔のお前は知らなすぎた、幸せすぎた、それゆえ、愚かだったんだ。だから、戦いの中で・・すべての中で知らせた』

兄の言葉とは思えない真実・・だが、それは不器用な自分を奮い立たせた言葉なのかもしれない。リンは笑みを浮かべようとした・・しかし、それは激しい怒りにより消される。
何・・?そのどよめいたモノはリンを容赦なく襲う・・ナナミを・・家族を殺された・・・!?再び・・今に・・・!その前の両親殺害も・・なぜ・・殺さなければいけなかった・・・?
激しい憎悪とともに疑問が生じる・・・エターナルメモリーの目が怒りと呼応するように光る。
その問いに答えるかのうようにフォルテはしばし言葉を閉ざす・・・だが、次に開いたとき・・それはリンの心を踏みにじる。

『私とて裏切られた、だから討った、・・・としかいえんな』

その言葉にリンは大きく目を見開く・・・優しく真実を知らなくても実の息子同様に親切にしてくれて自分たちを守るために散った家族を・・それだけのことで。
憎しみは憎しみしか連鎖しない・・それは戦いの中で知った言葉・・。
その結果が・・・死?
リンは首を振る・・そんなことはないと、分かり合えると・・。
さらなる追い討ち・・それも信じ切れなかった。

『・・・偽の絆などいらぬ、必要なのは私とリン、お前だけだ』

リンは揺らいでいた気持ちが固まり始める・・それとともに操縦桿を握る手が緩まるのが分かる・・・そう、兄を討つことは・・敵討ちでもなんでもない・・兄弟という縁を・・宿命を断ち切るためだ。

「僕は・・・あなたを討ちます・・・・!」

『・・・話も終わりだ』

その一言から小型機から次々にエターナルメモリーに向いビームが集中砲火する、だが、命中したのは盾のみでエターナルメモリーの姿は・・ない。
フォルテはその気配を察知すべく目を瞑る・・その気配を・・かすかな気配を読み取るために。
エターナルメモリーは右腕にエネルギーを収束に集めるとそれをエターナルルイン目掛けて放つ、巨大な火力はエターナルルインに向いひたすらに飛んでいく。だが、エターナルルインも左腕のみエネルギーを収束するとそれを放つ、互いの強力な火力がぶつかり合い激しい爆発が起きる。その爆風に両機は吹き飛ぶ。

「くっ・・・!」

『くっ・・・・!』

それぞれは態勢を空中で戻すとその腰から互いの主力武器であるビームライフルを取り出し互いに撃ち合う、それは機体に届く前に互いの攻撃が当たり、相殺される。その差を見、フォルテは笑みを浮かべる。

(・・・やはり、最強コーディネーターは侮れない・・・な)

その戦いの状況にフォルテはただ笑みを浮かべる・・これほど楽しいものはないだろう、実の弟の討ちあい・・悲しきながらそれは自分の力を満たすもの・・・その喜びはまさに快楽の境地とも言えた。

「くっ・・・!なら、これでッ!」

≪バラエーナ≫プラズマ収束ビーム砲を回転させると素早く放出する、だが、エターナルルインの右腕の甲からなにやら赤いシールドが現れそれを無力化する。リンは戸惑う・・最新鋭の機体・・それはこれほどまでなのかと。

「何ッ・・・!?」

『甘い・・甘いぞッ!それくらいで未来を守れるのかッ!?』

その言葉にリンは奮起する・・・確かにこれだけでは・・未来など守れない。言葉だけの上辺面になる・・そんなことは自分を信じてくれる味方に失礼であり、それこそ期待を裏切る。エターナルメモリーは腰から≪ルシヴァー≫ビームソードを抜き出すとスラスターを放出し、その勢いを保ったままエターナルルインに向い飛んでいく。
エターナルルインは再びビームシールドを展開するとまず、右斜めからの斬撃を防ぐ、だが、エターナルメモリの攻撃はまだ終わらない、もう片方の腕でもうひとつのビームソードを抜き出すとそれをそのまま真下に振り落とす。

