桜の舞い散る園で・・・~Sorrow and a feather of courage~

桜の舞い散る園で・・・~Sorrow and a feather of courage~

車輪の国、向日葵の少女



ストーリー

テキストは割とシンプルで読みやすいです。田中ロm(ryさんみたいに、いろんな知識を出しているわけでもなく、奈須きn(ryさんとかみたいに難しい言い回しを使っているわけでもないです。

主人公達の暮らす世界では、何か罪を犯すごとに、様々な細かい義務を負わされます。
例としては、「一日○時間しか生活できない義務」など。
主人公の森田賢一はそういう義務を司る法人、特別高等人の試験を受けるために、山に囲まれた小さな街にやってきた候補生。最終試験の内容は、義務を持つ少女達の義務を解消させること。果たして賢一は見事特別高等人になれるのだろうか?

おおまかなストーリーはこんな感じです。

展開は読み手を引き込むようにかなり工夫されている。
日常シーンは軽快なテンポとギャグでお手軽に楽しめる。
突っ込みもテンポが良く、パロディもとても面白いです。
後半は持ち上げてから落とすの繰り返しが多く、山場が多いため読み応えがある。
止めるに止められない、そんな表現がぴったり。

この作品最大の長所は伏線の貼り方と消化の仕方。
思わせぶりな場面を散らしてあるわけではなく、逆に日常のどうでもいいような場面が伏線だったりします。
前触れが一切ないので度肝を抜かれることは間違いないだろう。
終盤になってこちらが忘れかけた頃にやってくれるのでインパクト絶大。

登場人物たちは皆人間くささがある。
言動や仕草がリアルで説得力がある。
特に、悪役である法月のとっつぁん。とっつぁん無くしてこの作品は成り立たなかっただろう・・・
言葉でこれほどの圧力をかけられるのか、と思わせるほどセリフに力がある。
憎たらしいまでのセリフ回し、表現にはこれまた脱帽。
一つの章がヒロイン一人のシナリオで順に3人のシナリオをプレイし、最後に締めがある。
最終章は上記の通り伏線の回収が行われ山場も多く、見所満載。
読み手を全く退屈させない展開でそれがラストまで持続する。

この作品唯一の欠点は、2周目以降が作業プレイになってしまうこと。
上記の通り一つの章がヒロイン一人のシナリオであり最終章で物語は締め括られるため、
ヒロインによるシナリオの差はない。
一本道で良かったのではないかと思う。
1周がなかなかボリュームがあるので何周もスキップするのは結構苦痛ではないだろうか・・・
主要登場キャラクター

森田賢一

主人公。実は、森田賢一という名前は本名ではなく、本名樋口健。革命家、そして大犯罪人と呼ばれる樋口三郎の息子。幼い頃、故郷から逃げ出したところを、法月将臣に拾われ、特別高等人候補生として育てられる。そのため性格や顔つきが別人になっているため、幼なじみ達は一人をのぞき、賢一=健という事実が分かっていなかった。
最終試験の舞台である街は、故郷である。
南方の戦争で頭をやられたらしく、クスリがないと生活できない体になってしまっているらしい。しかもなぜか、あんたあんたと、誰かに話しかけるような口調で独り言を言う、ハードM。

僕がやったゲームの中でもトップクラスにかっこいい主人公です。

日向夏美

通称なっちゃん。
賢一の幼なじみ。人と肉体的接触をしてはいけない義務を負っている。人を触ったりすれば罪となり、特別収容所に送られる。健に恋心を抱いており、そのためいつも、逃げ出した健の帰りを待っている。渦巻きを見るとすごく暴走してしまう。


過去と現在で二人の構図がちょうど逆になっており、その描き方・魅せ方が非常に上手い。
過去の打ち明け方も自然な感じだったと思う。
義務を解消するためには恋愛をしてはいけない。
でも幼い頃の恋心のみが生きる力を与えてきていたわけで・・・
その葛藤が重いのなんのってorz
とっつぁんの目線を合わせての最終試験が最高にエグかった・・・

「夏が来て、暑くなって、少しだけ雨が降って、田んぼは青々しくて、風が吹くと緑の匂いがして、ケンちゃんみたいな友達がいて・・・・・・なんにも変わらないのだけれど、それだけでもいいんだよ」

