Nine Days' Wonder

Nine Days' Wonder

February 3, 2006
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 ごそごそと何かが動く音が聞こえた気がしたので庭に出てみると、そこには一匹の赤鬼がいた。
 その鬼は右肩を負傷していた。最初は警戒を示した鬼だったが、僕の誠意が通じ、手当てをさせてくれた。
 鬼はフジタと名乗った。フジタはどうやら、今日二月三日。節分になると同時 狙撃されたらしい。
 肩からは貫通しきれなかった大豆が摘出された。
 僕はフ タを家に招きいれ匿うことにした。
 どうやら日本の退魔期間は今日、鬼種を一斉に狩る腹づもりのようだ。
 フジタは散り散りになった仲間のことを心配していた。

 僕はフジタにコーヒーを差し出した。しかし、フジタは首を横に振り、丁寧に断った。鬼はコーヒーを飲まないものなのか、それともフジタ自身が苦手なのかどうか僕には判断がつかなかった。
 それから二人で半分の月が昇る空を見 。内容は面白かったがやはりフジタは仲間のことが気になるようだった。
 僕は気分を変えるためにいろいろな事を質問した。
 フジタの話は面白かった。
 フジタは役所に勤めているらしい。
 しがない公務員というわけだ。だが、いろいろと苦労があるらしい。
「鬼なんて不法入国者と同じようなものだよ」と言って苦笑した。
 彼とは数十分ほどの付き合いだが、僕は良い友人になれると思った。
 僕が明日にな ばフジタは安全だ。明日になるまでここにいればいい。

「ありがとう。でも行くよ」
 僕が何故と尋ねると、
「仲間が待っているからね」と笑って答えた。
 庭まで見送って はフジタと別れた。

 そしてフジタはその強靭な脚力でひょいひょいと次々と家の屋根を飛び移り、その背中はやがて見えなくなった。
 少しだけ寂しかったが僕は呼び止めることをしなかった。
 代わりにがんばれよ。と の中でつぶやいた。
 今日は節分だが僕の部屋だけは豆をまくのをよそうと思った。
 そして少しだけ扉を開けておこう。
 もし したらフジタが仲間を連れてまたやってくるかもしれないから。





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Last updated  February 3, 2006 03:29:24 PM
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津本 小生

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