『甘い!甘い!甘いぞッ!』

エターナルルインはエターナルメモリーのコクピットを蹴り返す、リンはその衝撃に苦痛で顔を歪める。
彼はすべてを超えている・・・この人を倒すには・・・それ以上の可能性を秘めた力を出さなければ・・・。
小型機が次々にエターナルメモリーに向けビームを撃つ、今時分に防ぐ術などない・・そのとき、翼が大きく開き、それと同時に手を前に突き出す、そして、現れたのは青いビームシールドだ。
ビームシールドは次々にエターナルメモリーに向い飛んでくるビームを無力化する。リンはその性能に驚く・・キラが関与したというのは知ってる・・だが、これ以上の性能を・・自分の考えを貫き通すその可能性を改めて驚く。

「あ・・・・・・」

『くっ・・・!一筋縄ではいかないのか!?』

小型機はいまだに攻撃を休めることなくビームの嵐がエターナルメモリーを襲う。エターナルメモリーはブーストを一気に放出し限界の速さでビームの嵐を掻い潜る、それは幾たびの戦いを抜けてきたものしかできないやり方だ、リンはそれを抜けると一気にハイマットフルバーストモーソになり、すべての全門を開門し放出する。

『ちぃっ!』

舌打ちとともにエターナルルインは一気に上昇する、たが、リンの瞳はそれを逃さない、その速さを生かしすぐさまに追いつく。

「逃がしやしないッ!」

『くっ・・!』

エターナルメモリーとエターナルルインは互いにビームソードを一度ぶつけ合い大きく回転すると、2機は中央でぶつかる。激しい火花が散り互いに睨みあう。
二人は再び言葉をぶつけ合う。

「あなたも知ったはずだ!憎しみの連鎖は悲劇しか生まぬと!」

『だが、討ち合わず我慢しあえばそれはきっと災いの種のとなる!だからこそ、人はそれを晴らすために戦争というものをするんだろう!愚かだから!』

その言葉にリンは返す言葉が見つからない・・確かに人間は同じ過ちを繰り返し分かり合えることが多くない存在だ。
それが、コーディネーター、ナチュラルという人種の差別だ。
戦って戦って・・生き抜き、力あるべきものは伝説と語られ、なきものは何も知られずただ散っていく・・・。
ここにいるリンもその一人だ、エターナルメモりーという剣を握り戦場に舞い降り、さらには戦いを止めるべく中立を取る。間違っていることもある・・しかし、戦いをとめるにはこれしか術はないのだと。

「・・それは間違っていない・・・でも、人は分かり合える!どんな時代!いつの時代でも・・だから存在がある!」

『すべての世界はお前のように分かるものだけではないのだよ!』

その一言と共にエターナルルインは大型ビームライフルを構えるとエターナルメモリー目掛けて撃つ、その射撃は命中し、エターナルメモリーの左足が破壊される。リンは油断した、これで、機動性、安定性が落ちたのは変わりない・・だが、まだ諦めてはいない。
エターナルメモリーは腰部にある≪クスィフィアス≫レール砲を回転させると実弾をエターナルルイン目掛けて狙いを定める、少しの差も許されない、その間エターナルルインは『ルインシステム』を発動させ、その標的をエターナルメモリーに定めさらには周囲に止まらせる。その圧迫感にリンは危機を感じる・・この一撃は自分を守るための一撃でもあり、相手を少しでも不利にさせるためのい方法だ。

『だから、人は力を求める!世界を生きるためにもッ!』

その一言と同時に小型機は独特の動きを描きながらエターナルメモリーに近寄る、次々に放たれるビームをエターナルメモリーは微動もしなかった。
リンの全神経は一瞬に現れる・・目の前に現れて攻撃する、たった一瞬の攻撃だけだ。リンは目を瞑る・・独特な動きが音となり戦場に響き渡る・・一瞬の音が変わるもの・・それをリンは察知する。