三ツ廣さち

賢一の幼なじみ。一日8時間しか生活できない義務を負っている。
まなという子と一緒に寮で暮らしている。昔は絵を描いていたのだが、ある理由により描かなくなってしまう。外国との株の取引などを行ってため、数学が得意。
ちなみに国語が苦手なため、しゃべる日本語がおかしい時がある。


確かに、いくら一回きつく言われたって今までサボってきたやつだったらやらないよね。
そういう意味ですごくリアルな展開だった。
頑張らなきゃいけないのに身体が頑張れない。
何とか頑張っても思い通りに行かない。
そんな見てて非常に胸が痛くなる展開だった。

「本気で好きあってからつきあうなんて、時間の無駄だよ。あたしは、いいなと思った人と早めにたくさんの思い出をつくりたいの」

大音灯花

このHPのバナーの人。(爆
唯一賢一と初めてあった人。親の言うことには逆らうことが出来ない義務、通称大人になれない義務を持つ。親は学園の教師をしている。ある理由により、性格が捻くれてしまった。
舌足らずであり、文句を言うのにもうまく言えなかったりする。
「ぶっ殺すぞ!(灯花語:ぶっこぉすぞ!)」
ツンデレでもあるため、賢一に惚れたあとのデレッぷりは凄い。


一山去って晴れて義務解消と思いきや・・・その後の一山が重い・・・
背負ってきた義務のせいで主体性のない灯花、実際の親ではない京子さん。
「子供が二人いる」という賢一の言葉どおり、泥沼の展開で非常にしんどかった。
そして最後のとっつぁんの「豚のひがみ」という言葉がさらに効いた・・・

「なにかされたからこっちもくやしいとか、なにかされたからこっちも悲しいとか、そういった想いが続いていくのは、なんていうかやだな・・・」

樋口璃々子

賢一のお姉ちゃん。頭はいいのだが、軽く背中フェチで、ハードS。連座制によりこの世でもっとも辛い罪、誰とも話せず、コミュニケーションをとれず、目を合わすことが出来ない、極刑を負っている。特別高等人ならば、話したりすることが可能なため、そのため賢一は高等人になろうとした。第5章までは回想にしかセリフはなかったが、第5章からは大活躍。


第三章の冒頭の幼少時のシーンで一気に好きになったw
そして第五章の冒頭、今までの伏線が消化された場面では鳥肌が立った・・・
その後のギャグがまた非常に面白かったw
でも何と言ってもあの演説シーンだろう・・・全体を通して最高の場面だと思う。

「みなさんに生きて欲しいと、私は思います。望んだのは、生きる幸せを得ることなのです。決して生かされることではないのです」

卯月セピア

本名磯野一郎太。本人曰く、セピアはペンネーム。唯一、賢一=健と気づいていた人物。
前髪がやけに長いのだが、実はそれにはある理由があるからである。ちなみに触ると起こる。
連座制により罪を負わされそうになったのだが、本人曰く、狂っているため、逃れることが出来た。


コイツもすごい。賢一の正体を唯一気づいていたこともあり、思わせぶりなセリフを連発。
特に最後のシーンでは賢一と僕の心がシンクロしてしまった。
「言っておくけど、僕は君を許したわけじゃないんだ」

法月将臣

悪役である、特別高等人。ファンディスクの悠久では、賢一との意外な関係も明らかになる。
(悠久からの設定)昔は賢一と同じく、社会に不信感を持っており、社会の破り方を見つけようとしたが、特別な人である、雑賀みぃなを助けられず社会に負けてしまった。賢一の父である三郎を殺したのもこの人。SF小説マニアである。


何度も言うと、言葉でこれほどの圧力をかけられるのか、と思わせるほどセリフに力がある。
憎たらしいまでのセリフ回し、表現にはこれまた脱帽。

「お前の胸に金色のバッジがついたとき、お前はきっと気付く。社会には、人のうねりには勝てないのだと。世の中には、どうあがいても覆せない理があるのだと」

グラフィック

立ち絵は表情豊富、変化も大きい。
子供時代も手抜きがなく豊富な表情。
距離によって立つ位置がちゃんと変化したり、大きさが変わったりする細かさもある。
ただ服装のバリエーションはかなり少ない。

音楽

お姉ちゃんの演説シーンで流れる「Reason to be 2」は名作。素晴らしく感動してしまった。


総評

萌え・燃え・感動を兼ね備えた名作。しかも絵と音楽も高レベル。
ただ、ドラマ部分を受け入れられない人はいるかもしれないです。良くも悪くも過激なので。

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