SUZUKA☆SMILE

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~3ヶ月

すずが産まれてからの1ヶ月。
とにかく私はきつかった。

もちろん慣れない育児の事もある。
それだけならまだしも、すずは心臓に病気を抱えている。

「明日の朝はちゃんと息してるだろうか・・・」

朝までずっとすずの呼吸数を測っていたこともある。

1日1回やってくるだけの旦那には分かるはずがない。
「呼吸速くなってない?」
尋ねても「そんなことない」と言う。

でも1日中すずのそばを離れることのない私には、すずの呼吸が微妙に速くなってきていることが分かるのだ。

怖くて怖くて、安心して眠ることなんてできなかった。

そしてダウン症のことも。

悲しくて辛くて泣いてばかりの私に向けられる言葉といえば
「母親が強くならないと!」だったり
「頑張らないと!」だったり。

いったいどうすれば強くなれるの?
どうすれば頑張れるの・・?

誰も教えてくれないのにどうすればいいの・・・?

悲しくてもすずを病院に連れて行かなくてはいけない。
行けば周りには健常な子供たちばかり。
上を向いて歩くこともできなかった。

「どうして私だけが・・・?」
「どうしてすずだけが・・・?」
病院に連れて行くことも辛かった。

それでも、私は懸命に母親の役を演じた。
明るく優しい母親役を演じることで、何とか外に出ることができたのだ。
そのときは、そうするしかなかった。

すずが2ヶ月になる数日前。
ダウン症と診断が下った。
そしてその日、心不全の為再入院が決まった。

もしこの日再入院が決まらなければ、もう母親ではいられなかったかもしれない。
このまま何もなく自宅に戻っていたら、今の私がいるかどうか・・・

生きていることがこのときほど辛いと感じたことは今までなかったから・・・



すずが再入院をしてから、少しだけ私は楽になった。

すずの体のことは先生がいつも診てくれる。
家の事は一切考えなくていい。

まだまだ受け入れることはできていなかったけど、それだけでずいぶん肩の荷が下りた。

入院中、先生や看護士さんにとてもかわいがってもらっていたすず。

「すずちゃん、本当にかわいいね」

毎日誰かがそう言ってすずに話しかけ、相手をしてくれていた。

「本当にそう思ってるの?私が受け入れられないから、受け入れてもらおうとわざと言ってるんじゃないの?」

障害のあるこの子が、かわいがられるはずがない。
正直そう思っていた。
素直に喜ぶことができなかった。

でも、担当でなくても毎日顔を見に来てくれる看護士さん。
すずを笑わかせようと、一生懸命にあやしてくれる看護士さん。
すずのなん語につきあってくれる看護士さん。
私との世間話にも付き合ってくださいました。

本当に優しい看護士さんばかりでした。

そして、転院先にまでお見舞いに来てくださった先生。

すずが本当にかわいがられていたことに気づいたのは、
随分後になってからのことでした。



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