わきみずのほとり

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そううつ病の遺伝子研究


<遺伝子研究>そううつ病の原因解明 (毎日新聞-全文)


 うつ状態とそう状態が繰り返されるそううつ病の発症の仕組みを
遺伝子レベルで解明することに、理化学研究所の垣内千尋研究員と
加藤忠史チームリーダーらが世界で初めて成功した。

新しい治療法の開発や、患者の体質に応じた
「オーダーメード医療」の実現につながる成果という。
31日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表した。

 100人に1人が発症するそううつ病は、
うつ病と並んで、自殺の主な原因と言われ、発症の解明と治療法の開発が急がれている。
しかし、複数の遺伝子がかかわり、どの遺伝子が重要か特定することが難しかった。

 研究グループは、遺伝子がほとんど同じ一卵性双生児に注目。
わずかな違いがあれば、その遺伝子が発症と深くかかわると考え、
1人だけそううつ病になった2組の一卵性双生児で、
約1万2000種類の遺伝子の働きの違いを調べた。

 その結果、細胞内のたんぱく質を修復する機能を持つ遺伝子「XBP1」の働きが、
患者では健康な人に比べて顕著に低いことが分かった。

 これを踏まえ、健康な人451人とそううつ病患者197人で、
XBP1の塩基配列を比較。
1カ所の塩基配列の違いで、その機能がほぼ半分に低下し、
この配列を持つことで4・6倍も病気になりやすいことが判明した。

 現在、そううつ病の治療薬は3種類あるが、
そのうち1種類にこの遺伝子の働きを改善できる効果があるという。

 加藤さんは「患者の遺伝子を事前に把握することで、
どの薬が有効か判断する方法が得られた。
この遺伝子を標的にした効果的な薬の開発にもつながる」と話す。【田中泰義】


[毎日新聞9月1日] ( 2003-09-01-01:19 )




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