「そこかッッ!」

脳裏に鋭く伝わる感じとその勘に身を任せる、≪クスィフィアス≫レール砲から実弾が二発発射され、それは見事、目の前に現れた小型機、二基に命中し、破壊する。
その実弾は勢いを保ったままエターナルルイン目掛けて飛ぶ、その黄色の塊をリンは信じる・・その願いが通じたかエターナルルインの右腕に命中し、右腕を破壊する。

『ぐっ・・・・!何・・・!?』

「!いまだッ!」

エターナルメモリーはその撃ち落した右腕が爆発するまでにエターナルルインへと向う、その手にもつのは≪ルシヴァー≫ビームソード・・威力は健在である。フォルテは舌打ちをすると同時にエターナルイメモリー目掛けて残された小型機で一斉放射する、その無数に撃たれる嵐の中、一発がエターナルメモリーの赤い翼に命中する、その一瞬の間に爆発し機体は大きく揺れる、だが、勢いはそのままだ。少しでも有利にするために・・。

「はああああああっ!!!!!!」

エターナルメモリーは青い閃光を残しエターナルルインの左腕を斬りおとす、それと同時にエターナルメモリーの≪ルシヴァー≫ビームソードを持った右腕が斬りおとされた、あの一瞬でエターナルルインも斬りおとしたのだ。
肩部だけを残し、エターナルメモリーとエターナルルインの腕は爆発し破壊される。フォルテとリンは互いの機体を睨みつける・・二人が同じ想いを持ったこと・・それは『一撃で決まる瞬間が多い』ということだ。
だが、有利度はエターナルメモリーだ、とはいえ・・残された小型機を倒さなければ直接攻撃は敵わない・・・しかし、フォルテの表情から笑みは消えない。まるで、まだ策があるかのように。

『・・・油断は禁物だぞ・・・?リン』

その一言と同時に小型機が一基現れ空中に残っていた大型ビームライフルの引き金を撃つ、その細かい場所を精密に撃ち抜き、トリガーが引かれ体勢を崩していたエターナルメモリーの≪クスィフィアス≫レール砲の一部に当たる、リンは大きく目を見開く。
その瞬間に爆発が起きる・・リンは目を瞑る・・その衝撃に体が大きく揺さぶられる、胸が圧迫され呼吸が辛い・・リンはさらに認識する・・彼はいつも自分の上を上回っている・・ということを。

「があああああっ・・・!」

エターナルメモリーは一瞬の間でボロボロになり、所々から電波が見えていた・・・翼も赤い綺麗な翼も光の翼で綺麗に見せているだけでボロボロに近い。
リンは歯を噛み締め痛みをこらえる・・体中が今にでも悲鳴を上げそうだ。
操縦桿を握るのも辛い・・リンは今となり意味を知る。外見を壊すのでは勝負には影響はない、中身を潰さなければ。
してやられたというわけだ・・リンは苦い思いでフォルテを睨みつける。
エターナルルインはその目を光らせゆっくりと舞い降りる・・その差を圧倒的に見せるようにフォルテは笑みを浮かべる。

『・・・外から傷つけては武装がなくなるだけ・・だが、中を痛みつければ動きは遅くなる・・ということだ』

「・・・・」

リンは笑みを浮かべる・・なぜだろう・・?こんな辛くて今にでも逃げ出したいのに喉もからからなのになぜか可笑しい。
分かったことがある・・・そうだ、これが自分の源なのか、弱さなのか、と。

「・・・辛いけど・・でも、戦える。みんなが待ってくれるから・・甘さが弱さだから・・・!」

『・・・帰れるという保障はないのだぞ?』

「・・・いや、帰れるさ。あなたをきっと・・倒して見せるから・・・!」

その言葉にフォルテは高々笑う・・どこからそんな自信が出るのか?
甘さが弱さ?そんなのはとっくに知っている、今知ったところでどうなるのだ?体が悲鳴を上げているというのに、弟だという想いなど捨てているというのに。

『・・・強気なのはいいことだ。とはいえ、甘えなどそう簡単に捨てられるものではない、人間の心は分かるのにしばしの時を使うからな』

「・・・そうかもしれない、誰かが殺されたからといって気持ちが・・そう簡単に許せるものでも受け入れられるわけでもない。でも、心はどこまで強くなれる!辛いこと・・嫌なこと・・学べること・・すべてをその身で感じ、成長できる!それが人間だッ!」

