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第3話 ホレ薬と組織
「ふあ~ぁ~・・・。あー、やっぱりリンクくんの靴下のおかげでとぉ~っても目覚めがいいわぁ~」
昨日リンクと気まずくなったのもすっかり忘れて、くんこは晴れ晴れした顔で目覚めた。まくらもとから靴下を取り、顔に押し付けて鼻いっぱいに靴下の臭気を吸いこむ。靴下はこころなしか前日にもまして臭くなっていた。しかしくんこはその臭気を
『昨日よりリンクくんの香りが増したような気がする・・v』
と受けとめていた。くんこにとってリンクの香りとは、臭いものなのか・・・?
・・とまぁ、こんなかんじで朝からくんこの変態っぷりが炸裂した。
今日は土曜日である。学校が休みなので、くんこは先日決定した「ホレ薬作戦」実行のため、まずホレ薬を探しに家を出た。
「ん~、ホレ薬かぁ。薬局に行けば売ってるかな?」
そう思ったくんこは、近くの商店街にあるごく普通の薬局へ向かった。
「すいませ~ん、ホレ薬くださ~い」
「ぶっ!!!」
店の人は吹きだした。
「あっはっはっはっはっは!!あんた、バカ?あ、熱でもあるのでは?でしたらこちらのかぜ薬はいかがですか?」
店員はそう言って棚からかぜ薬を出してレジにおいた。この態度にくんこは、キレた・・。
「この店にはホレ薬も売ってないなんてね!いまどきホレ薬もない店なんて、あんた、この店つぶれるわよ!!」
・・・くんこは何か勘違いしている・・。店員も唖然とするばかりである。
くんこはつばを吐きながらこの薬局を出た。
くんこはそれから町中の薬局という薬局を探し歩いたが、どこへ行ってもバカにされるだけで終わってしまった。
『なんなのよ、みんな私をバカにして!!ホレ薬も売ってないなんて、この町どうなってんの!?こんなんじゃ時代に取り残されちゃうって!!・・・あ・・っ・・!病院にならあるかも!!』
さっそくくんこは病院に走った。
「あのぉ、ホレ薬がほしいんですけど・・」
「こちらは小児科でして、精神科は2丁目のクリーニング屋のとなりでございます」
看護婦の応対はあまりにも事務的で、ひどいことを言った。くんこはまたキレそうになったが、ここは病院。かろうじて抑えた。
「もう、こうなったら自分で作ってやる!こんな腐った町の手なんか借りないわ!!」
この町が腐っているのではない。くんこ、君の頭が腐っているのだ。常識から考えてもホレ薬が普通に薬局に売っているわけがない。ここがいくらゲームの町であろうと・・・・・。
家に帰ったくんこはさっそくミキサーを取り出し、ホレ薬作りをはじめた。
「えーと、何からはじめればいいのかなぁ?あ、そうだ、牛乳入れてみよう♪リンクくん牛乳好きだから、毎日給食でも何本も飲んでるもんね。フフ、ちゃんと見てるのよvv・・・・あ、この牛乳、賞味期限切れてる・・・・・・。ま、いいや。別に死ぬわけじゃないし」
いいのか!それは愛しのリンクに飲ませるものだぞ・・!
・・・もうくんこを止められるものは誰もいなかった・・・・・。
くんこはとにかく目についたいろんなものを混ぜ始めた。なっとう、ビール(なぜある・・?)、腐ったサシミ、わさび、玄米、ティッシュ、そして乾燥剤も・・・・・・・;;
「う~ん、いいかんじvこの変な臭いと乾燥剤の粒がホレ薬って感じだわぁ・・v色もきれいなピンクだしvv」
・・・・いったいなにをどうしたらそんな風に・・・。なっとうやビールを混ぜたらピンク色になるのだろうか・・・?
