野の花・野の豚の自己研究に根ざす、社会的な共生の道を探求する発言・2015年7月1日から

野の花・野の豚の自己研究に根ざす、社会的な共生の道を探求する発言・2015年7月1日から

マンモスの骨と私の骨(92・2/2作)



突拍子もないことかも知れないけど
鉄格子で閉ざされた冬の独房のなかで
ふっと私は
マンモスの骨と私の骨との関係について
瞑目して想像をめぐらすときがある

太鼓の寒冷気候に適応した象、マンモス
洪積世にその巨大な足を踏み鳴らし
この列島の大地をも横切ったマンモス
その群れをなしたマンモスのなかには
老い、傷ついて倒れたものもあっただろ
その肉体は、骨は腐食し、風化し
この列島の大地深くしみ込んだだろう
その後の長い歳月
マンモスの骨のカルシュウムは
無数の動植物のからだを出入りし
そのいくつかは
めぐりめぐって私のからだにも入っているだろう
そして
このたった今、
冬の冷たい独房のなかの
私の背骨や大腿骨になり
私を支えている

突拍子もないことかもしれないが
そんなことを考えると
独房のなかでも
生命の歴史の不思議に
ため息をつくことがある

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