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-蒼き氷の女神- 四章
『蒼き石の物語外伝』-蒼き氷の女神-
四章
蒼き氷の女神 15『暗黒神の高位神官』
戦いが始まった・・・が。
二人は全く動くことはなかった。
いや、はたから見れば確かに動いてはいなかったが、実は違う。
精霊だ。
先ほどから多くの精霊たちが二人の間でぶつかりあっていた。
炎と氷と氷の精霊たちが舞い踊っているのを感じる。
あまりにも高レベルすぎる魔術戦。
今のあたしではとてもではないが、ついていけない世界。
だが、その静が重きを置く戦いの中。
銅像のように動く事をしなかった二人が動いた。
先に動いたのはヘディンさんだった。
『我が身に刻まれし 盟約の名の下に』
印を結び、大きな動きと言葉。
それに遅れて、ヴェドもまた詠唱を始めた。
『炎の理と共に』
二人が詠唱を始める。
無詠唱魔術は通常の詠唱術よりも遥かに早い発動速度を誇る。
通常であれば、その速度こそが力となる。
しかし、拮抗したもしくは力に劣るものは言葉に力を。無ではなく、有の詠唱を行う。
本来魔術とは精霊に問いかけ、応えるのが自然。
つまり、詠唱することこそ正しく、そして強力である事は道理。
無詠唱魔術は、魔術師としては王道としても、精霊にとっては邪道なのだ。
おそらく二人ともこのままでは埒が明かないと踏んだのだろう。
だけど、あたしはその時何か強い違和感を感じた。
だが詠唱は続く。
ヘディンさんは雄雄しく詠う。
氷霊の詩を。
『我が名と 汝の名の下に
我が望みは絶対なる零の世界
汝 氷界の女王よ
百の契約 万の盟約 ひとつの魂
我ここに代償と共にその力 行使せん』
ヴェドは強く呼びかける。
炎霊の魂に。
『我が身に宿りし炎の王よ
この力 この魂に応え
我喰らいて絶対なる力を与えん
力は炎に 魂は炭に
来たれ炎よ 我が敵を討つために』
ほぼ同時に詠唱が終わり、あたしの周りで暴れる狂った精霊たちがざわついた。
まず現れたのは、ヘディンさんの氷霊だった。
それは強大な力持つ氷霊。
今、あたしの目の前にうっすらと現れたのは氷霊たちの女王。
『氷雪の女王』(クイーン オブ アイス)
過去、何度か物語や詩人の弾き語りで聞いたことがある伝説上の神霊。
あたしが使役していた氷霊たちの数段・・・いや、遥かに上位の存在。
それが今、あたしの目の前に立っていた。
その存在に、あたしを襲おうとしていた氷霊たちが動きを止める。
例え狂おうとも、上位の存在である氷雪の女王の力に戸惑いを感じたのかもしれない。
だが、それと同等の、もうひとつの圧力がヴェドの元に現れていた。
『炎の魔神』(イーフリィートー)
ソゴム山脈の山奥に存在する炎の獣霊がいる。
おそらく今現れたこの魔神こそ、それと比べるもなく遥かに強力な、強力すぎる真の獣神。
この二人は・・・この二人は、ここまで化け物じみた存在を操るのか・・・
背筋に冷たい汗が流れる。
あたしは、ここまで危険な奥義を持つ二人と戦っていたのか。
もしヘディンさんが止めるのではなく、あたしを殺すつもりだったら。
もしヴェドが最初から本気であたしを殺すつもりだったら。
おそらくすでにあたしはこの世に存在していなかっただろう。
氷雪の女王はあたしの狂った氷霊さえも屈服させ、炎の魔神は氷霊ごとあたしを焼き尽くしただろう。
二人は静かに対峙したままだった。
まさに今、高位の魔術戦が行われようとしていた。
「・・・まさか、こうして戦うことになるとは・・・思わなかった」
ヘディンさんが小さく呟く。
「そうですか? 炎と氷。いつかどこかで戦う事になるだろうと、私は思っていましたが?」
ヴェドはその呟きを皮肉げに返す。
そして、さらに言葉を作った。
「それで、君は一体何を代償にソレを呼びました?」
なんだそれは、と思った瞬間だった。
「力を」
力・・・? 代償・・・?
混乱する頭を落ち着け、あたしは先ほどへディンさんが行った詠唱を思い返す。
『我ここに代償と共にその力 行使せん』
それは、契約の一文。
そして彼はヴェドに、代償を「力」と応えた。
・・・まさか・・・まさか!?
