コール
小さな女の子のような気配
ふと後ろを振り向くのだけど
赤い傘の下から雪が降っている。
もっと見上げれば黒い世界から無数の結晶。
少し顔に当たって冷たい。
視線を元に戻して歩く。
でも何故か聞こえるの。
振り返るけれど、誰もいない。
怖くなかった。誰なの？あなたは、誰なの？
何故か私を呼んでいるなにかが、あるのだと思った。
その時は、そう思った。
「あなたは誰？」
その問いかけに答えるものは降り続く雪だけ。
まだ降り始めた雪が積もるのはこれから。
真っ暗な道が続く。
早く、帰ろう。
だけど
私を呼ぶ声が、どこからとなく私を呼んでいるの。
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