sweet better~エレメンツ

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夜明けのティザーヌ。



静まり返る冷えた冷気。私の指先がかじかむほど。

薄明かりの燭台を持ちながら夜明けが近いと
窓から遠い空の先を見つめた。

静まりかえる建物の中を歩く。影が亡霊のように高い
天井まで延びていく。

響くのも私の足音だけ。その先は礼拝堂に向かっている。

いつもの日課の儀式。

たどりつくまでに外の明かりが明度をほんの少し
変化させる。

「私」がここに存在してどれくらいになったのだろう。
子供時代はとうに過ぎたが、まだここにいるあまたの
先駆者よりは私はまだまだ年若く。

なにか区別をつけるとするなら女性であるということだろうか。

世界の中でこの力を束ねるこの地で役割をかせられた神官の
その一人。弟子を持つまでになった。

私を表現するなら今はそのような説明でよいと思う。

最近は何故か子供時代を思い出すことが多い。

幼い段階で多少なりとも力のある者がここに入ってくる。
すぐに発展性を見極められ、外に返されるものと、そのまま
通常の講義から師について本格的にそれぞれの「力」を活かすべく
そして完全に身につけるために

成長をとげていく。

私はその結果女性でただ唯一それぞれの重要な役割を司る
数人の内になった。

そうして日々力を秩序の維持のために使い、いままでそうであったように
より年若い者にその流れを引き継がせるために指導をする。

静かで静寂と、魂の向上が望める私のこれまでの道。

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