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ビタミン

ビタミン


 ビタミンは生体の代謝機能の維持になくてはならない補助的栄養素で、多くのビタミンは生体内で補酵素の構成因子として働いており、欠乏すると特有の欠乏症状が現れる。生合成できないため、体外から摂取しなければならない。
ビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに大別される。
水溶性ビタミン ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、葉酸、ビタミンC
脂溶性ビタミン ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK


●水溶性ビタミン
ビタミン名 化学名 特徴 適応
B1
チアミン 抗脚気因子、糖代謝に関与 脚気、多発性神経炎、Wernicke脳症
B2
リボフラビン 抗ペラグラ因子、酸化還元反応に関与 口角炎、舌炎
B6
ピリドキシン 抗皮膚炎因子、アミノ酸代謝に関与 口内炎、皮膚炎、末梢神経炎
B12
シアノコバラミン 抗貧血因子 巨赤芽球性貧血、それに伴う神経症状
C
アスコルビン酸 抗壊血病因子 壊血病、出血性素質
H
ビオチン 抗皮膚炎因子、脂肪酸の生合成の過程で炭酸固定反応に関与 皮膚炎
ニコチン酸
ニコチン酸アミド
抗ペラグラ因子、酸化還元反応に関与 口内炎、舌炎
パントテン酸 酸化的脱炭酸反応に関与 欠乏症のよる糖や脂質の代謝障害、接触性皮膚炎
葉酸 抗貧血因子

●脂溶性ビタミン
ビタミン名 化学名 特徴 適応
A
レチノール 抗眼球乾燥ビタミン、欠乏症:夜盲症 夜盲症、皮膚の乾燥・硬化
D
エルゴカルシフェロール(D2)
コレカルシフェロール(D3)
抗くる病因子 くる病、骨軟化症
E
トコフェロール 抗不妊因子、抗酸化剤 不妊症、脂肪吸収障害
K
フィトナジオン(K1)
メナテトレノン(K2)
メナジオン(K3)
プロトロンビンなどVK依存性凝固因子の肝での生合成促進 VK欠乏による出血傾向、骨粗鬆症(VK2)


ビタミンは、生体内で合成されないため、積極的に補給しなければならない。
生体に必要であるビタミンは13種類である。
脂溶性ビタミンは蓄積性があるので投与過剰には注意しなければならない。

ビタミンの専門知識
・ビタミンB1注+アミノ酸輸液 →ビタミンB1が輸液中の抗酸化剤と反応して分解する。
・10%デヒドロコール酸注+ビタミンB1注 →白沈(デヒドロコール酸)
・ビタミンB1(塩酸チアミン)と亜硫酸水素ナトリウムでビタミンB1が分解する。
・高カロリー輸液療法時の、ビタミンB1欠乏により代謝性アシドーシス(体内に乳酸が蓄積)が発生。
・代謝性アシドーシスが発現したら、直ちにビタミンB1を大量に急速静脈内投与(100~400mg)する。
・代謝性アシドーシス:血液pHの低下した状態(7.35以下)で、原因は酸の産生増加による尿毒症(腎不全)、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸性アシドーシスと、酸排泄障害による尿細管性アシドーシス、低アルドステロン症などである。
・抗凝血薬(例:ワルファリン)は、ビタミンKを多く含む食物、ビタミンKを産生する納豆菌を含む納豆の摂取により硬化が減弱する可能性があるので、これらの食物の摂取を避ける。
・脂溶性ビタミンは、食直後に服用した方がよい。空腹時の吸収が悪いので、胆汁酸による乳化作用により吸収させるため食直後に服用。
・リボフラビン(ビタミンB2)は、小腸上部(能動輸送)から吸収されやすい。
・シアノコバラミン(ビタミンB12)は、小腸下部(促進拡散)から吸収されやすい。


脂溶性ビタミン
ビタミンA
 動物の成長に必須因子として発見された最初の脂溶性ビタミンである。
 ビタミンAとしてしられているものは、レチノールであるが、ビタミンA活性をもつ関連物質としてレチナール、レチノイン酸が知られている。
 成長の必須因子で細胞の増殖・分化の調節因子としての作用はレチノイン酸によるもので、レチナールは別に視覚サイクルに関与してる。


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