鍋・フライパンあれこれ美味
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機動戦士ガンダムSEEDMEMORY
エピローグ ~それぞれの未来へ~後編
「あ、ああ・・美味いよ、凄く・・ね」
ディルノはそのリンのややぎここちない行動をフォローするためにかナナミのチョコクッキーを口に入れる。すこしはオーバーに、でも、嘘はない喜びの声でわざとらしく言う。
「これは凄く美味しいな、やっぱり、ナナミちゃんは料理の才能があるね!」
わざとらしくオーバーな言葉は意外と演技が美味かったのかナナミはすこし照れくさいような顔をする、その頬を赤らめた顔は可愛らしく女の子らしいとも言えた。フォーンは片目の瞳を軽く閉じてウィンクをすると微笑む。
リンはそのフォーンの存在がとても自分にとってはかけがえのない存在なのだというのが分かった。
今も思えば、これはいつの間にか当たり前になっていた・・生きているということも傍にいてくれるということも。
「・・・守られてるんだ」
「誰に?」
フォーンの突然の言葉の返しにリンは戸惑う、ただ、ボソッと言っただけなのにフォーンはそれを受け止めていた。まるで自分のことのかのように、とはいえ・・誰にと言われても誰ともはっきりはしない。
「フォーンとか・・・リアナとかイーゼルとか・・ディルノとか、ナナミとか・・・みんな、かな?」
リンらしい言葉、だが、それが答えなのだ、本人が知らないだけで。
みんながみんなを守っている、守りあうことが守られているともいえた。
フォーンは彼らしい言葉に喜びを覚えた、こんな人が自分の大切な人でよかったと・・心底思える。
そのリンの口からこぼれた言葉は平和を望んだ末の行き着いた位置だ。決して戦いを望みたいわけではない、だが・・何かが変わったのだ。
当たり前のようにアカデミーに行き、生活していた生活と。
戦争に駆出され、平和を得るためにその眠っていた力を目覚めさせた生活と。
「だけど・・・僕も守られてる、けど、世界もまた・・・守られてる気がする・・」
「守られ、守る・・その代価が・・・平和なのかもしれないな」
ディルノから発せられた言葉・・・そう思うと、世界は本当に難しい。
世界の流れ、生きるという中での時間・・幸せ、悲しみ、怒り・・・そんなものが渦巻いているとなると不思議だ。
何かを食べたければ何かを犠牲にしなくてはいけない・・人間の手で何かを破壊してはいけないのかもしれない。
だが、破壊してまで生きようとする、それが【生きる】ということなのだ。
「僕たちは・・何が何でどうなんだか・・まだ分からない、けど、未来は僕たちの手で作るんだ」
それぞれの手は太陽に照らされ、まるで運命に導かれた手のように思える。
この手がつかんだ未来が、今。
現実・・未来・・過去、それぞれが意味を持ち・・世界はまわる。
終わることがないかのように、分からないことが多い世界・・だが、分かったことがたったひとつだけ存在した。
「生きている・・・この世界で、存在しているという意味がある」
リンの目はどのときよりも輝いていた、その青い瞳に映る空は宝石のように輝き、光を失わなかった・・・・・。
僕たちの世界は・・・今から始まる
新しき未来も・・今も・・・
未来を作るのは自分
今を作るのも自分
過去は未来で
未来は過去だ
その頃の僕たちは・・何もしらなかったから
でも、知った、今・・・・歩き出す
世界へと・・・住むべき場所へと
花の種子を埋めるとリンたちは軽くお辞儀をする、それは祈りでもあった。
世界が平和になるとか・・そういうのもあったが、何より、幸せになってほしいという想いだった。
ディルノはその青い髪が揺れると小さなため息をつき、リンを横目で見る。リンはいまだにその祈りから姿を戻してはいない。
「・・・で、この後、どうするんだ?お前らは」
言葉に反応してかリンの肩がすこし揺れる、と同時に髪が風に靡かされる。
瞳は少しずつ開かれ、青い瞳が再び現れる、その整った顔立ちは絵に合い、見ているものを惹かれさせるくらいだ。
この世界ではコーディネーターとナチュラルと別れ、それ故人種差別などの問題が多く多発した、いや、していた。
今の世界は以前よりは格段にその問題は消えてはいたが、不満に思うものは後がたたなかった。
コーディネーターは生まれる前に遺伝子操作され、誰もがナチュラルより運動神経が上であり、頭も格段にいいという夢のような状況で生まれる。