「ヘディンさん!? 魔術の力を代償に!?」
その言葉に、彼は初めてあたしに顔を向け、優しく微笑んだ。
「力は、また初めから鍛えれば、いつかは取り戻せます・・・ですが」
同時に、彼の魔力が、気迫が。
まさに最後の輝きを放つように、強く強く集まりだした。
「今この瞬間は、二度と取り戻せません」
その言葉に、あたしよりも早くヴェドが答えた。
「見事」
ヘディンさんの言葉に応えるように、ヴェドの力も大きく、強く強くなっていく。
「ならば、その力を私に見せなさい。探索者よ」
瞬間だった。二人の、最後の詠唱が始まり。
『絶対零度の世界』(ゼロ アブソリュート ワールド)
『炎の輪舞』(ロンド オブ フラーマ)
終わる。
力と力。氷と炎。
その相反する力がぶつかった時・・・その力の元となる彼らはどうなるか。
あたしの中の答えは・・・死、だった。
激しい閃光の中、親しき者の死でまた絶望に身を包まれそうになったあたしが見たものは。
予想とは全く異なるもの。強烈な、精霊の爆発ではなかった。
彼らの詠唱が終わった瞬間に、一つの物体が二人の真ん中に突き立ち、ありえない衝撃波を放ったのだ。
その衝撃に吹き飛ばされるあたしの瞳に写ったものは、精霊が放つ白い光の中でさえもなお、偉容を保った黒き黒衣を纏った男の姿だった。
蒼き氷の女神 16『失われし者からの言葉(メッセージ)』
ぐ・・・・
あたしはすぐ近くの建物の壁に強く背中を打ち付けられていた。
飛びそうになった意識をなんとか保ち、あたしはその衝撃が起こった中心地を見る。
まず最初に目に入ったのは、精霊たちだった。
驚くべき事に、彼らが召喚していた精霊は詠唱が終わっていたにも関わらず、力を行使しておらず、その場に留まっていた。
主たるヘディンさんとヴェドの集中力が途切れたせいなのか、女王も神獣も召喚された時のまま、微動だにしていない。
だが、召喚者の二人は無事ではなかった。
ヴェドはすでに立ち上がっている。が、スーツのところどころが破れ、ひどく出血しているようだがその表情に痛みの色はない。
だが、ヘディンさんは・・・・
「・・・」
息も絶え絶えに、顔だけをこちらに向けて倒れたままだった。
それも当然だ。
ただでさえあたしに怪我を負わせられ、さらに氷の女王さえも呼び出したのだ。
常人ならばすでに死んでいてもおかしくない疲労だろう。
逆に、そんな状態でさえもまだ精霊を維持していることに驚きを隠せない。
だが、彼は立てない。
あたし、ヘディンさん、ヴェドさえも吹き飛ばした衝撃は、ともすれば強大な棍棒で殴られたような一撃だった。
「っ・・・!?」
あたしはまだ立てない。
だが、眼は、いや、その場にいる全員の視線はある一点で止まっていた。
爆心地であるハンマーから大分離れた位置。
そこに、黒い神官がいた。
彼はゆっくりと、巨大な体で一歩一歩。歩を刻む。
威厳に満ち、また何もかもを破壊してしまうような、凶悪な気迫。
魔人
あたしの脳裏にその言葉が浮かぶ。
そしてその魔人が、止まった。
黒い法衣から首だけ上だけをむき出しにした顔で、ゆっくりとあたし達を見回す。
その視線が、あたし、ヘディンさん、そして、ヴェドを見て。そこで止まった。
口がゆっくりと開く。
「貴様は消えろ」
え? という疑問を言う前に。
ヴェドが吹き飛んだ。
『手品師』にしては滑稽なくらいに間抜けな顔で吹き飛んだ。
馬鹿な、と思った。
おかしい、とも思った。
あたしは震えている。
なんだ・・・なんだこいつは!?
あのヴェドを、まるで露を払うようにあっさりと打ち倒した。
いや、それ以前に、どうやってあの距離からあの手品師を吹き飛ばす!?
