第2話 「 生徒会長 」


茄稀は、葵羅に聞こえるか聞こえないか、小さな声で言った。だが、葵羅の
地獄耳には聞こえたらしかった。
「えぇ?そう??・・これくらい・・普通・・でしょ・・?」
「口に物入れて喋るなよ・・。俺の弁当ほとんど食ったくせに、そのあと
カレーライス3杯・・。これは普通って言わねぇだろ・・。お前はド○えもん
か??」
「ぶはっ。いいねぇ☆ド○えもん♪」
その時、廊下のほうから女子達のきゃーきゃーという声が聞こえた。
「ま・・また、アイツか・・。」
茄稀はため息をついた。
「ねぇねぇ、行ってみよ~?」
「は?・・何言ってんの・・?」
茄稀はちょっとキレ気味に言った。
「いいから!!ほらっ!!」
葵羅は茄稀の手を無理やり引っ張って行った。
廊下に近づいてくるとさっきのきゃーきゃーという声が何倍も大きくなっていった。
「きゃー!!克聖く~ん!!!」
2人が廊下に出てみると、数十人の女子が1人の克聖という男の周りに集まっていた。
しかし、克聖本人はまったく気にしていない。むしろ嫌がっている様子だ。そして、克聖が、
茄稀と葵羅に気づいたのか、走り寄ってきた。
「茄稀~!葵羅~!こんなとこでなにしてんだ?・・そんなことはいい。女子がうるさくてさ~。
 助けてくれない?」
「ったく・・。お前その性格どぅにかなんねぇのか?いつもはクールで通ってる生徒会長さんが
こんなんでいいんですかぁ~?」
「ふっ・・。クールか。俺はそんなつもりないんだけどね。」
克聖は薄笑いした。
「ムカッ!何でそこで笑うんだよ!!」
「いいから、茄稀落ち着いて、ね?克聖ご飯食べた?よかったら一緒に食べない?」
「おい!葵羅!!なんでコイツなんか誘うんだよ!」
「え?いいじゃん別に。あたしが勝手に誘ってるんだから、嫌なら1人で食べてれば~?」
「あぁ・・悪いけど今から臨時の生徒会あるんだ。だから、また今度にして?」
「そうか。ならしょうがないね!!じゃあ。また今度ね~。ばぃばぃ」
「うん。じゃあ。俺、急ぐからっ!!」
そう言って克聖は足早に去っていった。
「俺たちも教室戻ろうぜ。・・ホントに・・アイツに会うとろくなことねぇ・・。」
そして2人は教室に戻った。

「あぁ・・。ホントにアイツはいつも・・・」
教室に戻ったあとも、茄稀はブツブツ1人で言っていた。
「ねぇ。思ったんだけどさ、あたしたちと克聖幼なじみなのに全然違うよね。住んでる世界が違う
 っていうかさぁ~・・。」
「頭良くて、生徒会長で、・・・しかも、モテるし・・」
「ま、考えても仕方ないかっ♪♪」
「そうだな。」
そのとき、生徒会が終わったのか、克聖が教室に入ってきた。

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