仙台市のワクワク系住宅専門店経営者の「でいりーれぽーと」

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[当日]



本試験日。当日の事を書いた試験日翌日のブログを引っ張り出しました。

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試験日(でいりーれぽーと第870号2004/10/11)

 9日の夕食は鍋焼きうどんにして消化の負担を極力減らし、いつもより早い11時に就寝しました。いつもより早い時間なので眠れるかなぁと思いましたが、すぐに寝てしまったようです。しかし、午前2時頃目が覚めてしまいました。夢で試験のことを見てました。すぐに寝なおして6時に起床しました。犬の散歩をしながら深い深呼吸をして新鮮な空気を体内に取り入れました。台風が過ぎ去った後の川の水がとても澄んでいてきれいでした。
 朝食にはにんじんジュースと食パンを一枚食べました。そして9時ちょうどに家を出て10時15分に試験会場の育英高校へ到着しました。教室は2階であり、座席は前から3番目の窓際でした。後の席一つがなぜか座席表が貼られていなく空席だったので、前の席との距離を調整できたのでラッキーでした。
 教室には日建学院で知っている人が2人いました。席も近かったので試験前にコミュニケーションできたのは緊張感をほぐすのには助かりました。前日までは緊張感がそんなにでもなかったのですが、会場に入ってからの張り詰めた空気によって一気に緊張感が高まっていたからです。
 11時15分に試験官が入室してきて試験説明が始まりました。10分くらい前からA2版の製図用紙、A2版のエスキス用紙、A3版の問題用紙がつぎつぎと配られました。試験官より各用紙に試験地、受験番号、氏名を記入して問題用紙のみ裏にして試験開始まで待つようにと指示がありました。問題用紙に氏名を書き入れるときに課題の面積と階数をチェックしました。敷地面積がやや狭く3階建て、1面道路と遊歩道に挟まれている条件から、簡単かもしれないと思いました。
 11時半、”ガラン、ガラン”と廊下でベルが振られました。問題用紙を捲る音が教室内にガサガサと響くなか、問題を読むことに集中し始めました。問題を読み進めて行くとやさしそうに感じられ、これはいける!と心の中で叫びました。
 1回目の通読をじっくりと行い。2回目に赤ボールペンでマーキングを始めました。そして3回目、読み落としとマーキング漏れが無いかを確認のために読みました。読み終えるのに25分係りました。
 建ぺい率と課題延べ床面積より1階の建築面積をはじき出そうとした所で、この試験問題の難しさに気づきました。難易度がAクラスだったのです。そこから、プランニング図によって問題の意図を探し当てようと書き出してみたのですが、プランニング図で導き出せないのです。論理的に解法する事が出来ない問題となっており、まさしく受験者の総合能力を試される試験になっていました。
 あれやこれやと悩みながら、この部屋は1階になのか2階にすべきか、それとも3階に納めるのか、ぐちゃぐちゃになっていました。試験が始まって1時間たったところで、気分転換にトイレに行ってきました。途中数名の受験者とすれちがいました。みな厳しそうな顔をしていました。
 1時、1時間半が過ぎても1階の建築面積を決められずに悩んでいました。柱間のスパンも7mでいいのか6mにしなければならないのか、それとも混在で行くのかを悩んでいました。3階建てなので製図時間は3時間欲しいところなので、遅くても2時から書き始めなければならないとあせっていました。
 いつもならば2時間を過ぎたことには建物全体のイメージが見えてくるのですが、それも全く見えない状況でした。これ以上、迷っていても時間的に失格になってしまうので、何個か浮かんだプランで行くことに決めました。一か八かの決断でした。
 2時までの30分間で1階と2階、3階まで求められていた所室の大所を詰め込みました。関連付けと動線に配慮してはいるものの、精度はとても低いレベルでした。2時を廻ったところで線を引く音がしはじめました。エスキスを完了していない私にとって線を引く音はあせりを増幅させる音となって耳に入ってきました。試験前に日研学院や講師から他の人が書き始めてもエスキスを完了するまでは図面に入るな、そしてあせるなと何度も注意をされていたにも関わらず、はやりあせりが湧き上がってくるものです。試験終了まであと3時間しか残されていないからです。
 そこで、製図は壁の線を2重線で書くことから単線で書くことに方針転換することを決断しました。これによって製図時間を15分は短縮できるからです。
 気を引き締めてエスキスを進め2時15分に荒削りのエスキスが出来上がりました。1階、2階、3階の面積計算を行い、要求延べ床面積2200m2~2600m2に対して、2526.7m2と範囲内だったのでホッとしました。そして、問題用紙を左手にもってエスキスのチェックを始めました。諸室を一つ一つチェックしていった最後の方で浴室(120m2)が漏れていることに気づきました。面積規模が大きい諸室だったので欠落していると失格だったので気づけたことはラッキーだったのですが、120m2を現状のプランの中にはめ込むのは無理でした。床面積をギリギリまで広げることで無理やり浴室を2階に詰め込みました。それによって延べ床面積が2568.7m2となりました。ギリギリセーフです。