リンが想いだすのは両親が死んだときのあの瞬間・・さきほど目の前から消えてしまったナナミ・・・無駄ではない死。だから、今ここで自分はこうして生きている・・・さらには決着がつこうとしている・・・因縁の対決に・・・。














「ッ・・・!?」

キラはその感じを誰よりも早く感じる・・・リンと・・もう一人自分たちに近い気配を。これは・・悲しみ・・・?怒り・・・?
キラの目には戸惑いが表れる、リンと自分はほぼひとつといってもいい、だから分かるのかもしれない。彼は今苦しみつつも・・何かを決めている。
だが・・自分たちもそれに応じて戦わなければいけない、多くの命が散るから・・・。

「だけど・・この感じ・・・」

この感じは・・・自分を・・圧倒するかのような存在。
誰・・?リン・・もう一人・・・?違う・・でも、似ている。
その呆然としているストライクフリーダムにデスティニーから放たれたビームブーメランが飛ぶ、それをキラは素早く察知し、ビームシールドを展開しそれを後ろへと流すようにはじき返す。
その動作を見てシンはやはり思う・・・この人は・・・自分以上の悲しみを背負ってこれまで生きたのだろうと。

「この人は・・・・」

突如現れたフリーダム、伝説上だと思ってた・・だが、実在した。最初の頃はオーブの守り神で前の戦いのように両軍が混乱したときみたいに間違ったことを正すというやり方だと信じていた。
だが、その想いは裏切られザフトのやり方は間違えてる・・連合のやり方も間違えてる・・だから、両軍の戦闘に入り込み、最小限の被害で退けられた。
だが、その最小限の中にはシンの親しい人も・・想いを寄せてた人も殺された。ハイネ、ステラ・・彼らもフリーダムに・・殺された。
ただ、ひとつ淡くまだ幼い少女がシンに告げた言葉・・・

――――シン・・・・好き。

だけど、守れなかった。力がなかったから・・フリーダムのパイロット以上の力を持たないから。

――――ハ、イ、ネ!

アスランとの嫌な状況もこの人のおかげで変われた、そして、自分も変われると思った。でも・・いなくなってしまった、また一人・・・。

「・・・・・アス・・ラン・・・?」

――――君はオーブが好きなんだろ?だから、そんなことを言ってしまう

彼はシンにとって今までの上官とは違う人だった。真剣に考えてくれていつも見ていてくれた。時には反抗もしたけど・・正義感は誰よりも強かった。
だけど・・今はアークエンジェルとかいう前の戦いでは互いの戦闘をとめるために参加したといわれる三隻同盟にいる。
そして・・目の前にいる・・これも。
ストライクフリーダムは素早くMA-M02G≪シュペールラケルタ≫ ビームサーベルを抜きさると大きく掲げ振り落とす、だが、それをデスティニーがビームシールドを展開し真剣白刃取りをし、防ぐ。シンとキラは互いに顔を歪める。

「くっ・・・!」

『ちぃッ・・!』

デスティニーはスラスターを放出するとそれを勢いをつけたまま跳ね返す、ストライクフリーダムは体勢を崩す。

『だあああああああああッ!!』

「くっ・・・!」

ストライクフリーダムは円を描くように回転し体勢を整えようとする、だが、そこにデスティニーの主力武器であり最高火力を誇るM2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲がストライクフリーダムに標準を合わせる、ゆっくりと標準が近づきシンは精神を尖らせる・・この一撃がすべてをねじ伏せる・・・!

