その少年は、いつも歩道橋の袂に座っていた。

いつからだろうか。筑波エクスプレスが開通し、街の
様子は一変した。

行き交う人の数は増え、都会的な建物が群立し、長閑
だった街の雰囲気は瞬く間に変化を遂げていった。

少年は、いつも下半身を露出したまま歩道橋の袂に
座っていた。

朝から陽が落ちる時刻まで笑顔を絶やさず、ただ
じっと座っていた。

ＴＸのモーター音が響き渡る南流山の駅前。

埼玉と千葉の架け橋、流山橋につづく交通の要衝。

少年は、時代に流されることなく、おだやかな表情で
佇んでいた。

全裸ではなく、下半身のみを露出し、じっと佇んでいた。

夕陽に照らされる少年のシルエットが印象的だった。

ある時彼は、そこから姿を消した。

下半身には何もつけないまま姿を消した。

その行く先は誰一人知る者はいない。