十六分四十一秒物語

十六分四十一秒物語

2013.01.25
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カテゴリ: 自然・天文

トキソプラズマが人の脳を操る仕組み





 トキソプラズマは通常はネコに寄生する。巧みな戦略をとることで知られ、ネコからネコへ感染するのにネズミを媒介とし、寄生したネズミの行動を変化させてネコに食べられやすくすることで新たな宿主に乗り移る。

 ネコに食べられやすくするため、トキソプラズマがネズミに引き起こす行動の変化は、反応時間が遅くなる、無気力になる、危険を恐れなくなるというものだが、このような変化はトキソプラズマに寄生された人間にも現れることをフレグル氏は発見した。しかし、トキソプラズマがどのような方法でそうした変化をもたらしているのか、最近までほとんど解明されていなかった。

 2カ月前、スウェーデンの研究チームが謎を解く重要なカギを発見した。寄生した体内を移動し、さらには肝心の脳に到達するために、トキソプラズマは白血球を“乗っ取る”。白血球といえば、そもそもこのような侵入者を攻撃する細胞だ。白血球を路線バス代わりに利用するだけでなく、トキソプラズマはそれらを小さな化学工場に変え、ネズミの、ひいては人間の恐怖感や不安感を鈍らせる神経伝達物質を作らせているという。

 トキソプラズマは主にネコを宿主とするが、ゴミ箱、汚染された水、加熱の不十分な食肉などを介してヒトへも多く感染している。ほとんどの場合、感染しても大きな問題とはならないが、妊娠中の女性は注意が必要だ。米国疾病予防管理センター(CDC)は、妊婦が感染した場合、流産や先天異常のリスクが高まると注意を呼びかけている。

◆謎の解明

 1990年、フレグル氏はひょんなことから自身がトキソプラズマに感染していることを知った。同僚の研究者が新たな診断テストを開発し、それをフレグル氏に試したのだ。感染を知ったフレグル氏はあることをひらめいた。トキソプラズマがネズミの恐怖感を低下させ、ネコに食べられやすくすることを知っていた同氏は、自身もまた少し前から恐怖心が鈍くなったことに気づいていた。「道を渡っていて、車にクラクションを鳴らされたのに飛びのかなかった」のだ。そこでフレグル氏は考えた。これはトキソプラズマが原因ではないだろうか?

 それから15年間、公衆衛生データによる実験と分析を行った結果、フレグル氏はトキソプラズマと人間の行動にいくつかの驚くべき関連性があることを突き止めた。トキソプラズマに感染した人は交通事故に遭う確率が2倍以上高まるが、これはトキソプラズマが反応時間を遅くするためだとフレグル氏は考えている。さらに、感染者は統合失調症を発症しやすくなるという。トキソプラズマ感染は自殺率の上昇に関連しているという別の研究チームの報告もある。

 トキソプラズマがこうした変化を生じさせるメカニズムは謎だったが、2009年にイギリスの研究チームが、トキソプラズマはドーパミンの前駆物質であるレボドパ(L-dopa)を生成する2つの遺伝子を持つことを発見した。ドーパミンの増加は統合失調症の発症と関連付けられている。しかし、この発見だけではすべてを説明できず、依然として多くの謎が残った。



 スウェーデンのカロリンスカ研究所感染症学センターに所属する研究者、アントニオ・バラガン(Antonio Barragan)氏のチームは、マウスの血液中のトキソプラズマを調べ、彼らが意外な場所に生息していることを発見した。彼らを殺すはずの免疫細胞の内部だ。この細胞は白血球の一種で、樹木に似た形状から“樹状細胞”と呼ばれる。「樹状細胞は免疫系の門番だ」とバラガン氏は言う。「われわれは、トキソプラズマがこれらの細胞を移動手段に使っているのではないかと考えた」。つまり、樹状細胞を“トロイの木馬”にしているのではないかというのだ。

 この読みは当たっていた。トキソプラズマはこの免疫細胞を使って体内を移動し、宿主の脳に到達していた。しかしどうやって? 免疫細胞は刺激を受けないと動かない。かといって、トキソプラズマが動かしているわけでもない。樹状細胞は自分が感染していることすら気づいていない様子だ。それでは何が樹状細胞を動かしているのだろうか?

 答えが見つかった。神経伝達物質のガンマ-アミノ酪酸(GABA)だ。「不可解なことだった」とバラガン氏は言う。「GABAは脳内で機能するものだ。それが免疫系で何をやっているのか?」。しかし現に、GABAはそこにいた。バラガン氏はそれまで誰も見たことのないものを目にしていた。どうやらトキソプラズマが樹状細胞の内部でGABAを産生させ、同じ樹上細胞の外側にあるGABA受容体を刺激し、それによって細胞に体内を移動させ、脳に到達していると考えられた。そしてここからが肝心な点だ。統合失調症など多くの精神障害では、一般にGABAの機能の乱れが観察される。そしてGABAの量が増えることは「恐怖感や不安感の低下に関連付けられている」とバラガン氏は述べている。

 それでも、今回の発見ですべての謎が説明できるわけではないとチェコのフレグル氏は指摘する。「私は依然として最も重要な物質はドーパミンだと考えている。しかし、このGABAのメカニズムは斬新で非常に興味深い」。

 また、さして驚くにはあたらないが、トキソプラズマに関してこれまでにわかった事実から考えて、「彼らは非常に、非常に賢い生物だ」とフレグル氏は述べている。


こんな生物が
いるんですね。
自分が感染しているかもと思うと
怖いですねぇ。






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最終更新日  2013.01.25 21:30:54
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Re:人体コントロール寄生虫(01/25)  
LUCKY BELL  さん
何か面白くもあり、怖くもある話ですね。
推理小説のネタになりそうです。 (2013.01.26 04:49:05)

Re[1]:人体コントロール寄生虫(01/25)  
ヒユサンゴ  さん
LUCKY BELLさん
>何か面白くもあり、怖くもある話ですね。
>推理小説のネタになりそうです。
-----
確かにコレを使った小説や映画を作れそうですね。(笑) (2013.01.26 21:06:50)

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