運命

運命

福祉の街づくり






 福祉のまちづくりへの主体形成の課題について、具体的な例を示しながらみていくことにする。また、問題点なども挙げ、これからの福祉のまちづくりの課題点もあげてみていくことにする。
 最近、バリアフリーとさかんにさけばれている。また、バリアフリーに関する様々な法案もできてきた。その代表的なものが、交通バリアフリー法の効果である。この法では、鉄道やバス会社、ターミナルの管理会社などに施設のバリアフリー化を義務づけている。さらに、駅などから役所や福祉施設など障害者や高齢者がよく行く施設までのスムーズな移動も重視している。このため、周辺地域の整備を含めた基本構想を策定するよう、市町村に対して促しているのである。駅やターミナルを新しく造ったり大規模に改修する際、エレベーターや身障者用トイレを設置したり、車両ならば乗り降りしやすい低床車を導入したりしなければならない。既存の施設でも、1日の利用客が5000人以上あったり、体の不自由な人々が相当数利用するような駅は、バリアフリー化するよう努めなくてはならない。また、今ある駅などの公共施設も、数年後までにはバリアフリー対応にしなければいけない。また、バスはこれから新しく買い換えるとき、購入するときはノンステップバスなどにしなければならない。このような動きは、地方自治体レベルにもでてきた。京都府舞鶴市の市民団体「京都府北部の福祉の街づくり協会」の活動を紹介しよう。
市営立体駐車場ができるときのことだ。担当者に、エレベーターの出入口の隙間について提案してみた。また、駐車場の天井の高さワゴン車の後部のハッチドアを開けたまま乗り降りできるように設計変更してほしいとお願いした。
 ショッピングセンターのケースでは、目の不自由な人のために点字案内板の設置をお願いしたところ、入り口に設置し、あわせて売り場説明付き表示板も付けていただいた。
 舞鶴市魚市場のケースでは、開設の時に障害者用トイレに洗面台としびんを洗ったりする設備をお願いしたが、その通りに実現された。
 近畿丹後鉄道は、天の橋立~綾部間の特急に通路の広い乗り降りしやすい福祉車両を1両付けている。これを京都まで延長することと、普通車にも広げてほしいとお願いしている。
 このように、地元企業や行政が積極的に要望を受け入れている地方自治体も少数だが確実に増えてきているのは間違いない。しかし、普段差し支えなく使っている人の意見を聞いてもしかたないのである。そのためこれからの課題として、基本構想作りに障害者や高齢者、つまり当事者や市民にどのように参加してもらうかが焦点となってくる。事後の評価も同様で、自治体の職員も調整能力が問われることになるだろう。駅ホームでの事故が後を絶たないことからも分かるように、施設整備の安全基準についての詰めが甘いことも問題点である。
 ここまでは目に見えるバリアフリーだが、ここからは角度を変えて心のバリアフリーについてみていこう。近年、社会問題となっている「ひきこもり・虐待・自殺・孤独死・ホームレス・などなど」これらも角度を変えてみれば社会福祉という名の福祉ではないだろうか。このなかで福祉に一番かかわりのある、孤独死についてすこしふれてみよう。先日、とある新聞に次のように書かれていた。
 「阪神大震災以後、減らぬ孤独死」
一時、新聞紙上を大きく賑やかした孤独死問題。死後半年、死後1年、ミイラ化、白骨化、そのような見出しが印象的な孤独死事件。いったい、なぜだれも気づかなかったのだろうか。その理由はこのご時世にあるのではないだろうか。みな自分のことで疲れ果て、小学生までがお受験競争。小さいころから他人を蹴り落としてでも自分は人よりうえへ、と習ってきたせいではないだろうか。いつのまにか、人に気を配るのを忘れていた。大人も、見えない不況に焦り、目の前にある課題しかみえない。そのような時代に、独り取り残され、誰にも見取られることなく孤独に息を引き取り、誰かが気付くのを待っている。
 バリアフリーにかんする法案ができてきた。目に見える物をバリアフリーにするのは、難しいことではない。お金と時間があればできる。それはもちろん、生活していくうえで必要である。しかしそれ以上に、人の心のバリアフリーも必要なのではないだろうか。心のバリアフリーも大切な教育である。ゆとり教育といわれるようになってきた今、ゆっくりと時間をかけて福祉に対する勉強も必要なのではないだろうか。

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