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その14


しかしながら女王も法王もこうしたことは慣れっこになっていたので、
退屈凌ぎに女王が法王に声をかけた。
「ご存知? わたしはちょっと手を振るだけで、この中の英国人みんなを
 熱狂させることができますのよ。」

法王は疑わしげだった。そこで、女王はやって見せた。

女王の手の一振りで、群集の中の英国人が本当に一斉に喜びの歓声を上げた。
やがて徐々に歓声は収まっていった。

法王は自分のものに劣った衣服と帽子を被った人物に負けてはならじと、自分
にできることを考えてみた。
「女王陛下、ただいまのはたいへん結構でした。でもご存知でしたかな、私が
 手を一振りするだけでこの中のアイルランド人が一人残らず狂喜するという事を?  彼らの喜びはあなたの臣民のそれのように一瞬のものではなく、心に深く残り、
 いつまでもこの日のことを語っては喜び合うのです。」

女王はそんなことはあり得ないだろうと思い、こう言った。
「あなたの手の一振りでアイルランド人が永久に喜ぶですって?
 是非とも見せてくださいな。」

法王は女王を遠慮なくひっぱたいた。

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