『そこだああああああああッ!』

標準がストライクフリーダムに合わされると同時にその火力を大きく溜め放つ。それはストライクフリーダムへと高速に接近する、だが、その間を割って入り込むかのようにインフィニットジャスティスが舞い降りる、その真紅の機体から発せられたビームシールドでそのM2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲からの攻撃を防ぐ、キラは目を輝かせる。アスランもキラの無事を見、微笑む。シンは微動する・・アスランが現れたことに。かつて、信頼しきってた男に・・這い上がってほしかった男に・・。

(・・・アスラン・・・)

シンの目には悲しみがある・・気づかずのその自分の行動・・よみがえるのは彼がザフトにいたときのこと。今でも信じられない・・・アスランを・・呪縛から開放するために殺したのに生きている・・今、この形で。シンは首を振る、それを振り切るかのように。
そんなシンの複雑な思いを知らずアスランは機体の中からシンの乗るデスティニーを見る・・これが、シンの力。

―――――強すぎる力は・・また争いを呼ぶッ!

カガリ・・今となっては離れ離れになった愛しき人。彼女の言葉はまさに・・そのとおりになった。だが、そんな彼女の言葉を否定するかのような言葉。

―――――いいえ、争いがなくならぬから・・力が必要なんです

確かに言葉の意味は正しく・・心地よく感じる。それが今討とうとしているデュランダル議長・・。力をアスランに与え、さらにはシンの力を認めさらなる力を与えた。人類の存亡をかけたデスティニープランを宣言したもの・・だが、彼の言ってることは正しいとも言い切れない。
しかし、自分たちのしてる行動さえ、正しいと言い切れない。
そんなものなのだ、だが・・分かっていることは、力は必要はないのかもしれないということだ。
キラはその目を逸らさずデスティニーを見つめる・・彼の力は間違っている、確かに守るために使ってはいる・・だが、殺すための・・力ではない。
彼は救えるはずだ、その力で。
レジェンドはデスティニーの前に舞い降りる・・キラは異様な感じを悟っていた。そう、それはまるで・・キラを苦しめた・・あの悲しき人に。
レイもまた、憎悪で満ちていた・・自分の大切な人を殺した奴が目の前にいる・・・それは以前の自分ではできない力で今は力がある・・倒すこともできる。シンはレイの突然の現れに戸惑いつつも呼びかける。

『レイ・・・』

「シン・・・気を許すな・・・!今前にいるのは裏切り者と堕天使だッ!」

その言葉にシンは複雑な思いをする・・確かに言葉では討つといった。いざとなると自分は本当に弱い・・本当に彼らを倒していいのか・・・?
だが、そんな迷いはまたあの頃に自分を戻す・・ステラを守れず・・マユを守れなかったあの日に。

『・・・ああ!』

その言葉にレイは安心したか顔を緩める、彼らしくない素顔。だが、それは一瞬しに真剣な顔つきに変わる。そして、それぞれのMSは戦い始める・・未来に向けて、それぞれの想いで・・・。












二人はいまだにその場で睨みあっていた・・互いに動き出せばそれはそれで最後の一撃へと向う。だが、どちらにも勝率は五分だったのだ。
互いに手出しはできず状況はきついものとなった。
それゆえ二人の緊張感はさらに高まる・・・残された力ももう少ない・・リンは最後の賭けを望む・・多くのENを使いながらも放たれる最後の火・・・それに。

「・・・最後にあなたに聞きたいことがある」

『なんだ?』

それは敵としてではなく、唯一の家族としての・・自分が今思っている、最後の問いだ。

「・・・戦いは終わらないのかな?こんな無駄な戦いを・・・」

その言葉を聴き、フォルテは笑みを浮かべる。最強コーディネーターと異名され多くの戦いをしてきて色々知ったのに・・これだけを知ることはできなかったとは・・フォルテからただひとつ、敵としてではない兄としての言葉を・・不器用ながらも伝える。

『・・・終わらないかはお前次第だ、人は未来などは知らない。今を生き未来を必死に生きる・・・それが人だ。人が分かりあえば・・戦いは終わるだろう、こんな・・醜い戦いさえもな』

その言葉を聞き、リンは分かり合えたような気がした。敵でありながらもこの人はやはり家族・・・どんな形でもそれは変わらないことなのだと。
小型機はエターナルメモリーの真横から現れビームを放つ、クロスされ、エターナルメモリーは一気に上昇し、攻撃を避ける。
だが、その後を追うようにエターナルルインが瞬きをする間に目の前に現れる、その一瞬でリンは恐ろしいほどの寒気に襲われる。

「う・・・うわああああああッ!」

その恐怖による叫び声と共にエターナルルインはその残された足でエターナルメモリーのコクピットを蹴り上げられる、その反動でエターナルメモリーは光の翼を閉じ大幅なダウンをしリンは世界が回る思いでその目で必死に相手を見つめた・・・。
この甘さを・・今消さなければこちらが討たれてしまう・・・なら・・・!