あたしの周りの氷霊たちがざわつき、反応しはじめた。
強大な精霊が二体も現れていたことで、大人しくなっていたと思って油断した。
狂った精霊たちは黒衣の神官めがけて飛び出していく気配を感じ、あたしは慌てる。
遅い。
思った瞬間には、すでに吹雪が巻き起こっていた。
だが・・・その身も凍りつくような氷霊の踊りを受けてさえあの男は。
「温い」
あろうことか彼は、そんな言葉まで口にした。
彼は氷霊の吹雪を受けたままヘディンさんに向き直る。
まさか・・・次はヘディンさんを・・・
だが、その考えは即座に否定された。
「探索者」
ヘディンさんはその言葉に眉をひそめ、視線を向ける。
「・・・なんですか?」
「貴様は見ていろ。この女の・・・哀しみと絶望を」
男は言葉を作る。
強い強い言葉を。
・・・この男の狙いは・・・あたしか・・・
正直、この男の素性なんて、全く身に覚えがない。
だけどあたしは、この傷ついた体で逃げようとも考えていなかった。
いいんだ・・・これで・・・
今、気付いた。
狂った氷霊が激減している。
先ほど氷霊たちの攻撃に耐えたこの男の強さは驚くべきものだけど。
多分あの場にいる、氷と炎の神霊の力。
衝撃が襲い掛かってくるまえに、あたしは確かに『力』を使われる気配を感じた。
本当の威力を発揮する前にあの男の攻撃でそれは回避されたように見えたが、実は違った。
あの神霊は、まさに精霊の神なのだ。
炎の神獣の炎から氷の女王を守ろうとする意思は、どんなに狂おうとも確かにそこにある精霊の性なのだろう。
そう。まさにあの時、凄まじい精霊戦が行われたのだ。
お互いの手ごま、下位の精霊たちの攻防が。
今なら、例えあたしが狂わせた氷霊が暴走しようともブリッチヘッドを滅ぼすほどの力はないはずだ。
自分でも驚くほどに、あたしはこの事態を冷静に見つめていた。
もう、怒りが湧く力もなくなってきた。
終わり。
ようやくあたしはライネル達の、弟妹たちのいる場所へ行ける。
そう思うと今から訪れるであろう死は怖くなかった。
待っている人がいる。
それはどんなにすばらしいことだろうか、と。
黒衣の男は再び歩を刻む。
そして、それは先ほどの衝撃波を放ったハンマーの元へ。
死が、近づいてくる。
男はハンマーを掴み取り、深く地に刺さっていたそれをあっさりと引き抜く。
巨漢の男が持つそれは、ともすれば小さく見えるが、違う。
あたしの腰周りよりもなお遥かに超すビックハンマー。
何もかも破壊しつくすような、そんな印象を見てとれる漆黒の破砕槌
それを持ち上げ、肩に乗せながら黒衣の男は近づいてくる。
一歩、二歩・・・その歩みは・・・あたしの前で止まった。
「・・・女。覚悟はいいか」
・・・めんどくさい。
もう、さっさと終わらせてほしい。
これでようやく、最後なのだから。
あたしは何も言う事はないと、目を閉じる。
男はその様子を見て、息を吐き出しハンマーを・・・
・・・
・・・
・・・
だが、いつまでも死はやってこなかった。
怪訝に思ったあたしは、目を開ける。
そこには、黒衣の男の姿があった。
「な・・・・」
止めたのか・・・?
だが、そうではなかった。
彼は、懐から何かを・・・と・・・り・・・
「それ・・・・は」
それは見覚えのある物。
ハイネの、聖印?
「なんで・・・?」
「俺が殺した」
一言。
「お前の次は、あの男だ」
あたしの限界は、
その言葉だけで、
あっさりと。
精神も、肉体をも凌駕する。
蒼き氷の女神 17『失われし者からの言葉/「追い立てる者」』
まずする事は、立ち上がる事。
だけど目の前には黒衣の男。
背中は壁。
はっきり言えば絶望的な状況だ。
だけど、あたしは諦めない。
諦めて・・・たまるか!!
立ち上がる。
そのためにやることがある。
必要なのは、氷霊の力。
全身から流れる出血を止めるため、この男をなんとかするために。
近くにいた氷霊に、願う。
助けてくれ、と。
今のあたしには命じる力はない。
だけど、まだあたしには二つ武器がある。
ひとつはこの体。
もうひとつは、精神力だ。
精霊とは、意思強き者の言葉を聞く。
魔術師が、魔法戦士が、カリスマや知恵、知識というような精神的なものを修行するのはひとえにこのため。
だけどね。
もうひとつ、彼らを魅せる力が存在するんだよ?
