○●絵空事●○

○●絵空事●○

血と薬と毒と


  僕の血は薬で

  僕の血は毒だった。

 僕は絶体絶命の危機に晒されている。
「え~っと、1対20数人…さぁ、勝ち目は?!」
ある訳が無い。
周りは全て鉄壁に阻まれている。出口は一つ。ただし、屈強な男によってガード済み。
こういう状況に陥ったというのも、僕の血が特殊な所為だ。
僕の血は如何なる者でも治せる薬にもなり、如何なる者でも殺せる毒にもなる。
それ故に、狙われることは多い。血を流すことは許されない。
けれども僕は保護されていた。とある研究所によって。

 僕だってみすみす殺されるつもりはない。
だけど、僕はあまりにも無力すぎた。僕は血を流してはいけないから、訓練も出来ない。
「…ったく、あいつは何してんだよ…。」
小さく毒づく僕に、20数人の屈強な男達はじりじりと近寄ってくる。
その時だった。

    ドゴッ

 壁が大きな音を立てて、何者かによって破壊された。
「遅い。」
僕は壊れた壁の方に向かって言う。
男達は呆然としている。当然だろう、侵入は不可能だと思われた鋼鉄の壁がいとも簡単に突破されてしまったのだから。
「くはは、いいじゃん。ヒーローは遅れて登場するもんだろ?」
現れたのは、金髪の15歳くらいの少年。金色の髪をヘアーバンドで上げ、真っ赤なTシャツと、ハーフパンツというラフな出で立ちは男達を油断させるには十分な格好だった。
「な、なんだ…ビビらせやがって…。ただのガキじゃねぇか!」
「おい、やっちまえっ!!」
『ガキ』という単語に、あいつはぴくりと眉を動かした。
「あ゛ぁん?誰がガキだってぇ?だ~れ~がっ?!」
あーあ、起爆装置を踏んだか…。
「…馬鹿め。」
僕はぼそりと呟いた。

 「ったくよ~、人のことガキとか言いやがって…。そのガキに負けるてめぇらは何だっつーの。けっ、胸くそ悪ぃ…。」
そう言って、あいつは自分が伸した男うちの一人の頭を蹴り飛ばした。
「お、それでお前怪我してねぇか?」
「したよ、一箇所。」
「はぁ?!嘘だろ?!うっわ、やべー…。マジかよ~…。」
あいつはへたりと床にしゃがみ込んだ。
「うん、嘘だよ。」
「あぁ?!てめぇ!!ぶっ殺すぞ??!」
「あはは、やだなぁ。隼人は冗談が通じなくて。」
僕は立ち上がった隼人に思いっきり頭をグーで殴られた。
「痛っっ!何すんだよ?!」
「うるせぇ!正義の鉄拳じゃ!!」

 「あー、痛いなー。誰かさんの殴った所が凄く痛い。」
僕は帰り道にずっと隼人に向かって嫌味を言い続けた。
「あーもー、うるせぇよ!黙ってろ!!」
怒られた。

 こうして僕と親友との苦難の日々は続いていく。



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