ストッキングな物語

ストッキングな物語

ストッキング生活INベトナム(前編)


ハノイ空港からタクシーでホテルに向かった。
幸いしたのは、アメリカのボロタクシーよりもきれいな車であった事だ。車窓から見た町の景色は白い建物が多く、その建物の間に植えてある木立の葉の緑色の濃さであった。
日本との違いを、あたり前なのかもしれないが、この国に来て見つけた最初の発見であった。
この、あたり前の発見に何だか感動していた。
ストッキングはもちろん、どこにも売っている店はなかった。
私は、ハノイのホテルに泊っていたのだけど、そのホテルにもストッキングは売っていなかったのでロスで買ったのがあったので毎日穿いて外出していました。
ベトナムの場合はずいぶんと前の話ですから町でも誰も穿いていませんでした。
もちろん、私のストッキング脚をみてもまったく普通の顔でした。
昼と夜は町の店で食事をとっていまして好物は何と言っても春雨です。ベトナムの春雨はとにかく美味しくて毎日といっていいほど食べていました。
お店のおばちゃんは、私がいくと注文前に二人前の春雨を用意してくれるのです。
おばちゃんは、私のストッキング脚をみて「日本では皆穿いてるの?」と聞くので、めんどうなので「はい!」と答えておきましたので日本のストッキングマニアの人はベトナムでは堂々と穿きましょうね!
ハノイからそう遠くない、ある村に行った時、村の人と話しをしていて仲良くなった人がいる。
なぜ、仲良くなったのかは、憶えていない。たぶん、気があったのであろう事と、仏教国という宗教的なものの影響だろうと思う。
多くの国を旅するとわかるのだが、宗教的な共通点は結構大きい。
その村と人の名前は忘れてしまったのだが、たしか50歳前後の白い半袖シャツとグレイ色の半ズボンを穿いた男の人だったと記憶している。脚は細くゴムぞうりを履いていたのを憶えている。
その人が「どこの国から来たの?」と聞くので日本からと答えると、「ベトナムのどこから来たの?」とまた聞くので今、ハノイのホテルに泊っていると話してからタバコを一本挨拶代わりに差し出すと、そのタバコを口にくわえるので火をつけてやった。「いつまでいるの?」と尋ねてくるので、ホテルの宿泊代の事もあるので1,2ヶ月ぐらいかなーと答えると、ホテルの宿泊代がなければどれぐらいいられると聞くので、たぶん、半年、居れるだろうと答えた後、「どこか安い宿を知らないか?」新しいタバコを一箱差出てと聞くと、やせこけて頬が落ちた色の黒い男は目をくるくる回しながら
箱を手に取り、真っ青な空を見て考えている。
顔の色が黒いので、目の白い部分がひときわ印象に残った。
この人は、何か思い出したかのように、にこりとして私のほうを見て言う、「それなら、自分のところに来ないか?それが一番だ。」と言った。
私は、タバコ一箱であんたの家族と一緒に暮らすのは、ちょっとーと言いながら困った顔をしていると「大丈夫、大丈夫、大丈夫」といいながらニコニコ笑い私の肩をたたいてから「明日の朝4時に、またここに来い」と言った。
次の朝3時頃、目覚まし時計で目が覚め、用意をしていると肌寒く感じたのでストッキングアンド半ズボンで行くことにしてこんなに朝早くからなぜ行かなくちゃならないのかと思いもしたがカウンターにまだ誰もいないホテルをでてレンタカーに乗り、半信半疑でその村に行くことになった。
ホテルから村の入り口まで車で飛ばして40分ぐらいであった。
この村までの道を車で過去3回通っていたので楽に来れた。
もうすぐ村だなーと思った時、男は村の入り口で待っていた。村の入り口といっても2キロぐらいある。
だけど、この人も朝3時には起きてこの入り口まで歩いてきていたことに驚いた。
ベトナムの容赦ない時間感覚にも驚いた。
アーメン、ラーメン、チャーシュウメンじゃなくいきなし、「ラ王
」といったところだった。
昨日と変わらないニコニコ顔で車の横に着たので、私は、車に乗せて村まで行った。
この男の家の前まで行くと「ここが自分の家だと言って車の中から指をさして教えてからもっと先に行け」と言う。
男の家から少しいくと木立の間に木の枝とか伐られた竹が山になっていた。
「ここで止めろ」と言うので車を止めると男は車から降りて竹が山になっているところに行き、仕事をしだした。
何が何だかわけがわからず、この男の仕事を2時間ほど見ていた。
朝の6時ぐらいになってから、村の男たちが4人やってくると、この男は仕事の手を休めて男たち4人と話し始めた。
話をしている途中4人は時々わたしのほうを見ていた。
この男は座ってからタバコを取り出し4人に一本ずつくばってから火をつけてやっていた、自分もタバコを吸いながらわたしの事を4人に説明しているらしい。
わたしは、この様子をずっと車の中から見ていた。
しばらくして村の男たちが4人がこの男の仕事を手伝うのを1時間ほど見ていると、何だか小屋を建てている事が解ってきた。
竹を編んでいる者、木のつるで紐を作る者、角材を作る者、後はそれらを組み立てるのに二人である。
わたしは、車から降りてこの男に何をしているのと聞くと、「あんたの家を建てているんだよ。」と言うので驚いた。
「幾ら掛かるの?」とお金の事を聞くと、手を振っていらないと言う。
ちらりと私の目を見て「タバコ」と言う。
ちょうど、車に1カートンあったので差し出すと、この男は一箱取り出した。
わたしは、自分のぶん1つ取り残りはあげるとと言うと、男は驚いていたが、まんざらでもない顔をして仕事を続けた。
わたしも手伝おうとすると男は驚いて、いいから見ていてくれと言う。
私の家は5時間掛かって朝の9時に5人のベトナム男の手によって完成した。
結構立派である。

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