「あ・・・」
来て、精霊よ。
「ああ・・・」
歌を歌おう。
「あああ・・・!」
あたしと共に。
「あああああああああああああ!!」
それは叫び。不屈の、諦めのない言葉。
その声に怒りを。
その声に魂を。
ああ・・・分かってるよ。
今あたしは精霊に呼び掛けなんてしていない。
その叫びに、精霊たちが魅せられているんだ。
あたしの周りに、精霊が集まる気配を、感じる。
「・・・・むぅ」
黒衣の男は何かを感じたのか、後方へ後退する。
でも、足りない。
立ち上がる事は出来ても、次の行動を起こすにはこれだけじゃ足りない。
おそらくあの男の実力は、あたしよりもずっとずっと、上だ。
それこそあの二人を一瞬で戦闘不能に追い込むほどに。
だけど『纏ウ零ノ鎧』を使うつもりはもうない。
あれは目的のために、不用意に多くの人を傷つける。
そして、相手の実力に応じて再び氷霊を集めすぎて再びこの街を滅ぼす危険に晒すだろう。
今は、目の前だけでいい。
たった一人で、いい。
仇を・・・討つ。
右手に精霊の力を集める。
ウォーターフォール。
だけど、それは空ではなく、男に向かって投げつける。
それは狙いたがわず男に飛んでいく。
しかし、普通ならば怯み、焦る攻撃のはずなのに・・・
何故か全く倒せる自信がない。
氷矢は分裂し、数十の矢となる。
それは手加減なしの攻撃。
避けきれる攻撃ではないはずだ。
あたしはその間に立ち上がる。
すでに氷霊の力で傷口の出血は塞いでいる。
『纏ウ零ノ鎧』のように神経の操作なんて高等技術はもう使えないけれど、これだけで十分。
あとはもう根性だ。
あたしは走り出す。ある一点を向かって。
だけど、横目は男に向けられたまま。
予感は、的中した。
男はハンマーを振り上げ、落とす。
それだけ。
本当にそれだけだった。
だが、その単純な二動作があまりにも強力で。
「っく」
落とされたハンマーはそのまま地にめり込み、衝撃を放つ。
先ほどの衝撃よりは幾分弱い、だけど、それでもその衝撃波が離れているあたしを打つ。
痛みがある。余波で、それほどの一撃。
そして、その矛先である氷矢は・・・
「あまいな」
男には一切当たらず、ある物は砕け、ある物はあらぬ方向へ飛んでいく。
まさに人間業ではない。
魔術が力技で跳ね返されることなど、ありえないはずなのに。
それでもあの男は何とかしてしまう。
そんな恐怖が心中に出てくるが・・・走る。
あたしの向かう先にいる者の元へ。
右手を・・・伸ばす!!
氷の女王へ。
氷霊の、王の元へ。
ヘディンさんが呼び出した、神霊。
それはまだ、存在していた。
あたしは、あたしには。
力が足りない。
だけど、だからこそ。
あたしは手を伸ばす。
願わくば・・・お願いだから・・・
あたしに力を・・・!!
蒼き氷の女神 18『失われし者からの言葉/「復活の時」』
私はちぇるしーさんを見ていた。
彼女は、私が召喚した氷の女王と契約をしようとしている。
そう、自分でも『驚くべき事に』、氷の女王はまだ存在していた。
普通ならば、すぐに消え去るはずの精霊が、今だそこに存在していた。
そして、その精霊に彼女は契約を行おうとしている。
その考えは、ある意味正しい。
精霊との契約とはこうして受け継がれていくものだから。
魔術師が次代に渡す物として、二つの物が存在する。
一つは魔術師としての技。
そしてもうひとつが、魔術師が契約している精霊だ。
小さく存在する精霊は、力量のある者であればすぐに契約できる。
しかし、世には上位精霊というものが存在する。
その中でもさらに上位にある者が、まさに今現れている氷の女王と、炎の獣神。
彼らは滅多な事では人の前にその存在を現さず、召喚することさえ困難なものだ。
力持つ魔術師のほとんどはこうした上位精霊と契約、もしくは盟約を結んでいる。
人間には寿命がある。
精霊との契約、それを途切れさせないために、契約は師から弟子へ脈々と連なっていく。
だが・・・・
「っあああ!?」
彼女は苦しげに、瞳を閉じる。
精霊は力あるものに従う。
それは精神であり、または純粋な力。
精霊には意思がある。
気に入らない人間。契約に値しない人間は、一律精霊に呑みこまれてしまう。
呑みこまれる・・・それはつまり、精神的な死。
今、彼女は氷の女王から試練を受けているのだ。
どのような内容なのか、私には伺い知れない。
私と『彼女』との契約は、ありとあらゆる準備をして行った。
その準備だけで、半年。
それをちぇるしーさんは今、この場で行っている。
しかし・・・
黒衣の男はゆっくりとちぇるしーさんの方へ向く。
やはり狙うか。
だが、それは当然だった。
彼は彼女の命を奪おうとしている。
この状況はまさに好機と言える瞬間だ。
私の体が動くならば、彼女を守ることもできただろう。
しかし動かない。
もうすでにこの体には限界が来ていた。
今にも痛みで気絶しそうなほどに、傷ついていた。
・・・くそ・・・・
悔しい。
彼女を、守りきれない。
何故、こんな時に動けない。
傷ついた彼女を、何故守れない・・・
多くの苦しみと、痛みに疲れ、それでも尚立ち上がった彼女を。
私は、私は・・・・!
