「ミナコの思考回廊」

「ちいさな世界」


「ちいさな世界」


わたしが幼いころ。

新築の我が家に、父の姉、つまり私のおばさんが訪ねてきた。
おばさんはニコニコと笑いながらわたしに話しかけた。


「新しいおうちができてよかったねえ」

「うん」

「子供部屋もあるんだってね?」

「うん。パパとママのお部屋のとなりにあるよ」

するとおばさんは、ふと思いついたように言った。


「みーちゃんは、パパとママ、どっちが好き?」


それはまるで、ご飯とパンと、どっちが好きかと聞くような無神経さで。
わたしは驚いて押し黙ってしまった。
目線を泳がせると、おばさんの背の向こうにパパとママの姿がみえた。

そのときのぞき見えた両親の瞳が、思いのほか真剣さをおびていて。

わたしは、おばさんの無神経さを責めながら、かなしかった。
ただ俯いて、押し黙っていることしかできなかった。


しかしなによりかなしかったのは、わたしは本当はママのほうが好きだと気付いたことだった。


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