「僕は・・・!僕は・・・ッ!」

エターナルメモリーは光の翼を広げるとエターナルルインを見据える・・きっと・・決めてみせる・・・!未来のために・・・!
その想いを心に秘め、エターナルメモリーは残された腕にすべてのENを集める・・核爆発・・起こる可能性は十分に高い。だが、これは賭けなのだ、爆発が早いか、倒すのが早いかの・・!

『ここで貴様は終わる!世界を!未来をすべてを!私を討ちたければ全力で来いッッ!』

その一言と同時に残された小型機がエターナルメモリーに向い飛ぶ、独特の螺旋・・だが、その火口から放たれようとした瞬間、エターナルメモリーは残された腕から最後の一撃を放つ・・・巨大な火力の塊が放たれる、小型機は一瞬のうちに焼かれ消滅し、さらに火力の塊はその赤い色を司りながら突き進む、誰にもとめられないかのように。リンはこの一撃に賭けた、勝負の行方を。

「そんなことッ!あなたは知らないッ!僕を!ほかの人を!」

『だが・・・人は死ぬ!戦いで・・運命で!貴様を討つ!だから、貴様の物語は終わる!今、この時にッ!』

エターナルルインの腹部から開かれた金色の砲口からはそこからは予想される以上の火力が放たれる・・それは互いに中央でぶつかり合い・・互いの一撃を決めるため激しくぶつかり合う。その静かなる激闘は彼らしか知らない・・人と人の限界を超えた戦い、これほど素晴らしいものはあるだろうか?リンはいつの間にか笑みを浮かべていた・・なんでだろう?実の兄を殺す・・というのに・・・嫌な奴だ・・コーディネーターとしての自分・・・兄は恨んだだろう・・・それゆえ、今は戦っている。
分かり合えたらよかったのに・・・。
だが、未来を得るため・・今は自分は戦う。この最後の力で・・・!

「終わりはしない!人はずっと・・生きていく!未来の可能性を秘め!」

『終わるさ!自らの手で愚かさでッ!すべてをッ!』

エターナルメモリーの手は今にでも破壊されそうな状況・・持ちこたえてほしい、これが最後の願いだから。

「終わらない・・・!人は無限の可能性を秘めている!だから、人は・・生きるッ!」

『未来を・・・未来が破滅でもかッ!?』

その言葉を背負う力・・以前の自分にはない、それだけの責任を・・今を。
だけど、今は背負える・・だから答えられる言葉。

「覚悟はできている・・・!未来を・・・生きる覚悟をッ!」

火力の塊はついに、エターナルメモリーのほうが破壊され、最後の武器はもうない。リンはその状況を見て唖然とした・・勝てないのか・・・?
だが、あることを思い出す。そう・・剣なのだ、なら・・最後の武器は剣だと。勝った火力の塊が高速でエターナルメモリーを襲う、フォルテは笑みを浮かべる・・・だが、それを覆すかのようにエターナルメモリーは当たるか当たらないかの状況でその攻撃を避ける、フォルテは大きく目を見開く。
エターナルメモリーは腰から最後の一刀≪ルシヴァー≫ビームソードを抜き取ると双刃としそれを向け飛び立つ・・スラスターをすべて放出し光の翼が迫り来る裁断者を思わせる。フォルテはその腹部から放たれている火力を体を動かすことによりエターナルメモリーに向ける、エターナルメモリーは寸前のところで紙一重で避けていく。リンはただひとつしか見ていなかった・・目の前の討つべき人だけを。