男が動く気配を見せる。
もし、彼が彼女の命を奪おうとするならば。
私は、例えこの身が砕けようとも、止める。
経過を見れば、幸いとはとても言えないが、ちぇるしーさんの召喚していた氷霊はまだそこかしこにいる。
止める方法ならば、ある。
チリング・ブレイク
この技ならば、問答無用に魔力を引き出すこの技であれば残り少ない魔力でもなんとか足止めは出来るかもしれない。
その代償として、私の中の何が奪われるかは分からない・・・だが。
私は術式を構築しはじめる。
しかし、それは予想外の事が起こった。
黒衣の男が、腕を組んだのだ。
それは不動の構え。
なんだ・・・?
その行動に、困惑する。
私は術式の構築を行いつつ、戸惑いつつ、彼を見ていた。
変化はすぐだった。
男の体から何か黒い気配を感じる。
これは・・・?
痛い・・・
いや、それは現実の痛みではない。
これは試練。
氷の女王が私と契約を結ぶに相応しいかどうかの、試練。
彼女が私に課した試練とは。
『貴女の魂を示しなさい』
なんだ、それは?
魂? そんなの、分かるわけがない。
だけど、その間にも氷の女王の放つ力はあたしに向けて放たれる。
苦しい・・・
肉体の痛みではなく、精神の痛みが、つらい。
そう、女王の力は、裸とも言えるあたしの『心』・・・魂を削っているのだ。
このままでは遠からずあたしの魂は壊れる。
だけど、まだ壊れるわけにはいかない。
あたしは、仇を・・・討つんだ・・・
「・・・ライネル・・・ゴーディ・・・ハイネ・・・」
彼らに比べればこんな痛み、どうってことない。
もう、あの子たちは痛みさえ感じない。
もう、喜ぶ事も出来ない。
なにも、出来ない。
悔しい・・・すごく、悔しい・・・
あたしの心が、深い哀しみの中、思い出す。
幸せだったあの頃を。
そう、彼らと共に生きてきた時間を。
色んな事があった。
嬉しい事も、悲しい事も、多くを共有した。
それは幸せな時間だった。
大切な弟、妹たちとの思い出。
そういえば、最後にあった時、なんか言われたっけ。
痛みにさらされる中、思い出す。
「俺達さ、ここまで来れたのって、ちぇる姉のおかげなんだぜ?」
ライネル・・・
「小生たちは、あの時からちぇる殿に支えてもらっている。もう二年もだ」
ゴーディ・・・
「ちぇる姉様は、本来ならお一人で冒険者としてやっていけました。それなのに、何も知らない私達に手を差し伸べ、救ってくれました」
ハイネ・・・
・・・違うよ・・・
本当は、あたしの方が貴方達に救われていた。
守るべき存在だったものが、いつの間にか救ってくれる存在になっていたんだ。
あたしはさ、本当は、寂しがり屋なんだ。
だけど、失う事が怖くて、親しくても、それ以上にはなれなかった。
でも
貴方達は、それを思い出させてくれた。
誰かと一緒にいるという暖かさを。
だからこそ、あたしは貴方達の死を受け入れられなかった。
分かってる。分かってるんだ。
冒険者の命なんて、いつ消えるか分からないものなんだってことは。
冒険者は常に死と隣人となってしまう。
神官たちのおかげで、幾分か生き返る可能性があるが、死んで時間が経ってしまえば魂は肉体から離れる。
神官が使う奇蹟、高位神官魔法リザレクション。
それは死に絶えた肉体を100%再生し、生き返らせる事が出来る。
だけど傷ついた体を癒したって、魂がなければ、意味を成さない。
もう、貴方達の魂は遠くへ行ってしまった事は分かっていた。
あたしを、救うために。
あの紅い神官だったら、時間が経っても魂さえあれば肉体を癒し生き返る可能性があったかもしれないのに。
貴方達は、死に掛けてたあたしを助けた。助けてしまった。
自分たちの肉体を顧みず、あたしに救いの手を差し伸べてしまった。
深い、後悔。
そして、救われたあたしは絶望の末に・・・
この手を真っ赤に染めた。
・・・傲慢だ。
そう・・傲慢なんだ。貴方達を失った悲しみから逃れるために、あたしは多くの命を手にかけた。
そうしなければ、あたしは狂ってしまいそうだったから。
でもその結果がどうだ。
友であるヘディンさんを傷つけて。傷つけ続けて。
ああ・・・ああ・・・分かってる。
あたしは、寂しいんだよ。
・・・だけどね・・・
「それでもね」
だけどね
「偽善だろうと、言われてもね」
だからね
「あたしは、まだ」
だからこそ
「守る人がいるならば」
そうだヘディンさんを・・・あたしの前に立ち続けてくれた人を
「あたしを救ってくれた貴方たちの救いを・・・無駄にしないために」
立ち止まり、あたしの背を押してくれる者のために
「あたしはまだ死ねない」
「「「頑張って」」」
聞こえたその言葉は、どこから聞こえたのだろう?
