「ミナコの思考回廊」

「カウント」


「カウント」


アパートに通じる路地を歩いていた。

「家の中から、洗濯カゴを持ってきてちょうだい」

そんな声を耳にしてふと、ある家の庭を見た。
洗濯物を前にお母さんが立っている。そのお願いに、小さな男の子が頷いた。


「10までに持ってこられるかしら?・・・いーち、にー、さーん、
 しーい・・・」


男の子はだっと駆け出す。
お母さんは数えるのをやめて、じっと男の子が入っていった縁側を見ている。

どう考えても20を数えてもいいくらいの時間が過ぎる。

すると男の子が出てきて、慌ててサンダルを履いたので、数えるのを再開した。


「・・・ろーく、なーな、はーち、きゅう、うわあ早いのね!!」


10までに洗濯カゴを持ってくることができた男の子は得意げだ。



わたしはその光景をとても微笑ましく思った。
まるで幸福の象徴のように。





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