だが、努力をしなければそれもナチュラル同様で低い。
人類の夢・・希望・・その願いが込められ、遺伝子操作され、何人もの命を犠牲してまで生まれたのが最高コーディネーターと称される、【キラ・ヤマト】彼なのだ。
すべてを最高値に持つ、彼は人類の夢といってもいいかもしれない。
その彼もリンと同じように戦いにかりだされ自分の力を知り、最後には平和へと導いた。
コーディネーターは生まれつきからその顔立ちは美形であり、今でいう不細工がいることはめったにない。
だが、それを裏返せば自然ではないのだ、だから、自然で生まれたものはナチュラル、人工的に生まれたのはコーディネーターと称された。
ここにいるもの、皆がコーディネーターでもあった。
リンは両親がコーディネーター、という第二世代コーディネーターである。
ディルノも第二世代のコーディネーター、リアナは父親がナチュラルで、母親がコーディネーターという第一世代コーディネーター、フォーンは第二世代コーディネーター、ナナミは言うまでもない。
リンの名前は実際は違うらしいが・・リンは家族の意味を忘れないためにも『アーカー』を名乗っている。
「・・・気晴らしに街かな、ナナミが買い物に行きたいって言ってるし」
ナナミはまるで自分のせいで買いに行かされるって言ってるみたいじゃない、といわんばかりにリンを睨み付けている。リンはというとその妹の視線は判りきってはいるが面倒なので合わせない。というより、あわせたらあわせたらで何かが起きそうで嫌だったりした。
ディルノはちょうどいい、と思いリンににこやかに答える。
「なら、俺たちと一緒に買い物にいかないか?しばらく一緒に買い物にいけなかったし・・どうだ?」
リンはナナミとフォーンを見る、確かに自分は行きたいとは思っている。親友とか関係なく、募る話があるだろうからだ。
とはいえ、ナナミは「お兄ちゃんと行きたい!」と言ったため、それはリンだけとしての意味か、ほかの人とも行ってもいいのかと境の言葉であり、本人の意思を聞かなければどうにもならない。
フォーンはというと、リンもずっと外出できず困ってるだろうと思い、誘ってみた、とはいえ当初は断られていたがなんとか説得し、多少の変装をすることで同意した。
ナナミもこれには大いに喜んだ、姉として慕ってるフォーンだ、無理もない。
「ナナミは・・・どう?」
妹に怯える・・・というより、多少の不安を覚えつつも聞いてみる。ナナミはしばらく不満な顔をするが・・何かを思いついたか顔をにっこりとするとリンに指をさす。
「それじゃ、パフェおごってくれるならいいよ!」
そのあっけない返事にリンは先ほどまでの心配など無駄だったかと思うと深いため息をつく、こんなもので約束が軽くなるとは・・ナナミらしいといえばナナミらしい。
「それでいいの?」
リンは呆れながらもナナミにもう一度聞く。ナナミは大きく頷く、甘いもの好きだから女は太るのでは・・と思う。
その考えを読み取ったかナナミの肘うちを受ける、激痛がわき腹に伝わる。
ディルノとリアナはくすくすと笑う、リンがこのままでは可哀想だと思い、ディルノが助け舟を出す。
「それじゃ、行こうか、俺たちの明日に」
リンは助かった・・と思い、ディルノとともに歩く、相変わらず痛みはある。ナナミはフォーン、リアナに並んで歩き女性は女性の会話をしている。
当たり前のようで当たり前じゃなかった、この光景。
きっと、これも未来なのだと思う、リンたちはディルノの車へと乗る、行き先はオーブの街・・・リンは何かを感じる、それは街へと近づくごとに感じる、何かの感覚。
ディルノはリンの異様な雰囲気に気づいたか、横目でリンを一度見るとすぐさま返し、運転したままリンへと言葉をかけてみる。
「・・・どうかしたか?」
「いや・・・なんか、何かの感じがして・・」
「感じ?・・・・お前、イーゼルさんみたいに勘が鋭いからな」
「なんていうか・・・僕に・・似た感じ・・?」
ナナミたちは話に夢中で気づかない、ディルノはその曖昧な言葉に状況を少ししか掴めない、リンは兄、フォルテとの戦いに勝利するためにその勘(空間対処法)を強化したか、感覚をつかむのが強くなっている。
それゆえ、敏感にその感覚を掴めるのだ。
「お前に・・・?」
「うん・・なんだかわかんないけど・・そんな感じ」
ディルノは駐車場へと入ると慣れた操作で自動車を止める、黒のスポーツカーは太陽の光を受け、綺麗に光っている。それぞれは降りるとあたりを見回す、商店街やデパート、多くの自動車、人が溢れ近代化を思い浮かばせる。