「・・・掴みたい・・・!未来があるんだああああッ!」

残されていた最後の一基がエターナルメモリーに放たれる、火力の嵐にリンは戸惑わない・・ただ見据えるのは兄であり、最後の敵・・・。
一発が当たったか翼に当たる・・だが、光の翼は現れたままで原型の赤き翼のみ破壊される・・・リンは賭ける、この一撃に。エターナルルインの真横を抜けると反転する、手にもつ≪ルシヴァー≫ビームソードを振り返ることもできなかったエターナルルインの背中目掛けて突き刺す・・・コクピットの真上を貫き・・・最後の一撃を決めた。
リンはその一瞬を最後まで見届ける・・・兄の散り際を。
その一瞬と共にフォルテは兄としての言葉を・・・伝えた。

『リン・・・生きろ・・!未来を・・・世界を・・・守るん・・・だ』

その一言共にエターナルルインは爆発する・・その大規模な爆発に巻き込まれエターナルメモリーは吹き飛ぶ・・・最後に見た光景・・それは巨大な爆発・・さらには・・地球の青さだった。
静かにエターナルメモリーは落下する・・・地球へ。













その爆発を最後の一機を撃破したイーゼルは見た。いや・・その場にいたものすべての人が見たのだろう・・ディルノは「リン・・・!」と呟く。
どちらがやられたのだろう・・・?フォーンは聞くのが嫌だった・・誰しもがその結果に背けたかった・・しかし、知りたくもあった。無事なことを。
アージェンはおそるおそる・・リンの熱源反応を探る、だが、その不安な表情だった顔には笑顔がこもる。アージェンは子供のような目の輝きでミリアを見る。ミリアはその表情を見て「まさか・・・」と呟く。そう、そのまさかなのだ。

「リンは生きています!・・・リン・・・が・・・」

アージェンの目には涙が浮かび声は嬉しさで掠れてくる・・皆の目には涙と・・さらには安息が来たということで嬉しさの笑顔があった。
イーゼルはその言葉を聴き、「ったく・・ロマンチストって似合わないってのによ・・・」といい、微笑む。信号弾がうたれ三つの光が宇宙に光る。それぞれの機体が帰還する際に見た光・・・それは無数の光だ。

「あ・・・・」

ナナミはその光を見てそれが何かが分かった。信号弾だ、あちらも今・・終わったのだ。さらには・・オーブが討たれなかったという意味があった。
そう・・戦いは終わったのだ。全員が母艦に変えると共に涙を流す・・・それは感動というのではない・・心からの安らぎだ。
キサラギのコクピットが開くと同時にディルノが飛び出す、プライドシュライドからもリアナが飛び出し、二人は再会すると抱き合う・・その目には涙が浮かんでいた。悲しかった、辛かった・・生きてこられた・・得られた・・・そんな想いがこみ上げてただただ、涙にしかならない。
カズマもユミを抱きしめ共に分かち合う・・エリアはレオとコウを見ると三人で組み合う・・・イーゼルはミリアと再会し抱き合う・・・これが求めていたもの・・・ただ、ナナミは複雑な思いで顔を上げた・・・まだ何かが足りない・・・肝心な人物が。ジュンとラグナも気づき・・ヴァンはそこにあるはずの機体がないことを覚えていた。
これまでみんなが信じ、愛し合ってきた唯一の人。
ディルノはその唇から一人の名前を零す。

「・・・リン・・・?」














どうして・・・ここまで戦わなければいけなかったのか・・・?


リンは目を閉じ静かに感じる・・大気圏突破でボロボロになったエターナルメモリーは破壊されることはなく、ただ落下する。コクピットの隙間から吹かれる風・・ヘルメットがいつの間にか取れていたのか風で髪がなびかれる・・・慣れた振動・・・でも、戦いは終わったのか・・?

―――・・・終わらないかはお前次第だ、人は未来などは知らない。今を生き未来を必死に生きる・・・それが人だ。人が分かりあえば・・戦いは終わるだろう、こんな・・醜い戦いさえもな

兄言葉・・だとしたら・・まだ終わってないのかもしれない。
もしかしたら、この先にあるのかもしれない・・・また戦いが、そしたら・・自分は・・・?