気付けば痛みはなくなっていた。
そう。試練は、終わっていた。
蒼き氷の女神 19『失われし者からの言葉/氷の女神』
「・・・・・・」
時間は、どれくらい経ったのだろうか?
周りを見れば、ヘディンさんは倒れたまま、視線だけこちらへ。
そして黒衣の男は。
「・・・終わったか」
あたしはこくりと頷く。
男は腕組みをといて、手に持ったままだったハイネの聖印をこちらへ放り投げる。
あたしは黙ってそれを受け取った。
そうか・・・この男は・・・
今、あたしの周りには凍気が舞っていた。
氷の女王は、いない。
黒衣の男は再びハンマーを手に持ち、構える。
「行くぞ」
あたしが言葉を返す前に、男はこちらへ迫ってきた。
その巨体に似合わない、凄まじい速度。
まさに怒涛の勢いというやつだ。
だけどあたしは冷静に状況を見る。
彼とあたしとの距離は約15メートル。
今から避けようとしても、そのまま追いつかれ体を砕かれるだろう。
ならば。
あたしは再び手に氷の矢を生み出す。
だが、次は両手に。
先ほどとは比べるべくもなく、魔力の強い力を感じる。
氷の女王を味方につけたことで氷霊たちが以前よりももっと力を貸してくれている。
狂った氷霊に命じることで出来た細かい作業も、威力は劣るが以前よりも遥かに繊細に扱えるようになっている。
あたしは右手に生み出した氷矢を天に向かい投げる。
左手に生み出した氷矢は、迫る男の眼前へ。
そして分裂する氷矢。
だが、男は止まらない。
彼はハンマーを右肩に担ぎ、それを小さいモーションで上から下へ振る。
普通ならば、その程度で氷矢がどうにもなるわけがない。しかも、分裂した氷矢は先ほどと比べるもなく大量に降り注いでいるのだ。
だけど、彼は『普通』ではない。
「むん・・・!!」
彼は下方へ振るった巨大なハンマーと共に、右足を軸に回転した。
その回転の慣性はそのまま速度という名の力に上乗せされ、下方へ振るわれたハンマーへ加えて共に一回転したそれは先ほどよりもさらに威力を増し、地面に叩き付けられる。
ズドン、という普通ではありえない轟音があたりに響き、凄まじい衝撃波が氷矢にぶつけられた。
氷矢はたまらず砕け散る。
距離は約10メートル。走れば一瞬で詰められる距離だ。
だけど・・・
「まだよ!!」
そう、まだ天に向けられ投げられた氷矢がある。
それは時間差で黒衣の男に降り注いだ。
上空・・・つまり頭上は死角。化け物じみた男ではあるが、そうした弱点は人間の形をしている限りなくならない。
案の定降り注ぐ氷矢の雨に男は動きを止めた。
「・・・ぐ・・・」
ここだ。
この隙、決して見逃してはいけない。
「ライネル。いい、よく聞きなさい」
あれは、まだ一緒に冒険を始めたばかりの頃だった。
「ん? なんだよ、ちぇる姉」
とある酒場で、あたしは紅茶を飲みながらライネルに話しかけた。
「あんたはいつも敵に突っ込んでるけどね、それじゃ駄目」
それはあの頃、よく怪我をする彼に注意をしたときの事だ。
「・・・断言するんだな・・・」
むくれるライネルにじっくり、ゆっくりと言い聞かせる。
「当たり前じゃない」
あたしは軽くため息をつく。
「攻撃というのは何も真正面から堂々とぶつかりあるだけが能じゃないわよ?」
「って言ってもさぁ・・・結局戦うなら、いつ攻撃しても同じじゃないか?」
彼はどうしても戦う場面になったとき、よく真正面から敵にぶつかっていく一種の癖のようなものがあった。
「いい? 攻撃というのには機微という物が存在するの」
「機微?」
「タイミングよ、タイミング。例えば・・・」
あたしは一つ一つを細かく説明する。一重にタイミングと言っても、様々な状況、パターンが存在する。
近接攻撃が得意な敵の場合、遠距離攻撃が得意な敵の場合。
地形による行動の制限、天候による攻撃速度の変化。
魔術が相手なのか、それとも剣などの近接武器が相手である場合。