オーブの被害は最小限で抑えられそのため、ここまで活性化してるともいえる。
「それにしても、オーブは変わらないね」
リンは明るい声でその自分が思ったことを述べる、ナナミはよく来てるか返事はあえて返さなかった。ここにきたのはアカデミーのとき以来でさらにはオーブ防衛戦の前ぐらいでそのときより様子が変わっているために新鮮な感じがする、ナナミはよく夕食のときにリンが「オーブはどう?」と聞くと、ナナミは当然のことかのように「ぜ~んぜん、変わってないよ」と返す。
フォーンとリンにはそうは思えないのだ、ナナミは順応性が早いのだろうが・・遅いと思われるリンたちにとっては毎日が新鮮だ、慣れるまでが気で気ではないだろう。
「それはそうね、オーブは最先端の技術力を持つし、戦場には今回がなったのは一度だけ・・それも、被害はアークエンジェルらが最小限に抑えてくれたから復興はどこの国よりも早いのは当然のことよね」
「とはいえ・・まだ戦場の跡はいまだに残ってはいるが、俺たちの心に・・・な」
シリアスなディルノの言葉、それは受け取ると同時に自分たちに重くのしかかる、一体、この手でいくつものを命を奪ったのだろう?数え切れないほどの人を討ち、奪った。
「でも・・」
自然とリンの元へと目が向けられる、その目は戦いの最中でも見られた何かを期待する目、幾度も見たし聞きもした、だが裏切ることはなかった。
「僕たちはその人の分を生きる、それが僕たちの・・未来だ」
その言葉にナナミたちは目を輝きさせる、この人は・・本当に強く大きい人だ。そう思えたから・・頷けた、リンは笑顔で皆へと伝える。
「行こう、僕たちの生活に」
それぞれがその第一歩を歩み始める・・今、求められるべき平和と未来と・・自分自身へ・・・。
カズマ・セントリースはその信念と淡い恋心を抱いたままザフトに残り、現、最高評議会議長、ラクス・クラインの元、世界平和に向け、その命を捧げ日々を過ごす。
ユミ・レイヴァーはザフト軍を一時離脱、自分の夢と願いのために世界へと飛び立つ。ザフト軍自体には変わりはなく、ただ平和を望み、日々を過ごす。
『地上の軍師』と呼ばれた、レヴェリー・ブロウズ、第二次共和軍防衛線にてリン・アーカーに敗れその命を散らす。
だが、人々は忘れることはない、多くのことを知りながらも生きた彼を。
地上軍攻防戦にて命を散らした、エドリーエル・D・ゴーウル。
だが、彼の死を悲しむのではなく、心の支えにしたと思われる部下は多かった。彼は人々に信頼されながらその若き命を散らせたのだ。
コウ・リュウは実の姉、エリア・リュウと共に日々の生活へと復帰する。
戦いとは縁が遠い仕事につき、人々への思いやりの気持ちを忘れず、三人で協力し合い助け合いながらもC.E.73を生きる。
エリア・リュウ、彼女自身その実の姉だということを正式にコウへと伝えた後、若き男性と恋に落ち、ディルノのことを忘れずとも新たな恋にその心を捧げる。その美しい姿は以前と変わらないようだ、恋人に自分の過去を明かしそれを知った上で幸せに過ごしている。
心優しく兄貴分のレオ・ヴィルターはその性格を生かし、家なき子供たちを預かり生活している、その彼の優しさに癒されるものは多く、多くの人から彼は愛されながら生活している。
リンの兄でもあり宿敵でもあった、フォルテ、結果は和解という形になったもののリンにすべてを託しこの世界から消える。
彼はすべてを知った、唯一の神の子なのかもしれない。
ただ宇宙空間に残っていたのは彼の思い出の品だと思われる、彼と小さきリンと両親が映る唯一の写真のみがただ宇宙を彷徨っていた。
グラディウス、元副艦長であったカイル・ホーエンム。
彼の意思は今は人々のために尽くされ恵まれない子供たちや人々を助けるため世界救済グループへとその身を寄せる。
宇宙要塞『エルレイン』の司令官であった、アッガイ・ブルートは戦後、その安心を支えに力尽きたかその若き才能と人望をその胸に秘め、安らかに眠る。
ミゼル・アクセル、彼は平和を誰よりも喜びはめを外すため世界へと羽ばたく、彼の行方を知るものは数少ない。
クラエル・アール、その性格が日々に比例してか付き合った女性とはあまり上手くいかない様子である、だが、彼の一途さに付き合った女性は彼と日々を幸せに過ごしている。風のうわさで聞くとクラエルの彼女はミリア似らしい。
バルドフェルドの部下であったラグナ・ブリーチはその命をさらに受け、今度は世界のためにへと力を貸す。
彼が昇進するのはいつなのだろうか?
