義務教育


毎日いじめられている自分も、
父におびえてる自分も、
何もかも変えたかった。

小学校入学と同時にアタシはその願いを
自分の力で叶えた。
いじめっこにも負けない強い人間になった。
「アタシをいじめたヤツに復讐してやるんだ」
自分を変えることは、何にも難しいことはなかった。

だって、あの日からアタシは感情のない人間になったのだから。


アタシは無事変貌を遂げ、
いじめっこはアタシに服従するようになった。
外の世界に何もこわいものはなかった。
いつも周りは男友達ばかりだったし、
学校の成績も教育ママのおかげで完璧だったから、
先生はアタシを信用した。
先生の前でいい顔をすることも
簡単だった。

でもアタシは、
家に帰ればまた昔のアタシで、
親におびえて過ごしていた。
一つ変わったことと言えば、
アタシに妹ができた。
妹の存在が、
どれだけアタシの支えに、
そして救いになったかわからないほど。
相変わらず人見知りなアタシは、
学校の男子とつるむほかは、
妹にベッタリだった。

「この子はアタシを裏切らない」
そう予感した。
誰を失っても
この子を失わなければいいと思っていた。

義務教育にアタシらしい充実した時間なんて
求めていなかった。
早く大人になりたかった。
大人になれば、
アタシは自由になれると思っていたから。


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