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第10話 最凶小学生ゆいこ
「・・・・・・・・」
くんことリンクはあっけにとられたようにゆいこを見つめた。夜中にいきなり押し入ってきて泊めろとは、なんと勝手なやつなのだろう。リンクはどうだか知らないが、くんこはとにかくこの邪魔者を追い出すことにきめていた。
ゆいこは続ける。
「で、引っ越してきたばかりで、荷物とか片付いてないじゃん。だから寝る場所ないんだよね。というわけなの。泊めてくれるよね?まさかあんたたち、小学生の女の子一人、野宿しろって言うんじゃあ・・・」
「そ、それはそうだけど、でも・・・」
くんこがあわてて話し出したときにはもう、ゆいこはリンクのベッドにもぐりこんで、すやすやと寝息をたてていた。
「ちょ・・・っ・・ゆいこちゃん・・!!!」
「・・・くんこちゃん。しょうがないよ。今日はくんこちゃんの部屋に泊めてくれる?」
「え、うん・・・・・もちろんいいけど」
くんこはまだまだあどけないゆいこの顔をうらめしそうににらみつけると、堂々とリンクの腕を伴い、部屋を出て行ったのであった。
『フン、まあいいわ。私の部屋でだってピーvはできるんだから。フフ・・・vv』
くんこはこんなもくろみをしていたのだが、リンクは布団を敷くと、さっさとなにごともなく寝てしまったのであった。もちろんくんこがその後リンクの寝顔に発情し、何度も襲いそうになったが必死で理性を保っていたことはいうまでもないだろう。
―――――そして次の朝。
「リンクくん、おきて!」
くんこが、よだれをたらしながら幸せそうに寝ているリンクを起こす。くんこの目は寝不足のためか真っ赤であった。理由はいうまでもない。
「ふぁ~あ~・・おはよう、くんこちゃん」
リンクはあくびをしながら超不細工な顔で起床。ピンクのパジャマとナイトキャップがこれまたキモい。しかしくんこは
『寝起きのリンクくんもいいわぁvあ~ん、やっぱり昨日襲っておけばよかったかもvvキャー、私ってケ・ダ・モ・ノvいやぁ~んvvv』
朝っぱらからなに不謹慎なことを考えているのだくんこ。しかし、一睡もせずに欲望と戦い続けたお前はえらいぞ・・!!
「くんこちゃん?」
「はっ、なぁに?」
「ゆいこちゃんの様子見に行かない?心配だし・・・」
「そうね」
二人は着がえ、(もちろんべつべつ)リンクの部屋へ行った。
「・・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
部屋に入るなり、リンクの悲鳴が響いた。なんと、ゆいこが部屋のいたるところを物色しているではないか。せっかく片付いていたリンクの部屋は、無残にちらかっていた。リンクはへなへなとその場に座り込んだ。
「あ、どーも」
ゆいこはべつに悪びれる様子もなく普通に手を上げ二人にあいさつした。
「ど、どーもじゃなくってぇぇ!あ、一番ひだりはしのタンスの中だけは見ないでよ!!」
「・・・・もう見たよ」
リンクは凍りついた。
「あんた、シュミ悪いね。そこに入ってた下着、ぜんぶキスマークとかハートマークの柄だし・・ほら、そこに積みあげといたけど」
「キャァーv下着ぃー」
くんこは真っ赤になって目をおおった。瞬間、リンクのパ○ツをポケットに忍び込ませたことには、だれも気づいていなかった。ゆいこのおかげで嬉しい収穫(死)はあったものの、愛する人の部屋を勝手にあらされてだまっているくんこではない。
「ちょっとあんた!なんなの!?本当は泥棒!?なんでこんなことしてんのよ!!」
「え、あのさぁ、ちょっとそこのタンスからエロ本がはみ出てるのが見えちゃったのね。それで、まだあるんじゃないかなーって思ってずーっと探してたんだ。見てよこれ、この段ボール箱ぜんぶエロ本だよー」
「だっ・・だからぁ・・///」
「あ、ゴキブリ」
「・・・・・ぎゃあぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁぁあっぁ!!!!!!!」
リンク、大混乱&大暴走。その場にぶったおれてしまった。
「・・・・・こいつかなりいくじなしだね。あんたこんなやつとは付き合わないほうがいいよ」
「・・・・・・・」
「あ~あ、おなかすいたー」
そう言い残してゆいこはさっさと自分の部屋に帰っていってしまった。
あとにとり残されたくんこは、リンクを助け起こしたり、部屋の片づけを手伝ったりと、ゆいこのせいでさんざんなめにあわされたのであった。
片付けも一段落し、くんこは自分の部屋に帰ってきた。今日は日曜日、学校が休みなので、午後はまるまるあいている。とくになにをするでもなく、くんこはふらっと部屋の外へ出た。
すると、
「あ、くんこ!」
となりの部屋の前から聞きなれた声が・・・・。
「あ・・組織のみんな・・・・・」
たしか組織の今立っている部屋は、空き部屋だったはずだ。おそらくゆいこはそこに越してきたのだろう。しかし、くんこの家に来るのはわかるが、なぜゆいこのところに・・?