「ん~・・ちょっと煙が・・ハッ・・・ハッ・・・ハクション!!!・・・・あっ・・・鼻水が入っちゃった・・・・。・・ちょっとぐらいなら気付かれないとは思うけど・・・。あ~それにしても今日はなんか暑い~。まだ春なのに・・・・あっ・・!今汗も入っちゃったぁ。・・・でも、一生懸命作ったんだからリンクくんも許してくれるでしょvvまっててね、リンクくん♪」
これではリンクの命までが危うい状態である。
くんこはミキサーでそれらのものを混ぜにかかった。
「いくわよー、レッツ、ミックスvv(意味不明)」
ガァガァガァ・・・・・・・。
「・・・よしっできたぁーv」
・・とうとうできてしまったホレ薬(?)。色はマーブルがかったピンク色で、ゲロのようなキモいものになっていた。しかしこれでもくんこの自信作である。
くんこはさっそくできたてを飲ませてあげようと、ホレ薬(?)を魔法ビンにつめ、リンクの部屋にいくことに。
ピーンポーン・・・・・。
「はーい、あぁくんこちゃん。おはよう・・じゃなくってもうこんにちはだね。ちょっと寝過ごしちゃって。いったいどうしたの?」
リンクはパジャマ姿で出てきた。しかもそのパジャマの柄がピンクのハートマーク・・・;
『へぇ・・;リンクくんって見かけによらずピンクとかハートとか好きなんだぁ・・;;』
これにはさすがのくんこもちょっとひいた。しかしくんこはしっかり脳内メモにリンクの好みとして追加しているのであった。
「えぇーと、そんなことより・・・。ねえリンクくん。これ私が作ったジュースなんだけど・・作りすぎちゃったからおすそわけv・・・飲んでvv」
くんこは手に持っていた魔法ビンをリンクにさしだした。リンクは受け取ってふたを開けてみた。なかからはいいしれぬ臭気がただよっていた、が、リンクは鼻風邪を引いていたためにこの臭気に気づくことはなかった。まさに不幸中の幸いである。
「へぇ、くんこちゃんが作ったんだー。やっぱり料理うまそうな顔してるし。すごいなぁ!俺、そういう料理とかうまくて家庭的な人が好きなんだ。ありがとう。飲んでみるよ」
リンクはコップを取りに部屋の中へ入っていってしまった。
『キャ――v聞いたぁ――vvリンクくんってもしかして私みたいなのが好みなの――?!ウフフフフフフフフフフ・・・・・・・・・♪』
すかさずはじまったくんこの妄想。まったく思い込みが激しすぎである。
と、まあそんな怪しいことを考えているうちにリンクはコップを手にして戻ってきた。コップにはもうくんこの作ったホレ薬(?)がたっぷり注がれている。
「きれいなピンク色だね。これいったい何のジュース?」
「え・・えっとぉ・・飲んでからのお楽しみvv」
・・・・やめろリンク・・!死ぬぞ・・死ぬぞぉぉぉ・・・・・・!!
リンクはゆっくりとホレ薬(?)を口に運んでいった。それを緊張した面持ちで見つめるくんこ。リンクの死の瞬間は刻一刻と近づいている・・・・・。
『さぁリンクくん飲んで!飲んで私のものになるのよ・・・・!!!』
リンクは、とうとうホレ薬(?)を口に含んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・おうえ――――――――――――――――――!!!!!」
リンクはホレ薬(?)や今朝食べた朝食などすべて吐き、その場にたおれてしまった。リンクを囲むようにゲロの水たまりが広がっていく。ゲロはこころなしか少しピンクがかっていた。
くんこは何が起こったかわからずにそのまま固まっていた。
「・・・・・・リンクくん・・・?リンクくんっ!しっかりして!!キャァ――!リンクくん~!きゅ・・救急車・・・!!!」
――――リンクは一命を取り留めたものの、吐き気が止まらないということで1週間の入院となった。
くんこは布団に入ってもリンクのことが心配でなかなか眠れないでいた。まぶたを閉じるとリンクの顔が浮かんで心配になり、余計に目がさえてしまうのだ。
『あぁー・・。リンクくんがこうなったのは全部私のせい・・・・。リンクくんがこのまま死んじゃったら・・私・・私・・・・・・』
だからゲロが止まらないだけだといっているだろう。しかしくんこの心配はその夜一晩中続き、けっきょく一睡もできぬまま朝となってしまった。
それは、次の日も続いた。
くんこは目の下にくまができているのも気付かなかった。いつもならリンクのために毎朝しっかり鏡の前でセットしているというのに、リンクがいないだけでこのざまである。これで死にでもしていたらどうなったことであろう。