だが、その才能を認めるものは多い。
幼き少年でありながらも勇気を持つヴァン・イーグルはナナミとの恋愛が上手くいかなかった?といううわさはあるが、それは定かではない。
水の宮殿の意味を持つ、アオイ・ジュンはリンとディルノと再会後、オーブへとその力を貸す。
今では綺麗な美女と仲を進めているらしい。
知る人ぞ知る、【黒き騎士】と呼ばれるディスティニーに搭乗した、イーゼル・クラウは戦中に想いを寄せ合ったミリア・アクターと共に日々の生活を過ごしている、本人らは戦いがまた起きぬようその願いをする日はない。
グラディウス、艦長であったミリア・アクターはイーゼルと同様幸せに暮らしている。いつも、リンたちと最後に撮った写真を見て再会を楽しみに日々を過ごす。
リンに一途な想いを寄せていた、アージェン・ミーア。
彼女はいまだにその想いを募らせリンへと連絡を怠らない、彼女が新しい恋を見つけたほうがいいのでは?と思う者も少なくはない。
リアナ・クラシスはディルノと共に話し合い、それぞれの軍へと戻ることを決意、しかし、愛情は揺るがず、離れていてもいつも想いは伝わっていると信じている。
リンの親友であり、エース級以上の腕前を持つディルノ・シバは地球軍へと復帰、再び地球軍を治めるため高い地位を目指し日々を充実しながら過ごす。
ナナミ・アーカー、彼女自身、リンとフォーンと共に隠居生活しつつアカデミーへと通う、その笑顔に魅了される男は後が絶たないようだ。
ザフト軍、『フェイス隊』でもあったフォーンだが、戦場に影響を与えたがいいが隠居生活を望まなくともしいれられる状況となり、リン、ナナミとオーブに隠居しながら過ごす。
いつの日か姿を現すとき、それは戦争中か平和のときだ。
最強コーディネーターとも称されたリン・アーカー、彼自身は戦いは好まずとも再びやってくるのだろうと感じている。新たな剣は存在せずともその平和を望む気持ちは誰よりも大きい、彼がまた姿を現すとき・・それはまた戦場であろう。
僕らの未来は・・・ここにあるから
リンの髪を風が優しく撫でる、人々の間を当たらないよう避けながらも周りを見、その賑わいを見る。フォーンと話をしながら進む・・それは当然のようなこととなり、当たり前なのかもしれない。
こうして、好きな人と会話をできるだけ幸せだ、リンは慣れた様に人々とすれ違っていく、そのとき、目の前に3人の女の子のグループがあった、年齢はそれぞれ14歳ほどだ。黒髪の女の子が青い女の子の両隣に居てはさむ様にして会話をしている、すれ違うと共に何やら感じたことがある気を察知する、それはさきほどまで感じ取っていたリンと似た感じ。
「えっ?」
リンは思わず振り向く、その姿は平凡な女の子でどこにでもいるような女の子だ、彼女が・・?
そう思うとどうも信じがたい・・だが、本当だとしたら・・それは喜ばしいことだ、リンの口には笑みが浮かぶ。
「・・・見つけた」
フォーンは突然のリンからの言葉に「えっ?」と聞き返す、リンはすぐさま状況をつかむと手でヒラヒラと横に振り、「な、なんでもないよ!うん!」という。フォーンは「変なの~」といいながらリンと共に歩いていく。
リンは覚悟したのだ、その運命に・・・・
(・・・・また戦う、僕はきっと)
リンと青い髪の女の子はその差をどんどん広げていく、まるで交わされることのない運命を知ったかのように・・互いに遠ざけあった。
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