月光浴 【New】


写真集をご存知でしょうか。

「月光浴」というタイトルのその写真集は
月の青のなかで
生き生きと息づく
植物や、波しぶきや、溶岩が
ありのままの姿をさらしています。

月の光は
ほんのり ぼんやり としていそうだけれど
真実をうつしだす その 青の色は
これほどまでに 力強いのかと
驚くとともに
いちまいの写真に いつまでもこころを奪われる

そんな写真集です。


月の光につつまれて
傷ついた心を癒す
そんな夜があります。

あふれる涙を
拭いもせず
引力にまかせて落ちるままに

丸い月が
窓のカタチに切り取られて
四角くなった部屋の隅で
小さく丸くなって過ごす長い夜。


いつしか涙のままの瞳を閉じて
眠りのなかに落ちていくまで
四角の青い光に あたしは守られています。


そして再び
瞳をあけたとき
青い光は
明るくまぶしい 太陽の光に
場所を譲ってしまっています。


あたしのなかの傷を
青い光が溶かして
どこかに連れ去ってくれたことを
感謝しながら

また新しい一日と向き合わなくてはなりません。


あたしの愛する人。

あたしは
あなたの青い光になりたい。

あなたのその心にある
よわいもの、
つらいもの、
かなしいもの、

あたしがぜんぶ引き受けて
そして太陽が訪れる朝

あたしはそっと
姿を消します。


だけどそれは永遠のサヨナラじゃない。

もしいつの日にか
またあなたの心があたしを求めたら

そのときには
あたしはいつでもかけつけて
あなたの手をやさしく握り締めて
髪をなでて
背中をさすってあげる。


あたしが
あなたを求めたときには

あなたがあたしを抱きしめて
頬をよせて
くちづけをください。


月の光がそうしてくれるように
ふとしたときに
お互いの存在に気づき
こころをさらけ出す


そんなあたしたちでいたいから。






© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: