Roll

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Slept




「ふぁ…ん、何」
いつもどおりのそっけない反応。
俺だって一応彼氏という肩書きを持っているのだから
それなりの反応をしてくれたらいいのに、と時々思う。
まぁ、ふぁ、という声を聞くと、そんなことどうでもよくなるのだけど。
サユリはそろそろ「いつも寝ている人」というのが定着してきて、
だからサユリのお母さんが電話口で「ちょっと待っててねぇ」と言ってから
電話よー!!とかおきてー!!とかバシッ!!とか
口調に似合わないちょっと激し目の効果音が聞こえるのも
なんだかいつものことになってしまっている。
「今から遊ばない?」
「おう」
「おおおうおう」
がちゃ。じゃあね、とも言わずに一方的に切られるのもいつものことなんだけど、
やっぱりこれだけは慣れない。根本的に無理だ。
と考えているうちにお邪魔しますという声が聞こえて、
俺は部屋でギターを持ってサユリを待ち受ける。
やっぱり近すぎるというのも心の準備がいまいち出来なくていまいちかもしれない。
部屋のドアがあいて、サユリのジャージが見える。
別に学校があったわけでもないのだけれど、サユリは学校のジャージが意外に好きらしい。
「おはよう」
サユリが寝ていたのを皮肉って俺は言う。
「んぁ、おはよう」
それでも普通に返されるものだから、俺は軽くふて腐れたような顔を作る。
けれどサユリはそれが演技だということをもう知っていて、肩にかけたギターを置いた。
「ねむい」
今日はがんばって練習するって決めただろ!?そう言おうとする間もなく、
サユリは自身の特等席になったソファに沈んで目を瞑る。
俺は呆れたような顔を作ってから、しょうがないと思うことに決めて、
サユリが「寝ソング」とか言ってる曲を弾いてやった。
これを聴くと、いつも一瞬で寝れるらしい。
「幸せそうな顔しやがって」
俺は微笑してその頬に人差し指を押し込んだ。
「ん…」
サユリの手が嫌がるように動く。
俺が告白した時もこんな感じだったっけな。
なんだったっけかな。サユリの言葉は。
「おまえになら寝顔見せてもかまわねぇよ」
とか、そんなんだったと思う。
でもそれは確かに、俺の告白に対する「いいよ」という返答で、
それを感じて、俺はサユリのことを抱きしめていた気がする。
寝顔が見れるのがこんなに幸せなのは、多分そのせいなんだろう。
抱きしめるようにして、俺もソファに体を沈めた。
目の前にあるサユリの寝顔にキスをする。
今日はギターなんていいや。夜寝れないのも別に構いやしない。
目を瞑る。
サユリの体は温かくて、すぐに僕もサユリと同じ場所に昇っていった。

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