「あーみんなぁ。久しぶりー♪」
玄関が開き、中からゆいこが出てきた。
「久しぶりー」
「引っ越し祝いもって来たぜ」
「ありがとうv」
なんと、ゆいこは組織と楽しそうに話している。じつはゆいこ、BOSSのいとこで組織のメンバーだったのだ。じつに意外である。
それを聞いたくんこは、口では
「そ、そうだったんだ、嬉しいなぁ」
とかほざいていたが、顔には出さなかったものの、かなりイヤだった。
「くんこも来たことだし、みんなでゲーセン行かない?」
「いーねいーね」
「いこ――!!」
というわけでくんこも含む6人の組織は一同ゲームセンターへ。
今日はみんな自由行動である。BOSSとガッちゃんはさっそくユーフォーキャッチャーに走り、あとの4人は屋上でポケモンバトルをすることに。今日は天気がいいので、屋上にも人が多い。くんこたちは屋上の一角にある広場をフィールドにすることにした。
さて、1回戦目はくんこ対カナエ。
「この前は勝てなかったけど、こんどは勝ってやる!」
鼻息も荒いくんこ。かなり自信があるようだ。ゆいこはそばで幹部のチルタリスといっしょにひなたぼっこをしている。
「くんこー、負けたらゲーム買ってー」
くんこはこのゆいこののんきな発言にずっこけた。
「な、なんで私が―――!」
「うるさい。早くはじめるぞ。行けっ、ガスガスちゃんっvv(ゴースト)」
「あ~はいはいっ!!行け!チリーン!!」
こうしてバトルがはじまった―――
「やったー、くんこ、ゲーム買ってよねー」
「そ、そんなぁ・・・・・;」
ゆいこが嬉しそうに跳びはねる。くんこはがっくりと肩を落とした。
「さぁて、次は俺だ」
幹部が愉快そうに笑いながらフィールドに立った。くんこはしかたなく位置についた―――
「わぁ~い♪くんこ、じゃあスマブラとゲームボーイアドバンス買って♪」
案の定敗北したくんこの手を引き、ゆいこはおもちゃ屋へ入っていった。くんこはゲーム売り場で財布の中身を確認する。しかし、どう見てもスマブラすら買えるだけの金がない。というか、なぜ自分がこんなガキにたかられなければならないのであろうか。くんこはなさけなくなり、大きくため息をついた。
「たりないよ・・ゆいこちゃん・・・・」
「えー、2万円も持ってないの?え――――」
『当たり前だろーが、このガキ―――!!!』
くんこは心の中で叫んでみたが、どうしようもならない。ただとにかくこのゆいこというガキがムカつくだけである。くんこははらわたが煮えくり返りそうになった。
「なーんだ、じゃあいいや。その代わりパフェおごってよ」
ゆいこはやりたい放題である。くんこはこれからこのガキと過ごすというだけで頭が痛くなってきた。
くんこは1200円のパフェをおごらされ、その後も1時間近く買い物に付きあわされ、もうくたくたであった。このときほど時間の流れが遅いと思ったことはないだろう。ふたりは組織の集合場所になっていたゲームセンターへ入った。とたん、くんこの目が点になった。
「・・・・・・・・・・・・な、なにこれぇ――――!!!」
果たしてくんこの見たものとは・・・・・・・!?
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