通学中も気分は晴れなかった。それどころかどんどん沈んでいくばかり。やはりくんこにも罪悪感というものが存在していたのだ・・・・(感動)。
『あぁっ・・・リンクくん・・・・死なないで・・・・』
とうとうくんこは道に倒れこんでしまった。寝不足とストレスのためである。
「あぁっ大丈夫、くんこ!?」
くんこはこの声に顔を上げた。くんこに声をかけたのは先日2日遅れで転校してきたばかりのBOSS、幹部、カナエ、ガッちゃんであった。4人はあわててくんこを助け起こした。
「あ・・・えーと、BOSSさん・・幹部さん・・と、だれ・・・・?」
「アホ!何で知らねーんだよ俺はカナエだよ!!こっちはガッちゃん!!」
「カナエやめなよ。くんこは私たちとクラス違うんだから。しらなくて当たり前でしょ」
「へぇ・・よろしく・・・。・・・・・眠い・・・・・・・・」
「くんこ~!」
くんこはまた地面に突っ伏してしまった。
「・・・どーする?」
「そんなときはこれ」
BOSSは持っていたカバンから、ガムを一枚取り出した。
「なにそれ?」
「しらない?新発売の『超すっきりミントガム 1枚かめば眠気もすっきり かみすぎると不眠症になります』ってやつなんだけど」
「ま、何でもいいけどかませてみようぜ」
幹部はくんこをあおむけにし、半開きになっている口の中に『超すっきりミントガム 1枚かめば眠気もすっきり かみすぎると不眠症になります』を突っ込んだ。すると、たちまちくんこの眠気がふっとんだ。すごい効き目である。それにしてもミントの香りがかなりきつい。
「・・・かっらぁ~い!!!」
「そっか、からいんだ。ならウチはかむのやめよう。くんこあげる」
BOSSは元気になったくんこの手に残りのガムをすべて押し付けた。どうやらくんこは実験台だったらしい。・・・BOSSもかなりひどいことをする・・・・・。
「な、何でこんなとこに寝てんだよ?」
カナエが訊いた。
「え・・と、あのね・・・・・・・;」
『どうしよう・・・でも、この人たちならなんか信用できそうだし・・・。現にさっきも助けてくれたから・・・・。相談にのってくれるかも・・・!』
なんと、くんこはこの4人に恋の相談をすることに!ここからくんこの人生は大きく狂わされていくともしらずに・・・・・。
おろかなくんこは、組織にこれまでの一部始終を話した。
「それで、私、嫌われちゃったかも・・・・・」
「大丈夫だろ。わざとやったわけじゃないし。あやまれば許してくれるって」
「そうそう。くんこそんなに想ってるんだから」
その言葉にくんこはうなずいた。少し自信がついたような気がした。
『そっかぁ・・・そんな悔やむことないんだ・・・・私の“愛”が伝わればリンクくんも絶対許してくれる・・・・・・』
「うん・・ありがとう。ねぇ、みんなって好きな人いるの?」
くんこは先ほどから気になっていたことを訊いてみた。すると、みんな目を輝かせ、
「よくぞ訊いてくれた!」
とさけんだ。くんこは思わず後ずさった。
「俺の大好きなのは、アルルちゃんvvリザードンのこと!超カワイ―――vv(暴走)」
「ウチはリザっち。ライチとカイリューはお友達なんだv」
「私は別にいないんだけど」
「俺はミネバ様崇拝者!しってるかミネバ・ラオ・ザビ妃殿下v超萌えっ子なんだぜ――vv」
「だれだよミネバって。女だろ」
「貴様ぁ~!!おれの崇拝するミネバ様をけなすんじゃね~!!」
「リザっちとライチとカイリューってさー」
「うぉぉ―――!!アルル――――!!」
くんこをのけ者にして4人は怒涛のごとくしゃべりまくる。くんこはあっけにとられるばかりであった。
と、そのとき学校のチャイムが。始業5分前である。
「やばっ。遅刻しちまうよ!」
5人は全速で走り、ぎりぎりで教室までたどり着いた。
教室で一番に目が付いたのは空っぽのリンクの机。自然とため息が出る。
くんこが席に着くと、ゼルダが話しかけてきた。
「ねえくんこちゃん。リンクどうしたの?」
ゼルダは先日の豹変ぶりなどウソのようにけろっとした顔でくんこに聞いてきた。
「・・・じ・・・実は・・・・・」
くんこはゼルダに事情を説明した(ホレ薬じゃなくてジュースといった)。ゼルダは親身になって聞き、くんこをなぐさめてくれた。ゼルダの優しさにふれたくんこは、思わず
「あの4人よりゼルダちゃんのほうがいい・・・・・」
と口に出してしまった。
自分の後ろに殺気立ったBOSSと幹部が立っているのに気付かないくんこ。その数秒後、くんこは教室から引きずり出されるはめになるのである。
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