鷹匠

鷹匠

うさぎおいし



信州豊田村の高野辰之氏が作詞した有名な「故郷」の出だしである。
恐れ多いことに、小さい頃私はうさぎ美味しい(おいしい)かの山
と理解していた。

理由はあきらか。小さい頃うさぎを食べたからである。
大人たちがうさぎ追いをして、捕まえたうさぎを食べたのである。
ウサギの肉は弾力があって、私にはおいしかった。

いまでは食べる人はいないのではないだろうか。
ただ昔は、山にはうさぎを捕まえるワナがあちこちに仕掛けられていた。
それはうさぎの通り道にあり、針金を丸くした簡単なものだった。

さてここでうんちく。
なぜうさぎは一羽、二羽と数えるのか。
それは徳川家康が病気になったときに、うさぎの肉を食して治ったからという説がある。
仏教で四足を食べることがタブーであったために、うさぎは鳥として扱うこととして以後、うさぎは食べられ、一羽、二羽と数えるようになったという。

そういえば小さい頃小学校唱歌で、待ちぼうけという歌があった。
あれは目の前の木の根に、うさぎがつまずいてころんだという内容であった。あれは省略されていた歌であった。
うさぎを美味しく食べて、またそういう果報があるのではないかと待ち続けたという話である。

個人的には私は近い経験がある。ある偶然から野うさぎを手で捕まえたことがある。
だがそのときにはもううさぎには誰も興味をもたず、山に釈放されたのだった。

たぶんあの歌はもう教えられていないだろう。今の子にはなんのことかわからないから。

*おやきについて書こうと思いつつ、ウサギの話になってしまった。
よく考えるとおやきについて書くことなぞあまりない。

おやきは昔の信州人の昼食であったことだけである。


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