戦いとは一つのパターンで進むわけがない。時にとんでもない決断に迫られる時がある。時に逃げ出さなければいけない時がある。
「じゃあさ、魔法も武器での攻撃も効果なさそうで、近接が強い敵の場合は?」
それは、ありえないような強者が相手の場合であった時、どうすればいいかという事。
「そんな時はね・・・」
あたしは即座に無詠唱魔術を行う。
精霊はすぐに応えてくれる。
あたしの右手に氷霊が集まる気配を感じる。
それはあっという間に氷の塊に変化した。
男を見れば小さな出血があるものの、あれほど苛烈なウォーターフォールを受けたにも関わらずほぼ無傷。どこまで化け物なんだこいつは。
だけど、十分な時間稼ぎになった。
あたしは彼に向かってその氷塊を投げつけた。
その狙いは足。
男はすぐにそれに反応『してしまった』。
鋭い蹴りがその氷塊にぶつけられるが・・・
「っちぃ」
それは間違いだ。
氷塊には大量の氷の精霊を封じ込めていた。
つまり、その蹴りで氷塊が壊された今。
「凍れ・・・!!」
変化は即座に。
彼の足は一瞬で足が凍りつく。いや、それどころではない。
その氷は足だけに留まらず彼の周囲や下半身をおおいつくす.
魔法も武器での攻撃も効果がないように見える敵。
そんなの、実際にいるはずがない。
命あるものは大も小も関係なく、効果がないように見えてもその身に攻撃を受ければ必ず傷つく。
効果がないように耐える。それもまた強さなのだ。
そしてそんな敵を相手にする場合、まず足を止める。
・・・普段なら、ここで逃げるとこだけどね。
今が攻撃のチャンス。
あの男はおそらくあと十秒ともたずあの氷を砕くだろう。ならば、与えられる攻撃は一度のみ。
右手に再度氷霊を呼び出す。
だけど、今から使うのはウォータフォールではない。
「ゴーディ、ちょっとこっちに来なさい」
それはある依頼で魔法都市スマグに行った時のことだ。
「む。なんだちぇる殿?」
ゴーディはフードを被った顔をこちらへ向けてくる。
「あんた、最近無詠唱魔術しか使ってないけれど、なんで?」
彼はあの頃、無詠唱魔術を覚えたばかりだった。その術式の鍛錬のせいか、彼はよく無詠唱魔術を使っていた。
「当然、そちらの方が効率がいいからだ」
やっぱりか・・・こちらの思ったとおりの答え。
「違うわよ」
「む? だが、詠唱魔術よりも無詠唱魔術の方が速度が上だ。効率的にはこちらの方が上だろう?」
「勘違い」
あたしは断言する。
確かに、詠唱魔術は無詠唱魔術に比べて発動速度が段違いに速い。
だけど、それは勘違いだ。
何故ならば、無詠唱魔術は精霊と言葉でやり取りをせず、問答無用に力を引き出す技なのだから。
全てに万能な無詠唱魔術。だけど、時と場合という言葉が魔術にも存在する。
「では、例えばどのような時ならば詠唱を行えばいいのだろう?」
まだ分からないであろうその疑問を彼はあたしに投げかける。
「それはね・・・」
『来たれ氷の精霊たちよ』
『疾く来たれ 我が声に耳を傾けよ』
『我が名と 氷の女王との契約の名の下に』
『我が望むは氷の監獄 我が求めるは氷柱の虜』
『精霊よ 今こそ契約の時』
タイミングとは強力でなければいけない『時』。
詠唱魔術とは精霊との大切な契約の言葉を交わす術式。
無詠唱魔術は一方的に精霊と約束をとりつける、ある意味で外道。
威力、力の持続力。全ての威力を高めるには、言葉を口に出し精霊と話し合う事が必要となる。
今は、今こそが詠唱を行い、精霊の協力を願う時!!
使うのは上位魔術、氷獄葬(アイスコフィン)の下位魔術。
相手を氷の牢獄、つまりは凍りで覆いつくし、その動きを止め、痛みを与え続ける中級魔術、『氷獄』(アイスプリズン)。
だけど、例え中級であろうと詠唱魔術を行うことでその威力は無詠唱魔術に比べれば段違いに変化する。
強い力を持つこの男を『止める』ためには、こうするしかない。
氷獄の力は瞬時に男の周りに集まり始めた。
「むぅん!!」
遅かったか!?