 そんなこんなで15分を要してしまい、2時半から製図へ入りました。2時間半でどこまで書き上げれるかが勝負でした。どうしても時間を意識しているとあせりが入り線の引き方がベストの状況になれませんでした。頭ではもっと早くと思えば思うほど手の進みが乱れてしまいました。
 下線を描き、柱を記入する時に2階と3階の図面配置を間違えていることに気づいたりしました。柱と寸法線を書き終えたところで3時を廻りました。窓や開口部を記入し壁線を記入し、階段やエレベーター、トイレ、洋室、和室、庇、駐車場、駐輪場など重要なパーツを書き終えたところで4時になってしまいました。そこから部屋名などの文字の書き込みを始めました。そこから5時までの1時間は怒涛の如く書きに書きまくりました。ラストスパートの勢いは、それまでのあせりを吹き飛ばしました。すこしでも図面密度を上げるべく書き込みやハッチングを行いました。試験終了の5分前に必要レベルまで書き込むことが出来ました。見直しチェックを5分間で行っていたら、宿直室が欠落していることに気づきました。あせりながらも、無理やり荷解き室を狭くして宿直室を入れ込みました。力わざでした。そして5時にガランガランとベルが音を鳴り試験官がペンを置くようにと指示が入って終了しました。
 終わった瞬間、倒れそうなほど体全体から力が抜けていきました。抜け殻のような状態でした。出来上がった図面を見て、プランニング面とゾーニング面においてどのような評価が下されるのかが合否の分かれ道であると認識しました。図面を完成できたので、評価対象になったことだけは幸いであるかと考えます。
 終了後、教室内の受験生から、建物内に設けられた通路が建ぺい率に含まれる計算をしているかどうかをチェックされた。試験開始時にはチェックしていたがプラン変更に伴っていく内に通路が延べ床面積に入らないことばかりを優先してしまい、建ぺい率を失念していたのです。1階の床面積の1050m2で建築可能面積1185m2に対してピロティーになっている通路分の建築面積と庇分を入れるとオーバーかもしれないと頭の中で計算しました。頭の中では正確に出せなく、電卓で計算しました。結果は1183.7m2でした。これも範囲内でギリギリセーフでした。
 ガムテープで固定していた製図板等の後片付けを行い、とぼとぼと重たい体を引きずるように育英高校を後にしました。JR仙石線の宮城野原駅へ行ったところホームには受験生で溢れていて、あちらこちらから”出来なかった”系の会話が聞こえてきた。難易度が高かったので未完成の人も多かったようである。ホームで日建学院で知り合った2回目の受験生を見かけたので、どうだったか話しを聞いた。エスキスがまとまりきれず中途半端な図面だったと言っていた。2年目の人でも厳しかったのだと知って、もしかしたら可能性があるかもしれないと思った。
 日建学院に行って、1/200エスキスで回答を再現した。再現してみると欠落部分が見つかった。宿泊室に面積が未記入だった事、問題では自動販売機と求められているのに、練習問題でなれてしまっていた自販機という表記にしてしまったことなどである。
 減点項目がどれくらいになるかで合否が決ってしまうが、試験の難易度が高かったので合否ラインも下がってくれる事を期待するしかないと思う。
 この1級建築士を所得するために本当に頑張ってきた。精神的にも知識的にもレベルが高くなったし、自信もついた。本当によくやったと思う。しかし、私はプロなので結果がすべてでしかない。どんなに頑張っても結果がなければ意味が無しである。
 設計製図試験は学科試験よりも遥かに厳しい試験でした。試験が終われば、開放された気分になるかと思ったりもしましたが、試験終了時の脱力感はあったものの、開放感という気分にはなりませんでした。やれることは確かにやった。でも、まだまだやれる。あきらかに極めることがとても大切であり、その一瞬一瞬に充実感と楽しみがあることを知っているからです。そしてその積み重ねとして結果がもたらされ、達成感に満足したいのです。 
 今年1年、私が1級建築士へチャレンジする事に関して、ご協力いただいた皆さんに心より感謝申し上げます。合格発表日は12月21日です。可能性は50/50ですが、期待していてください。

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読み返してみると、当日の事が昨日の事のように蘇ります。
5時間半がとても短い時間に感じられました。
そして、この時は
まだ、上下不一致という大きなミスをしでかしていたことに
気づいていませんでした。

つづく





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