「・・・僕は・・・戦う・・・?」

そう覚悟した・・だから、勝てない戦いにも勝てた。結果失ったのは家族・・・そうだ、ナナミももういないんだ。結局は・・・一人になった。
ただ願うのは今は亡き、両親・・・。

「父さん・・母さん・・・」

リンが目を瞑ろうとしたとき・・どこからか懐かしい声が聞こえる。
それはやがて・・うっすらとしていたのがはっきりしそれが人の声だと分かる。こんなところに・・・?リンは目をゆっくり開ける・・そこにいたのは両親、さらには兄だった。リンは我が目に戸惑いを覚えた・・嘘だと思った・・だが、幻でもあり、奇跡だった。

「あ・・・あ・・・か・・・あさん・・・・と・・・うさん・・・に・・・いさん」

父親のククスカは微笑む。たった一言だけを・・リンに伝える。父親の最後の言葉・・聞けるとは思えなかった・・奇跡の言葉を。

――・・・・自分のために・・ナナミと共に生きるんだ。それが・・父さんや母さん・・兄さんの・・・願いだ。

その一言と同時に父親は消える。そして、母親・・ミミルは微笑む・・・それは優しく暖かい・・・こんな表情をもう見れないと思ったときリンは絶望だと思った・・だが、こうして見れた。あの頃の記憶が戻る・・楽しく平和で暮らしていたときの・・。

――・・・・よく恨まないでくれたわ。でも・・兄弟で争ったことはいけないこと・・悲しいこと・・・でも、もう悲しむ必要はないわ。
あなたには・・明日がある・・・守れるから。

ミミルもその姿を遠ざける・・残ったのは唯一の兄・・フォルテ。
その目は優しくもあり・・冷たい・・。だが、それは兄としての心配の証なのかもしれない。

「・・・兄さん・・・」

――・・・・お前の決意は揺るがない・・・な?

その言葉にリンは黙って頷く・・・両親はずっと見守ってくれて・・兄はその決意を見てくれている・・なら、それに縋りたい。

「うん・・・!」

――・・・・なら・・俺の魂はお前の中にある。忘れるな・・・!

その光は輝き・・・リンは目を瞑る・・・次に目を開いたときは姿はなかった。エターナルメモリーは壊れた翼から光の翼を羽ばたかせると片足がない状況ながらも地上へと降り立つ・・・ただ、目の前にあるのは海。だが・・朝日に光られそれは輝く海となる・・・こんな綺麗な光景があるのだろうか。
リンはコクピットから降り立つとゆっくり歩く・・これが地球・・自分が守りたかったもの・・・。花たちは綺麗だ・・・だが、それを破壊する。
それが戦争・・・リンは辛く思う・・・なければいいのに、戦争なんか・・と。

そのとき、花が風に吹かれ宙に舞う・・リンはしばし、その様子に見とれる。目には涙・・・ただ、悲しみとかじゃない・・何か複雑な気持ち。
でも・・未来がある・・それは代わりのないことだ。
その中・・・ゆっくりと降り立つ何かを見た・・それは・・自分が求めていたもの・・・。リンはその口を少しずつ開いてく、ただ純粋に・・求めた。

「僕は・・・一人じゃないんだ・・・・!」

ディスティニーの手に乗せられたナナミが笑顔で・・涙を零しながらゆっくりと降りてくる。無くしたものは大きかった・・・でも、得たものも多かった。リンはたった一言・・呟く。自分に言い聞かせるように・・。

「未来は・・・ここにあるんだ・・・」

リンはその手をただ空に上げた、何かを掴み取るかのように手をギュッと握り締める。今、未来を・・・得られた。
かけがえのないものを得たのだと・・・信じたから。





僕の世界は 何かを見ている 静かな時を刻むように 時を廻る

果てない未来にへと 歩いているけど 何も知らないほうがいいこともある

君と歩む未来を生きたい 願いで

未来と過去は何も分からないけど ただひとつ分かること

それは『イキル』ということ

僕は何をすればいいのだろう・・・?

未来に羽ばたいて 今を生きるから







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