男は足を拘束する氷をハンマーで叩き割り、こちらへ向かってくる。
「っく」
あたしが常に距離をとっていたのは、彼をこちらへ近づけないため。
いや、むしろ距離をとらざるをえなかったのだ。
何故ならそうしなければいけないほどに、彼とそのハンマーの威力は凄まじく。
「か・・・はっ・・・」
凶悪なハンマーの先端が、あたしの腹部を薙ぎ払う。
大地を叩き割るほどの威力。例え当たった場所が先端のみであっても、あたしには十分致命傷。
吹き飛ばされるあたしは、それでも彼から目を離さない。
地に倒れたあたしは機会をうかがう。
まだ氷獄の魔術は発動されていない。
黒衣の男は吹き飛ばされたあたしの方をゆっくりと振り返る。
だけど、それこそが隙。
今だ。
『氷獄(アイスプリズン)』
魔術が発動した瞬間に、彼の身に氷霊がまとわりつく。
だけど、それは普通の氷霊たちだけではない。
狂った氷霊たち。それさえも、あたしの言葉に従い黒衣の男を包みこんでいる。
「ぬぅ!?」
黒衣の男は一瞬で首から下全てが氷に包まれる。
だが、それでも彼は抵抗する。
信じられない・・・あの氷に包まれて、まだ動こうとするのか・・・
だけど。
「これで、ようやく話せるわね・・・」
あたしはお腹を押えて立ち上がる。
ゆっくりと、黒衣の『神官』の元へ向かう。
「冷静に考えれば、すぐに分かっていたはずなのに・・・」
呟きながら、あたしは黒衣の男を見る。
「あの時、なんであたしにハイネを殺したと【嘘】をついたのか」
彼の目は、その凶悪な体躯からは信じられないくらいにまっすぐだった。
「貴方が・・・」
あたしは顔をしかめながら、言う。
「貴方が、公社、教会連盟を救ったという黒衣の神官なんでしょう?」
男はその言葉で放たれる殺気を消した。
そう、よく考えればおかしな話だったんだ。
ハイネの聖印を持っていた事。
あたしが氷の女王と契約するのを待っていた事。
たった二つの疑問。だけど、とても重要な二つ。
あたしは、ハイネの聖印によって死ぬ事を拒んだ。
あたしは、氷の女王と契約することによって、狂った氷霊さえも従える力を得た。
まるで、それは・・・・
「あたしを助けてくれたのは、何故?」
彼は黙して目を閉じる。
これは決して思い違いじゃない。
なにより戦いは甘いものじゃない。
あれだけ隙があれば、彼は何度でもあたしを殺せたはずだ。
それほどまでに黒衣の男の実力はあたしのソレを大きく上回っているはずだ。
だけど彼はあえてその力を抑え、あたしと戦った。
それはつまり。
「あたしを救ってくれたのは、何故?」
確信は・・・ある。
「ハイネ、ちょっとここに来なさい」
それはアウグスタの夜。本拠地である宿であたしはハイネに注意をした。
「はい? なんですか、ちぇる姉様」
「そこに正座しなさい」
「え・・・?」
「いいから」
ハイネはわけがわからないというように疑問の顔を浮かべる。
「貴女はなんでそういつもいつも挙動不審なの・・・」
「ひ、ひど・・・」
ああ・・・また泣きそうな顔に。
「・・・まぁ、いいわ。貴女はちょっと状況把握能力・・・観察力が足りないよ?」
「観察力・・・ですか?」
そう、つまり周りが見えていない。
簡単に言えば周囲への注意力が足りないために、自分が今どういった状況にあるか把握できていないのだ。
そのために彼女は常に周りの変化に戸惑い、ふとした変化に挙動不審と言われても仕方ないほどに戸惑ってしまうのだ。
だからこそ、彼女は余裕を持たなければいけない。
それを可能にするのは、つまり観察力。
「で、ではちぇる姉様。どういったところを観察すれば、状況把握が出来るのですか?」
それは人それぞれなんだろうけれど・・・あたしの場合は。
「あたしがよく見てるのはね・・・」
行動の経過と、相手の目。
目は全てを語るという言葉があるけれど、それは本当の言葉だと思う。
真剣に相手と相対する時、目はその人の本心を明らかにしてくれる。
迷い、疑惑、怒り、喜び・・・そして、決意。
彼の目に、悪意はない。なによりもそのまっすぐな・・・まっすぐすぎるその目はあまりにも綺麗だ。
誰かを傷つける時の人の目は、何かしら負の感情が含まれている。
彼にはそうした感情が見えない。
だからこそ、あたしは確信する。
彼は、あたしを救おうとした、と
だが、彼は沈黙を保ったままだった。
あたしも黙って彼の目を見る。
そして・・・
「終わりましたのね」
紅い神官が、現れた。
続く
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